2026/8/9
下関市内の小学校に通うお子さんをお持ちの方なら、夏休み前に配られる「しものせきぜろたんチャレンジシート」をご存じかもしれません。行政書士として、また一人の下関市民として、このシートについて感じたことを書いておきたいと思います。
まず事実を整理します。このシートは、下関市環境政策課が2021年の「ゼロカーボンシティしものせき」宣言を受けて、令和4年度から毎年配布しているものです。対象は小学4〜6年生(年度によっては1〜6年生に拡大)で、夏休み中の20日間、「誰もいない部屋の明かりを消した」「お風呂に家族続けて入った」など12項目の行動に取り組み、できた日には〇を塗って学校に提出する仕組みです。各項目には「減らせるCO2の量」の目安が数値で示され、〇の数から削減量の合計を自分で計算するようになっています。


市の記者発表資料や取組結果の報告を確認しましたが、「義務」「必須」「任意」といった、参加の位置づけを明確にする言葉はどこにも見当たりませんでした。実際の参加率は、令和4年度で対象児童5,994名のうち1,291名(約2割)にとどまっており、全員が一律に取り組んでいるわけではないようです。市は毎年、参加実績やCO2削減量、そして「削減量は目安であり、契約している電力会社等によって実際の値は異なる」という計算上の限界についてもきちんと公表しており、この情報公開の姿勢そのものは評価してよいと思います。
一方で、シートそのものに目を向けると、子ども自身に向けて「夏休みが終わったら、学校の先生に提出してね」と書かれています。これは指示・期待の口調であり、「やってもやらなくてもいいですよ」という任意性を示す表現にはなっていません。制度として厳密に義務化されているかどうかは資料からは判然としませんが、少なくとも子どもに直接届く言葉としては、任意性が示されていないという点は指摘しておきたいと思います。
その上で、行政書士として少し立ち止まって考えたいのは、情報公開の有無ではなく、手法そのものです。「地球温暖化はCO2の排出量が増えすぎたことによって起きている」という、あくまで一つの理解の枠組みを、判断力がまだ発達段階にある小学生に対して、異論や別の視点に触れる機会を用意しないまま、学校という公的な場を通じて「正しい行動」として点数化し、優秀者には市長からの表彰まで行う——この見せ方が、公教育の中立性という観点から見て、本当に適切なのだろうかという疑問です。
削減量が「目安」にすぎないことも、シートの隅に小さく記載されているにとどまります。子どもの目線に立てば、先生への提出が前提とされ、良い結果を出せば表彰されるものという体裁を取っている以上、「これは絶対的に正しいことで、やらなければならないものなのだ」という受け止め方をしても不思議ではないと感じます。
環境問題への関心を子どもたちに育てること自体を、私は否定するつもりはありません。ただ、特定の価値観や因果関係の理解を、子ども自身が気づかないうちに「当たり前のもの」として刷り込んでいくような手法には、行政として慎重であるべきだと考えます。
もしお子さんがこのシートを持ち帰られたら、一度ご家庭で「これはどういう考え方に基づいているのか」「本当に任意なのか」を、お子さんと一緒に話し合ってみてはいかがでしょうか。ご意見があれば、下関市環境政策課(TEL.083-252-7115)にお伝えいただくのも一つの方法だと思います。
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シライシ ソウ/51歳/男
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