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免許のない教育者たち・青春編 高松くんの初めてのヨーロッパ旅行 第11話 切符が!

2023/10/29

免許のない教育者たち・青春編

高松くんの初めてのヨーロッパ旅行 第11話 切符が!

1988年9月・ポーランド共和国クラコフ

眠い。

ヨーロッパで憧れの寝台列車。僕は過剰な夢を抱いていた。

しかし実態は国境の度に叩き起こされるという現実と、都度押し寄せてくる「チェンジマネー?」の闇両替への誘いだ。

…うーん。ワルシャワから東ベルリンまでもう一回夜行なんだよなー…

僕は朝ぼらけのように働かない脳みそと、石狩浜から上がった直後のような重い体を引きずってインフォメーションセンターでバス乗り放題の1日チケットを購入した。僕はこのクラコフを今日1日見て回って、夕方の便でワルシャワに抜け、ワルシャワに1泊するつもりだ。クラコフからワルシャワは列車で4時間なので、17時発に乗れば21時にはつくのでもう十分だろう。

とりあえず正規両替所で両替し、両替証明を取得し、まずは夕方の列車を取ることにした。

駅の切符売り場は行き先別になっていた。にらんだ通り南に行く窓口には大量の「ピクニッカーww」が並んでいたが、北行きは奇跡的に数人しか並んでいなかった。

30分ほどで自分の番になった。さて…と思ったら、カーテンをシャッと閉められた。

???どういうこと?

そう思っていると、後ろに並んでいた男性が、窓口に貼られている小さな紙を指差した。

そこには「08:30-09:00/11:00-11:30/13:30-14:00/16:00-16:30」と書かれている。

現在時刻は8:30。これはこの時間は休憩しますよ、という意味らしい。

しかながないので、英雄的労働者の鉄道労働者同志の崇高な休憩時間が終わるまで、資本主義の手先の日本人はまたせていただくことになった。

窓口は9:10ごろ開いた。遅刻した君。君は「種別おばちゃん7号」と命名しよう。

そこでようやく

「17:25、Warszawa、2nd-Klasse、1Person」とドイツ語で書いた紙を渡した。

すると窓口の種別おばちゃん7号は首を横に振る。じゃあ、

「16:15、Warszawa、2nd-Klasse、1Person」と書いた紙を渡した。また横に振られた。

「15:05、Warszawa、2nd-Klasse、1Person」これならどうだ?あれ?だめ!?

後ろの男性がまた背中をこんこん叩いて何やら赤字で書いてある文字を指して言った。

「スリーデイズ、ワルシャワ、オールフル!」

…ええええ?ないの?

やばいじゃん。通過ビザは96時間で切れるから、4日後にワルシャワに向かってもしょうがない。窓口は空いていたから、とりあえず僕は離脱して作戦を考えた。

僕はポーランドの路線地図が貼ってある掲示板を見て考えた。

ヨーロッパピクニックの影響を受けぬようにわざわざ逆回りにしたのに。するとさっき並んでいたおじさんがニコニコ笑いながら、僕に切符を見せてくれた。彼の買った切符は、クラコフーガトヴィッツーワルシャワで一旦大きく西に迂回するチケットで、ガトヴィッツ1泊、到着が2日後のお昼だった。

これは、ワルシャワは無理そうだ。じゃあ、どこへ行こうか?

そう考えてもう一度駅の時刻表を見た。

すると結構な本数の普通列車があることに気がついた。

その普通列車はクラコフーオフィシエンチムーカトヴィッツだ。

オフィシエンチム…どこかで聞いたことあるな。なんだったっけ?

僕はバイブルの「地球の歩き方」を見直した。すると謎はすぐに解けた。

ガイドブックにはにこうあった

「オフィシエンチム(アウシュビッツ)」

ああそうだ。アウシュビッツはポーランド国内だった!

僕は決めた。アウシュビッツ博物館へ行こう。今日はとりあえずクラコフを予定通り観光して、可能だったら行こうと思っていた安いクラシックコンサートを聴きに行こう。そして明日、普通列車でオフィシエンチムに行って、観光した後、カトウィッツで泊まり、昼行列車で東ドイツに抜ければいいや。切符が買えなかったら、普通列車でウロツラフで乗り継げばいけるでしょ。僕は荷物を持って駅から出た。

すると一人のお婆さんに声をかけられた。また「チェンジマネー」か?いや、今日の僕は、正規両替したポーランドズロチを既に持っている。来るなら来い。日本男子らしく「ノー」と断ってやる。そう思っていたら、比較的わかりやすい英語でこういった。

「私は自分の部屋を旅行者に貸している。今日はフランスの女の子が泊まっているが、もう一部屋使えるからどうか?」

僕は気勢を削がれたが、安ホテルを探していたので渡りに船だ。

「いくらですか?」

僕は聞いたら、お婆さんは

「5USドル」

…まあそうだよね。ズロチなんかいらんよね。でも安い!僕はこのお婆さんの家に泊まることにした。

お婆さんと一緒に路面電車に乗り、1件のアパートの前に着いた。

「ここよ」

お婆さんは多分そう言っている。僕はおばあさんについて階段を登った。「17」と書かれたドアの前でお婆さんは鍵を取り出して開けた。

「あら、おかえりなさい!」

そう言ってお婆さんを出迎えた大学生くらいの子に僕は見覚えがあった。

「あ!」

その子もそう言った。ウィーンのYHで一緒だった女の子だった。

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