2023/6/1
令和5年第2回定例会一般質問
杉並維新の会の鈴木ちづるです。
通告に従い、大きく4点について一般質問いたします。
①ひとつめ、小中学生とその保護者の心のケアについて。
私は3人の子どもを育てている母親です。
小学生の保護者として17年余り過ごし、現在も小学生の保護者です。そして、コロナ禍のこの3年ずっと、孤独孤立対策・自殺対策の
最前線のSNS相談で、ゲートキーパーをしている私が、非常に心を痛めていることの一つが、子どもたちとその保護者のメンタルヘルスの問題です。
新型コロナによる医療崩壊の危機については誰もがご存じだと思いますが、コロナ禍以前から、メンタルヘルス分野では、
初診が数ヶ月待ちであるなど、いわゆる医療崩壊が起きておりました。
心のケア、そしてケアをする側のケアが大切だ、ということは、
言うまでもないことですが、ケアに繋がることができず、
追い詰められた末に、死を選ぶということが、起こり続けているのも
事実です。
参考までに、警察庁の自殺統計を基に、厚生労働省がまとめたデータによりますと、
2022年の全国の自殺者数は、
2021年より297人増加して、2万1,881人でした。
人口10万人当たりの自殺死亡率は、0.8人増えて、17.5人となっています。
2万人を超える方が自ら命を絶っており、深刻な状況が続いています。
この自殺死亡率は、G7主要先進7カ国の中で、最も高くなっています。
自殺の原因・動機は、「健康問題」が1万2,774人と最も多く、次いで「家庭問題」4,775人、「経済・生活問題」4,697人と続きます。
小中高生の自殺者数は514人で1980年の統計開始以降で初めて500人を超えました。
⑴子どもたちが、死にたくなるほどつらい気持ちになる原因は、
何でしょうか?
厚生労働省は、「自殺の多くは、追い込まれた末の死であり、
その多くが、防ぐことができる社会的な問題」である、として、
保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策と連携を図り、
総合的な自殺対策を推進する、としています。
平成10年以降、自殺者の数が、3万人を、超え続けていたことを受けて、
平成18年に「自殺対策基本法」が制定されました。
また、平成28年には、都道府県、市町村に、
自殺対策計画を義務づける、などの、改正が行われました。
さらに、政府が推進すべき指針として、令和4年10月に
「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない
社会の実現を目指して~」が、閣議決定されました。
この大綱の、特に11番の項目を見ますと、
「子ども・若者の自殺対策を更に推進する」
■いじめを苦にした子どもの自殺の予防
■学生・生徒への支援充実
・長期休業の前後の時期における、自殺予防を推進
・タブレット端末の活用等による、自殺リスクの把握や、プッシュ型の支援情報の発信を推進
・学校、地域の支援者等が連携して、子どもの自殺対策に、あたることができる仕組みや、緊急対応時の教職員等が、迅速に相談を行える体制の構築
・不登校の子どもへの支援について、学校内外における居場所等の確保
とあります。
これらを受けてだと思われますが、
これまで議会の中で、子どもたちやその親が、何か悩みがある時に
相談をする、スクールカウンセラーや、あるいは、
専門家が何名巡回しています、といった取り組み、
不登校の対策としての、不登校特例校の設置、
段階的に社会に繋がる場としての、メタバースの活用を検討し、
進めていくなど、
悩みの状況が、いよいよ行き詰まったり、心の苦しさが重症になったときの制度としては、こういった場所がありますよ、こちらも検討していますよ、というお答えは、たくさんありました。
その制度が実際に、子どもと保護者の心身の状態に、どのようにプラスになっているのか、不安は減ってきているのか、当事者が本当に求めていることと、乖離はないのだろうか。
重症化してからではない、その前の予防的なケアが、できているのか。
そもそも平常時の学校生活の中では、本来なら、受けるはずもない、
つらい出来事や状況、ストレスの、
原因の方を、取り除く努力をしているのか。
という素朴な疑問があります。
改めて、伺います。
⑵子どもたちの、つらい気持ちが重症化してからの場所や制度は、現在どのようなものがあり、どのように検討が進んでいますか?
小中学生のうち、年齢の低い子どもたちは、まだ発達の途中で、
語彙が少なく、自分の感じている気持ちや、自分が何に悩んでいるのか、本当は、どうしたいのか、といった、自分の考えの言語化も、まだまだ難しい状態です。
小学校高学年や、中学生になると、人間関係や物事の矛盾に
気がつきながらも、親に心配や迷惑をかけるくらいなら、「自分なんて消えた方がいいんだ」とまで思い詰めたりもします。
学校においても、周りに気を遣い、誰にも話せず、苦しい気持ちを抱えて、
学校に行けない子どもたちが、本当に増えております。
一般的に、いわゆる「不登校」という言葉で、表現がされていますが、
ここで改めて、義務教育は、決して、就学あるいは通学義務のことではなく、子どもたちの学習を保障する「大人側の義務」であること、
そして、例えば、これを、学校ではなく、ショップやお店の話として
考えた場合、魅力のないお店に、お客さんが来ないのは、お客さんの努力不足が原因ではないことは明らかで、なのに
子どもが「登校しない」からと、子どもを動かそうとすることに対して、非常に疑問に思っております。
お店が「お客さまの声」を大切に聴くように、子どもたちの声を大切に聴けるよう、工夫をすればよいだけなのです。
私がSNS相談をしていると、顔が見えなくても、文字だけでも、そして、ほんの10分15分間の文字のやりとりだけでも、受容と傾聴によってラポール形成ができれば、子どもたちは本音を打ち明けてくれます。
私は自分の子どもの登校に、何年も何年も、今朝も付き添って登校し、
登校の道のりでも、もちろん家庭内でも、子どもの話をしっかりと傾聴していますし、
子どもは、学校ではほとんど喋らないのですが、私には、自分の本当の気持ちをたくさん話してくれます。
⑶では、子どもたちが、自分の気持ち、これはマイナスの気持ちだけではなくプラスの気持ちも含めてですが、自分の本音を吐き出せる場所、受けとめてもらえる場所は、日常の学校生活で、どこでしょうか?
おとといの5月29日の杉並区立学校における義務教育保護者負担軽減の
あり方検討報告で、杉並区立学校における保護者負担及び就学援助に関するアンケート結果の中にも、
「スクールカウンセラーの人数を増やす、もしくは、来校日数を増やすことに、お金を費やして欲しい」という意見が、また、
教育施策で特に必要と思われるもの、という設問では、
「子どもの学習面や心理面でのサポートを行うための人的措置の充実」という意見がありました。
⑷改めて
子どもたちが学校内や家庭内での悩みごとを相談する場として、スクールカウンセラーが存在していますが、相談の件数と、相談内容について伺います。
ここで参考までに、
東京ビッグサイトで開催された教育総合展に5月11日に参加し、
情報を得た中で特に気になったものがあります。
学校で子どもたちに配布しているタブレットで、顔のマークを選ぶことで自分の気持ちを表現し、敢えて文字化しないことで、もしかしたらその表情の原因が学校の中の大人の言動だとしても、訳は言わずに苦しさだけは伝えることができる、というメリットがあります。
大阪府枚方市では、枚方版ICT教育モデルとして、学校で配布しているタブレットを使って、子どもたちが相談をするという実証実験が始まっているとのことです。
兵庫県尼崎市では、日常的に信頼できる第三者とのつながりは、子どもと保護者にとって、大きな役割である、とのことです。
⑸学校内の人間関係、教員の言動が、子どもたちの学校生活や学び・心にダイレクトに影響しています。子どもたちを導き、指導する立場の教員の言動が適切かどうか、児童生徒が萎縮してしまうほどの声の大きさや、教育現場に相応しくない表現は無いかを、現場でチェックする具体的な方法を具体的にお示しください。
大人の努力不足で、子どもが苦しむことがないように、そして、
心のつらさの、重症化を予防するために、日常的に
子どもと丁寧に関わる、大人の人数を増やしていただきたいと考えます。
②二つ目の質問に入ります。
小学校入学前後の子どもたちと保護者の不安、これは、私自身も3人の子どもがおりますので、特別な支援が必要な就学の経験も含めて、3回経験しております。
そこで、幼保小連携の全体の仕組みだけではなく、個別の対応についても伺います。
⑴幼保小接続期カリキュラム・連携プログラム、
幼児教育スタートプラン、幼保小の架け橋プログラムといった研修、
そして、
区内の小学校1校を研究指定校とし、保育者と小学校教員が双方の教育について理解を進めるための研究が、行われたとのことですが、
令和4年度に開催された、幼保小連携担当者連絡協議会事業の
検証と今後の予定について伺います。
全体の方向性や、流れを作るという面、仕組みとしての、連携の成果は大きいと思いますので、事業として、今後もぜひ継続していただきたいと思っております。
⑵幼保小の個別対応の中でも、特別な支援の必要な、子どもたちについて伺います。
すばるⅠおよび、すばるⅡの目的と、誰がどのように活用しているのかを確認いたします。
⑶特別支援学級、特別支援学校の、児童生徒が増えて、教室が足りないという状況も踏まえて、すばるⅠは、この10年で、
何人が提出していて、年々、増えているのでしょうか。
また、すばるⅡはどのような場合に提出されるのか、改めて伺います。
小学校入学にあたり、通常の学級にするか、特別支援学級にするかを
迷い、通常の学級に入学した場合、配慮をしてほしいことを学校に伝えていても、すばるⅡの有効な活用があるのかどうか、保護者としては知りたいところであります。
⑷すばるⅡを提出して通常の学級に入学した場合に、どのように活用されているのか、伺います。
③続いて、学校での、事故などによる、救急対応マニュアルについて、特別な支援が必要な児童生徒への対応も含めて質問いたします。
令和5年4月13日、区内小学校において、校庭にラインマーカーとして打ち込んだと思われる釘によって児童が膝付近を裂傷し、十数針を縫うけがを負う事故が起きました。
けがをされた児童と保護者様には、心からのお見舞いを申し上げます。
事故の起きました小学校を含め、区内の小中学校の危機管理、救急車の要請に関する判断についても、
「救急マニュアル的なものが存在しているのか、今回の件と照らし合わせて、マニュアルに不適切な部分が、あるのだとしたら、改善をしてほしい。」
と保護者の方から、不安の声をいただいております。
・区内の学校にはそのようなマニュアルはありますか。その周知方法についても伺います。また、特別な支援が必要な児童・生徒についてはいかがでしょうか。併せて伺います。
知的と発達に障害のある私の子どももそうなのですが、一般のかたの想定を超える行動や、パニックを起こしたり、衝動的に動くこともあり、事故などの危険に遭遇する可能性もありますので、もちろん保護者としても、日々、充分に注意をしておりますが、特別な支援が必要な児童生徒への対応は、個別指導計画や、毎年度、提出している、保健調査票の積極活用と、活用の重要性の周知を、お願いいたします。
④最後に、支援を必要とする子どもの放課後等デイサービスの利用の
現状と、保護者の就労などで年々変化していくニーズへの課題について、質問をさせていただきます。
放課後等デイサービスガイドラインには、
「放課後等デイサービスの基本的役割は、児童福祉法第6条の2の2
第4項の規定に基づき、幼稚園及び大学を除いた学校に就学している
障害児に、授業の終了後又は休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流の促進、その他の便宜を供与すること」
「支援を必要とする障害のある子どもに対して、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの、状況に応じた発達支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保障と、健全な育成を図るもの」と書かれています。
先ほども申しましたが、私には知的と発達に障害のある子どもがおります。この子が小学生・中学生の頃、そして特別支援学校高等部に通っている現在も、放課後等デイサービスを利用しておりますので、
当事者として、学校との違いや、子どもと保護者にとっていかに有用かということは、経験しているところです。
私の子どもの特性を考え、パソコンに特化した放課後等デイサービスを利用していた時期がありましたが、事業所自体の数が少なく、また非常に人気があり、利用の契約までに半年以上も待ちました。
パソコン以外にも、ダンスやアートといった個性的なプログラムのある事業所もあり、利用したい人は多いが「なかなか空きがない」という声は、何年も前からずっと聞いているところです。杉並区は他の区よりも、受給される日数が月5日、あるいは10日と、利用者側の感覚としては少なく、事業所の数と利用可能な人数もかなり限られているので、より良い環境と子どもの特性に合った療育の場を、利用を始めるタイミングも含めて慎重に選ぶ必要がありますので、利用者、利用希望者は常に最新の情報を求めています。
さて、保護者の就労の必要性と状況の変化などに伴い、子どもの安全な居場所に対するニーズは年々変化しています。数年前の私が、子ども子育て会議の委員をしていた当時のことですが、保護者が就労などにより、昼間留守になる家庭のお子さんを対象にした、下校後の生活の場である学童クラブでは、長期休暇などの学校休業日の利用が、朝8時からできることになり、30分であっても利用時間が早くなったことで、保護者の負担が大きく軽減されたことを覚えております。
自分の子どもが特別な支援を必要とする子どもだからといって、保護者が就労を制限しなければならない、ということに対して、私たち当事者は疑問を感じながらも、やはり我慢しなければならないのだろうか?
という、複雑な思いを抱えております。
具体的には
・「長期休暇は利用日数を柔軟に増やして欲しい」
・「学校休業日は学童のように朝の利用開始時間を早めて欲しい。」
・「小学6年生まで利用していた学童が中学生は利用できず、中学生になったからといって特別な支援が必要な生徒が急に家で一人でいられるようになるわけではないので、放課後等デイサービスの日数を増やしてほしい。」
といった声が、つい先週末にも改めて届きました。
ただ、私自身これまで、障害のある子どもを持つ先輩保護者として、
放課後等デイサービスの目的が「子どもの自立のための療育」なのであって、「就労などの保護者側の状況に対する支援が目的ではないんだよ」と、いうことを伝えてきておりましたので、
ここで改めてお伺いします。
⑵放課後等デイサービスの目的は、子ども本人の療育のためであると理解しておりますが、改めて目的などについて、お示しください。
⑶放課後等デイサービスの目的が、療育ということであれば、長時間での預かりができず、結果的に保護者の就労支援に、応えられるものではないので、例えば移動支援事業や日帰りショートステイといった、
他の事業と、組み合わせた、工夫など、柔軟な利用を可能にして欲しいという声がありますが、区としての今後の方向性は、いかがでしょうか?
私としましては、既存の事業の組み合わせや、既存の事業の柔軟な利用にとどまらず、子ども、保護者、行政、事業所それぞれにとって、より良い仕組みができればと思います。新しく仕組みを作る方法の一つとして、
令和5年4月から運用が開始された、杉並区独自の仕組みとしての
公民連携プラットフォームにも、期待をしております。
私の質問は以上になります。
今後も課題解決に向けて、区民の皆さまのお気持ちに寄り添い、当事者の声をお伝えしていきたいと思います。
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