2024/6/30
再調査委員会報告の概要が発表されました。様々な評価はあるでしょうが、私は、以下の点を特徴的に感じました。あくまで私見です。
1 まず、再調査委員会は、本件につき「いじめの存在」と「被害者の自死」を認定しています。
2 次に、いじめと自死との因果関係について、再調査委員会は、法的な相当因果関係ではなく、事実的因果関係の有無という広い意味での因果関係を検討することによって、事実を幅広く拾い上げ、どうして娘が死に至ったのかという遺族の知りたいとの希望に応えようとしています。
そして、いじめという「作為」と、学校・市教委のいじめを殊更に認定しなかったという「不作為」のいずれもが自死との間に因果関係があることを肯定しています。
なお、いじめについては、はじめて学校内でのいじめも認定したことが原委員会と異なる点です。他方、担任教員の孤軍奮闘と転校後の転校先及び市教委の被害者のための尽力への言及もありました。
結局、転校前学校がいじめ認定を殊更に避けた結果、いじめのない、被害生徒自身の特性の問題として転校後も対策が進んでしまったこと(つまり、転校前学校の隠蔽。筆者解釈)に最大の問題があった旨が示されました。
3 さらに、自死がいじめ後の長期経過後である点について、緻密な心理学的分析と精神医学的分析という手法を初めて採用し、科学的にその因果性を肯定した点が本当に凄いところです。このような分析手法はおそらくわが国初めてで他事案の問題分析にも大変参考になる点だと思われます。
4 私見では、注意すべき点は、上記2の事実的因果関係の肯定が、直ちに法的な因果関係とイコールではないという点です(ただあとは保護範囲の要件のみの通説からは、本件では法的な相当因果関係も裁判上是認されることになるように解されます)。あれなければこれなしとの条件説的な因果関係については、原調査委員会も会見では是認していたことから、再調査委員会は、これをより明確化したと評価されると考えます。
また、上述のとおり、緻密な心理学的、精神医学的分析をもとにその因果関係を肯定したことは、極めて緻密かつ先進的であり、これまで長期間経過を理由に因果関係を切られていた事案への光明を指し示すものであると感じます。
最後の尾木委員長の「旭川を壊すようなことをしてはならない」旨の発言は市議員を含む様々な輩がネット上で本件を利用し旭川への罵詈雑言を述べる現状において、旭川市民として本当に心に響きました。
性教育を避けるわが国の教育のあり方への問題提起と、過度な負担を教育現場の教職員へ押し付けている現状から教育現場への多職種参加での役割分担による教育の負担軽減の意見には強く心を動かされました。
市議会は、再発防止策を議論する場であり、司法の場ではありません。事実認定を争ったり、特定の関係者の名誉回復を争ったり、責任のなすりつけあいという政治論争をする場ではありません。今後、再調査委員会報告の詳細が明らかとなったのち、二度と悲惨な被害者を生まないために、そして何より本件被害者がこの世に存在したことの意味を忘れないようにするために、しっかり責任をもって議論して参ります。

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