選挙ドットコム

高橋 ひでとし ブログ

富良野市で「市長が謝ったら決算認定してやる」などと市議が発言したことが問題となっていますが、旭...

2022/12/11

富良野市で「市長が謝ったら決算認定してやる」などと市議が発言したことが問題となっていますが、旭川市も他人事ではありません。

これまで旭川市議会における討議をみてきて感じたことは「法的・論理的」ではない、市長の足を引っ張ろうとの意図に基づく「感情的・非論理的」主張が公然となされることがあることです。

今期の旭川市議会でも、いじめ問題再調査委員会委員選任について、その中立性、公平性に対する問題が提起されるようです。しかし、私は、感情的・非論理的主張の可能性を感じています。

そのような政治的意図に基づく感情的・非論理的主張が、市民にとってメリットあるものとは到底考えられません。

そこで、法的・論理的であるか、情緒的・非論理的であるかの見極めの判断基準として、以下の通り私の見解を示しますので、市民の皆様の議会監視の一助となれば幸いです。

チェックポイントは、①「人間関係」と「利害関係」を混同していないか、②本件事件につきマスメディアなどからの意見照会に自己の意見をのべたことのみをもって「利害関係」があるなどと短絡的非論理的に認定していないか、です。これらに該当する場合、当該主張は感情的・非論理的と評価でき、当該議員の主張には疑問符がつきます。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

第1 付帯決議で規律される具体的内容
1 文科省ガイドライン
「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(平成29年3月)には、「第4項調査組織の設置」の「調査組織の構成」において、公平性・中立性が確保された組織による客観的な事実認定のために「当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係又は特別の利害関係を有しない者(第三者)」による組織構成に努めるべき旨が示されており、地方公共団体の長等による再調査についても、同様の趣旨があてはまる旨が第10項で示されている。
 このように、ガイドラインでは、「人間関係」と「利害関係」とを明確に区別し、各々その規律を分けていることには注意が必要である。
2 付帯決議内容
 旭川市議会議案第20号令和4年度旭川市一般会計補正予算とこれに関連する議案に対する附帯決議においては、上記⑴との関係では、再調査委員会設置にあたり「調査対象者と利害関係のない、公平・公正・中立な人選を行うこと」が示されている。      
3 文科省ガイドラインと付帯決議の相違
 ⑴ まず、上記の通り、付帯決議事項においては、ガイドラインに示された「当該いじめ事案の関係者」との関係性ではなく、「調査対象者」との関係性に限定されている。
 そうすると、再調査委員会人選にあたっては、「調査対象者」との関係性のみ問題となり、その他の本件関係者との関係性は、論理的には規律対象外との結論となる。
 ⑵ また、付帯決議事項においては、ガイドラインに示された「直接の人間関係」が意図的に削除されている。
 そうすると、再調査委員会の人選にあたっては、本件いじめ事案の関係者との人間関係の有無やその程度は、論理的には規律対象外との結論となる。
 ⑶ さらに、付帯決議事項においては、ガイドラインに示された利害関係についての「特別の」との文言が、あえて削除されている。
 そうすると、再調査委員会の人選にあたっては、広く利害関係を有する者については除外されるべきとの結論となる。
 もっとも、注意が必要であるのは、あくまで「調査対象者」との利害関係であって、「調査対象者」以外の者との利害関係については、付帯決議では一般的中立性公平性確保以外、何ら規律していないという点である。
4 小括
  以上から、再調査委員会人選にあたり、付帯決議との関係で規律されているのは、①「調査対象者」との間で、②「利害関係」がある者の人選に限定されるものである。このため、「利害関係」の意味、内容が重要であって、次項において検討する。

第2 利害関係とは(地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針)
 本指針によれば、「利害関係」の具体的例示の一つとして、「対象事案に関して対象事案の関係当事者から相談、意見照会等を受け、助言し又は自己の認識・見解等を述べたこと」があげられている。
 注意すべきは、「対象事案の関係当事者から」という主体的制限があることと、「相談、意見照会等」を受け、これに対して「助言又は自己の認識・見解等を述べた」という客観的制限があることである。
 つまり、例えば、ある者が対象事案以外について意見表明していた事実や、関係当事者以外のマスメディアなどから対象事案に関する意見照会をうけ、これに対し自己の意見を述べていた事実があったとして、同指針上は、「利害関係」ある者には該当しないことになる。

第3 日弁連第三者委員会ガイドライン
1 位置づけ
 企業不祥事等への対策として第三者委員会制度に対する議論が巻き起こったことから、2010年、日弁連は、第三者委員会の充実と法的問題
解決のため、「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」を策定した。それ以降、各種問題に対する第三者委員会の設置、運用に対しては、同ガイドラインに従うことが慣行化されるなど、我が国における第一次
的で重要な基準として機能している。
2 規定内容
 同ガイドラインには、「第2第三者委員会の独立性、中立性についての指針」のなかで、利害関係について、「企業等と利害関係を有する者は、
委員に就任することはできない。」と定めている。
 なお、上記「企業等と利害関係を有する者」については、さらに注釈で、「顧問弁護士は、『利害関係を有する者』に該当する。企業等の業務を受任したことがある弁護士や社外役員については、直ちに『利害関係を有する者』に該当するものではなく、ケース・バイ・ケースで判断されることになろう。」と記載されている。

第4 第三者委員会に関する諸文献
1 第三者委員会設置と運用(一般社団法人金融財政事情研究会)
⑴ 独立性との関係
  本文献によれば、第三者委員会の独立性に関し、「たとえば、ある特定の技術が問題となっており、当該技術に関する知見を有する専門家が限られており、当該企業等と当該専門家は従前より知己がある場合などもあろう。ジャーナリストなども、当該企業等の技術や業界に知見を有する者であれば、当該企業等に対して接触をしたことなども想定しうる。当該企業等と過去・現在において一定の関係がある場合であっても、直ちに独立性に疑義があるとは考えるべきではない。」とし(52頁)、諸事情を勘案し、例外的に、一定の関係性を有する者が第三者委員会委員となることも許容される旨が明示されている
⑵ 中立性との関係
  本文献によれば、「状況に応じた委員・メンバーの柔軟性の可能性」として、「逆に独立性等を強調しすぎることで、調査の効率性や人選の
幅をせばめる可能性も考えられる。たとえば、顧問弁護士や社外役員は、……知識・経験・人的関係が迅速かつ効率的な調査に資することは考え
うるところである。一律にこれらの者を利害関係があるとして調査にかかわることをいっさい禁じられるは妥当であろうか。現に、経済産業省が令和元年6月28日に公表した『グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針は、98頁以下で、利害関係のない独立社外役員等が第三者委員会の設置の要否を含めた調査体制の選択、同委員会の組成・運営において主導的な役割を果たすことを求めている。」としており(55頁)、利害関係がある場合であっても、諸事情を勘案し、例外的に第三者委員会への関与が可能である旨が明示されている。
                    以上

この記事をシェアする

著者

高橋 ひでとし

高橋 ひでとし

選挙 旭川市議会議員選挙 (2027/05/01) - 票
選挙区

旭川市議会議員選挙

肩書 弁護士、温泉ソムリエ、博士(法学) LL.D.大学講師
党派・会派 自由民主党
その他

高橋 ひでとしさんの最新ブログ

ホーム政党・政治家高橋 ひでとし (タカハシ ヒデトシ)富良野市で「市長が謝ったら決算認定してやる」などと市議が発言したことが問題となっていますが、旭...

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode