選挙ドットコム

松浦 克行 ブログ

免許のない教育者たち・勉強編 高松くんの研究報告 第8話 児童文化②(2の2)

2023/11/23

免許のない教育者たち・勉強編

高松くんの研究報告 第8話 児童文化②(2の2)

2012年5月

児童文化とは,子ども自らが創造した文化,大人がつくって子どもに与える文化,子どもの活動を支援し助長する文化の3つの側面をもつ,子ども時代に体験し,それを糧として心身の成長をはかる児童の文化である。これらの文化を支えるおもちゃ,折り紙,絵本,講演童話・お話,人形劇,紙芝居,ペープサート,パネルシアターなど,子どもの中心的活動である遊びを構成する環境に相当する。ここでは,第2にロシア童話『おおきなかぶ』の,ロシア語原語で書かれたものの中から,アレクセイ・トルストイ再話の物と,イーゴリ・ツガンコフ再話の物を対比的に考察・詳説する。

[ 2 ] 絵本『おおきなかぶ』の対比

 『おおきなかぶ(原題:Репкаレープカ)』は,ロシアの民話である。話しの流れは,おじいさんがカブを植えて,それを大きく育て,抜こうとしたら抜けなかったため,おばあさん,孫(女の子),犬,猫,ネズミの順に呼ばれてきて引っ張るとついにカブは抜けるというお話である。ちなみに,この『カブ』はロシアではボルシチなどをつくる際に用いる真っ赤なビーツ(赤かぶ)であり,白いカブにしてあるのは日本の絵本のみである。

 何故おじいさん(дедкаジェットカ),おばあさん(бабушкаバーブシカ),孫娘(внучкаブヌーチカ),犬(жучкаジューチカ),猫(кошкаコーシカ),ネズミ(мышкаムイシカ)という並びにしたかという事には諸説あるが,これらの言葉は韻を踏んでいる事,全て女性名詞である事,ロシア語独特の格変化が主格(〜は)と対格(〜を)で(дедкаジェットカ→дедкуジエットク)などと同じ変化になりロシア語独特の韻を覚えさせるのに適しているからという説がある。

 この『おおきなかぶ』は,ロシア国内でも幼稚園などで劇遊びの題材として良く用いられている。ロシア国内で出回っている『おおきなかぶ』は主にアレクセイ・トルストイ再話2)の物である。しかし,『ゼロ歳から』という表記のある物は,イーゴリ・ツガンコフ再話3)のものがほとんどであった。この二つの全体的な印象としては,トルストイ再話2)のものは絵の占める割合が多く14頁あり,子どもが自分で読むことを想定された物であると考えられる。一方ツガンコフ再話3)の物は4頁しかなく,保育者が持って読み聞かせをする物という位置づけだと思われる。これは,後述の絵のリアルさなどからも想像ができる。

 次に二つの絵本の中身について比較する。

 まず,出だしのおじいさんがカブを植えるくだりであるが,トルストイ再話2)の物は,たっぷり2頁が裂かれており,Посадил дед репку.(おじいさんがカブを植えました。) Выросла репка большая-пребольшая. (カブは,大きく,大きく育ちました。)となっている。その後、頁が変わってセミコロンで2頁に分けてСтал дед репку из земли тащить : тянет-потянет, вытянуть не может.(おじいさんはカブを大地から抜こうとしました。:引っ張って、引っ張って、カブは抜けません。)と続く。場面変わって,次の頁に,Позвал дед на помощь бабку.(おじいさんは,おばあさんを呼んできました。)次の頁にБабка за дедку, дедка за репку, тянет-потянет, вытянуть не может.(おばあさんがおじいさんを引っ張って,おじいさんがカブを引っ張って,引っ張って、引っ張って、カブは抜けません。)となっている。一頁ずつ丹念に進んでいるが,ツガンコフ再話3)の物は,ここまでの下りが一頁になっていて,絵は最後のおじいさんとおばあさんがカブを引っ張る姿になっている。表現も,おじいさんは最後まで短縮しないдедкаを使っていて,トルストイ再話2)のように省略形дедを使っていない。これは,幼児が文字情報から音声化する事を念頭においていないからだと考えられる。

 次に,動物を順に呼んでくる下りであるが,トルストイ再話2)はおじいさん(дедкаジェットカ),おばあさん(бабушкаバーブシカ),孫娘(внучкаブヌーチカ),犬(жучкаジューチカ),猫(кошкаコーシカ),ネズミ(мышкаムイシカ)としているが,ツガンコフ再話3)は,おじいさん(дедкаジェットカ),おばあさん(бабушкаバーブシカ),孫娘(внучкаブヌーチカ),犬(жучкаジューチカ),猫のミーシャ(миша),ネズミ(мышкаムイシカ)としており,より韻音に重点を置いていると考えられる。

 また,絵本の絵だが,トルストイ再話2)の物は,パステル画の様な物で,ここの登場人物の表情は判然としにくい。この辺りは,子どもに想像させるという目的がトルストイ再話2)の絵本にはあるように思われる。一方,ツガンコフ再話3)の物は,おじいさんの踏ん張っている様子や,疲れ切っている表情などがかなりはっきり描かれており,幼児が紙芝居のように見て読んでもらう前提のつくりにしてあると考えられる。

 私は,教育実習の際に,英語以外の外国語の響きを味わおうという部分保育を企画し,原語のロシア語による読み聞かせを行った。幼児たちははじめポカンとしていたが,調子をつけて読んでやると『引っ張って、引っ張って』の下りなどを真似する子も多かった。絵本には様々な教育効果がある事を再認識できた。

[ 3 ] まとめと私見

児童文化とは何か?

私は、子供たちの悪戯を含む活動の中で、大人が「望ましい活動」として認知して積極的に教育材として子供に提供しているものだと考えている。

ボランティアで佛教大学幼稚園にお世話になった時、「子供が可愛いと思って保育や幼稚園教育に携わるのは危険です。その可愛い子供は、あなたに石を投げるかもしれません。保育者はあくまで客観的に子供の教育をおこなってください」と園長先生はおっしゃっていたが、こういう「社会的に悪い行動」から忌避させ「望ましい行動が何か」理解する子供にするために、大人は、児童文化の環境整備を、子供に気づかれないよう行う必要があると考えている。

そして、児童文化は大人の人間関係構築にも案外有用である。

大学1年生の初回講義で私は「猛獣狩り」を行うが、「ほうれん草・ほうれん草」など多くの児童文化が、見知らぬもの同士の共通言語として働くことが多い。

今度は中東の子供で通じるか、是非試してみようと考えている。

 

  参考文献

1)児童文化,髙橋司編 吉岡剛 髙木智 髙橋良和 岡部秀夫 福尾野歩,佛教大学,2008

2)Репка, А. Толстой, 2009, Мил Искателья, Россия

3)Репка, И. Цыганков , 2013, Мил Детскии, Россия

この記事をシェアする

著者

松浦 克行

松浦 克行

選挙 足立区議会議員選挙 (2023/05/21) 653 票
選挙区

足立区議会議員選挙

肩書 日本美化委員会代表
党派・会派 日本改革党
その他

松浦 克行さんの最新ブログ

松浦 克行

マツウラ カツユキ/57歳/男

松浦 克行

松浦 克行 トップページへ

寄付して応援する

「松浦 克行」をご支援いただける方は、是非個人献金をお願い申し上げます。
※選挙ドットコム会員登録(無料)が必要です。

月別

ホーム政党・政治家松浦 克行 (マツウラ カツユキ)免許のない教育者たち・勉強編 高松くんの研究報告 第8話 児童文化②(2の2)

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_whiteicon_homeicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twitter_whiteicon_youtubeicon_postcode