2026/8/17
下関の台所として親しまれてきた唐戸市場。実は今年6月、その改修計画が一歩前に進んでいたのをご存知でしょうか。
唐戸市場リニューアルの計画が動き出したのは、6月12日の市議会定例会経済委員会でのことです。下関市は唐戸市場の大規模改修工事期間中も場内の業者が営業を続けられるよう、仮設施設の候補地を唐戸エリア内に選定したことを明らかにしました。全店舗が一斉に仮設へ移る案と、半分程度ずつ入れ替わりながら移る案の2つが想定されており、具体的な進め方は今後さらに詰めていく段階です。
唐戸市場は2001年の開業から25年が経過し、鉄部分や防水の劣化が進んでいます。躯体そのものは高品質なPC造で健全とされていますが、空調や飲食スペースなど、観光市場としての役割が大きくなった今の使われ方には合っていない部分も出てきました。
市のスケジュールでは、2025年度に基本構想、2026年度に基本計画を策定し(策定費として26年度予算案に5,000万円を計上)、2029年度から工事に着手、2032年4月1日のリニューアルオープンを目指すとされています。当初は2031年オープンという見通しも報じられていましたが、その後の検討で計画が精査され、現在は2032年目標として整理されています。

この唐戸市場リニューアルは、唐戸市場から岬之町までを含む「あるかぽーと・唐戸エリアマスタープラン」の一部でもあります。このマスタープランでは2032年度までに旧下関地区の観光客数を500万人(2019年度比+85万人)、宿泊客数を100万人(同+35.5万人)にするという目標が掲げられています。ただし、これは唐戸市場単体の目標ではなく、星野リゾートの進出なども含めたエリア全体の数値目標です。市場改修はその実現を支える一つの柱、という位置づけで捉えるのが正確でしょう。
市がまとめた検討資料を見ると、仮設候補地として挙がっている岬之町、駐車場棟1階、東駐車場などは、それぞれ引っ越しの回数(1回で済む場所もあれば、2〜3回の引っ越しが必要な場所もあります)、整備費用の規模、アクセスのしやすさが大きく異なります。つまり「どの業者がどの仮設地に入るか」によって、営業への負担は決して均等ではないということです。
全店舗一斉移転か、半分ずつの入れ替えかという2案も、先に仮設へ出る側と後に残る側とで条件が変わってきます。こうした違いがある以上、割り振りの決め方やその根拠を、業者間で納得感のある形で丁寧に説明していくプロセスが欠かせません。
大きな数値目標は分かりやすく、耳に心地よいものです。ただ実際にこの目標が絵に描いた餅にならないためには、仮設移転にともなう業者の収入への影響、そして肝心の事業費・財源計画が、これからどこまで丁寧に市民や市場関係者に開示されていくかが問われます。基本計画の策定はまだこれからの段階。今後、市場内事業者との協議やPPP/PFI(行政と民間が連携して施設整備・運営を行う手法)による民間活用の検討も進んでいくとみられますが、「決まったことだけ後から知らされる」ということがないよう、節目ごとの情報公開を注視していく必要があると感じています。
基本計画の内容や仮設移転の詳細は、下関市農林水産振興部市場流通課が窓口となっています。関心のある方は、市の公式発表や議会資料にも目を通してみてください。今後、基本計画の中身が固まった段階で、続報としてお伝えしていきます。
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シライシ ソウ/51歳/男
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