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続・免許のない教育者たち2023 第48話 中南米へ!(3)温泉リゾートへ

2023/7/10

続・免許のない教育者たち2023 第48話 中南米へ!(3)温泉リゾートへ

 

登場人物:

高松克己(かつての塾講師理科主任→大学教員兼会社社長)

高松菜々子(高松の歳の離れた妻)

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続・免許のない教育者たち2023 第48話 中南米へ!(3)温泉リゾートへ

令和3年(2023)3月。メキシコ合衆国

昨晩はメキシコのビジネスパートナーと我々夫婦でマリアッチを聴きに行った。非常に楽しい夜だったが、商売の話は現状維持となった。ただ、現地法人の税務関係だけは人に依頼して、8月の決算までにまとめていただくようお願いした。

菜々子は、マリアッチ自体は楽しめたようだが、そこに行くタクシーでぼったくろうとしたことが頭にきているようであった。

最近の「ぼったくり」はそう簡単な構造ではない。大概はキックバックを受け取った本物の警察官とグルである。我々が直面したぼったくりは以下のような感じだ。まず、客に声をかけて拾う。メーターは5倍くらいの速度で上がっていく。着いたら普段の5倍の料金を請求する。相場を知ってる客の場合、そこで相場の金を置いて出るので、本物の警察官がやってきて、逮捕するぞと凄む。ほぼ全ての客はここで支払う。

で、僕も相場は調べてあったし、ホテルで料金の概算値も聞いていたため、途中で気づいた。目的地について、相場を支払った上で黙って降りてでたら、案の定、本物の腐敗警察官がやってきた。こういう場合の対処法は決まっている。

日本語だけで対応し、日本大使館に連絡するふりをする。

相手は女性で若い菜々子にだけ凄むが、そんなものが我々に効くわけもない。指一本でも触れたら写真を撮るつもりで、もう携帯カメラは起動済みだ。そして僕はすでに録音を開始している。店の前でやりあっていると、店の人がヘルプしてくれて、試合終了である。そもそも、日本でもそうだが、碑文谷警察管内で警察手帳のID番号を隠して取り締まろうとした警察官がいたので撃退したことがあった。IDを見せれない警察官は後ろ暗いことがある証拠だ。パスポートを出せと言われたが、これをひったくられたら終わりだ。「お前のIDが先」を徹底する。地球の歩き方の例文集を見せるのが役に立つ。

僕は、スペイン語はわからないが、この類の輩には、日本語が一番効く。

英語を使うのも厳禁だ。

外国語は、知ってるからといって、あんまり喜んで使うと足元を見られることが多い。一番有利なのは自分の母国語を使うことだ。僕はロシアで切符売り場など定価販売以外の場所でロシア語を使うことはない。ドイツやオーストリアで商売の取引でドイツ語は使わない。持っているカードを全部使うべきではないし、日本語の発音が「標準語ではない人」とぎりぎりの交渉をして、標準語を喋る我々が「どういう感情を持つか」を考えれば使うべきでないのは理解できるだろう。

多分、舐められて終わりだ。

ということで、今日からしばらくは、菜々子と二人で山奥の温泉リゾートに行く。

観光開発ができればいいと思って乗り込むことにした。

車は、メキシコシティ空港で借りた。高い金を払ってトヨタ車を予約したのに何故か「車がない」とのことで、韓国の起亜自動車の車になった。これも菜々子のお怒りの原因の一つだ。

キアの車は、ポーランドで借りたことがある。100km/h以上で走ると、ハンドルの微振動が酷すぎて危険な上、恐ろしく燃費が悪い。「車風味の何か」を楽しむなら安いKiaでいいのだろうが、オフロードも行くつもりだったので困ったものである。

車を借りて、テオティワカンに寄って、その日のうちに温泉に行こうと考えていたが、大渋滞で小さな途中の街で泊まった。全くスペイン語はわからないし、ホテルの人も英語など全くわからず、なかなか難儀したが快適で安く泊まれた。

翌朝早くホテルをチェックアウトし、温泉に向かった。距離的には近いのだが、スピードが全く出せない。理由は「ロードバンプ」である。

中南米の国々は、幹線道路含めてあちこちにわざと凸凹がつけてある。この凸凹は、ほとんど車が止まるスピードまで減速しないと、車が壊れてしまう。高低差大体15cmくらいのアスファルトの山が道路の真ん中に作ってあるというイメージだ。この「ロードバンプ」の前で大渋滞になる。

一方、そこに住む人にとっては、バンプの後の加速時に返って車の音が激しくなる以外には、メリットが多い。特に、食堂や商店の前で減速してくれるので、車の客引きをしやすい。だから結構一般道には「手作りのロードバンプ」がある。

そして、途中から断崖絶壁の細い道を走るので、速度をつけることができない。イメージは日光いろは坂や、箱根旧1号線の道路はばが半分でガードレールがない状態だった。

ようやく辿り着いた温泉リゾートだが、リゾートというより、旧ソ連の保養所のしょぼいバージョンに近い印象だった。景色は素晴らしいし、ご飯もまあまあ美味しい。人は気さくで楽しいが、肝心の温泉がぬるい。温水プールといった感じだ。川も温泉なのだが、そちらもぬるい。だから、自然を楽しむ分には楽しい場所だが、あれは温泉ではないと思う。

実は世界には、こういった「自然の温泉」がかなりある。

僕が感動したのは、2006年に行った、アフガニスタンの「爆破された大仏・バーミアン」の近くにあったバンデアミール湖である。この地域に住むハザラ人は、見た目が日本人そっくりなので、持ちものさえ気をつければ目立つこともなく快適だった。バンデアミールはお盆になった湖全体が温泉で、一気に深くなるから恐ろしくて沖には行けないが、多くのパシュトゥン人観光客と一緒に泳いで面白かった。

「なかなか観光化は難しいなあ…」

何、商売なんてそう簡単にはうまく行かぬ。

次に期待である。

(第49話へ続く)

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