2023/7/8
続・免許のない教育者たち2023 第46話 中南米へ!(1)旅立ち
登場人物:
高松克己(かつての塾講師理科主任→大学教員兼会社社長)
高松菜々子(高松の歳の離れた妻)
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続・免許のない教育者たち2023 第46話 中南米へ!(1)旅立ち
令和3年(2023)3月。成田空港。
久しぶりの成田空港。今回、出発は菜々子と二人で全日空NH181便メキシコ合衆国・メキシコシティー行き。出先でさまざまな人に会って、色々画策する予定だ。菜々子もようやくブラック病院から解放されて晴れやかな顔をしている。
ただし、コロナウィルスcovid-19は不可思議なことに未だ感染症分類の2類相当ということになっていて、出国時にコロナウィルス48時間以内陰性証明書とやらが必要らしい。そこで、出国前日に羽田空港までフライトの予定もないのに行ってきて、Kグループの格安陰性証明を取得した。都民だと1,000円なので大変ありがたい。これを忘れて成田空港で取得しようとすると、33,000円かかる。
そもそも「陰性証明」とはなんなんだろうか?
PCR法がかなり結果に誤差が大きい検査法であることはひとまず置いておこう。そうでなくとも、理系の学生は1年生の「自然科学概論」とかで、実験データの取り扱いについて、実験計画の立て方、などを学ぶはずだ。その中で何度も強調される
「化学は存在するものを『ある』と言えるが、存在しないものを『ない』とは言えない」
…を、みんなが忘れてしまって商売に邁進しているように思える。
昔、「横田めぐみさんの遺骨」と言われる「墓土」を北朝鮮が日本に渡してきたことがあった。これを日本政府が依頼して分析した結果、横田めぐみさんのDNAに一致するDNA配列を持つ物質が検出されず、「横田めぐみさんの遺骨の可能性は低い」と発表した。
マスコミがそれを「横田めぐみさんの遺骨ではない」と報道し、日本は英国の科学雑誌Nature誌上のコメントで、「日本政府は科学がわかっているのか?」と批判された。
もちろん、北朝鮮が日本海側の各地やヨーロッパで行ってきた拉致を正当化するつもりは毛頭なく、むしろ「グレてしまった旧日本領・北朝鮮」を平和裡に終息(≠収束)させることは日本はやらねばだとは思う。しかし、この政府広報は3つの点で間違っていると思う。
まず第1点目だが、科学的なものの見方という観点が間違っている。
横田めぐみさんの墓から持ってきたという土は、その地域の土全てではない。一部を持ってきた。自然界の物質は全てが食塩水のような「一様混合物」ではなく、成分は不均一である。だから、全ての土を検査してない限り、その土が遺骨でないとは言えない。要は、湖に網を投げて魚が取れなかったから、「この湖には魚がいない」という結論をつけるのと似ている。
だからこその「横田めぐみさんの遺骨の可能性は低い」である。マスコミのアンポンタンは「横田めぐみさんの遺骨ではない」とやったが、この二つの「命題」は同じではない。
次に第2点目。DNAは壊れやすい。リボース2位ヒドロキシ基が触媒として機能する恐ろしく壊れやすいRNAのようなものは残っているとすれば奇跡だが、DNAとてそれほど強固ではない。壊れやすいからこそ二重螺旋構造で配列が壊れないように厳重なセキュリティーがかかっている。もちろん残っていることもあるが、人間同士のDNA塩基配列は1%程度しか違わない。DNAの多くはすぐ壊れて、採掘した時、配列が違う部分にたまたま当たる確率などほぼゼロである。
そして第3点目は、故・安倍晋三元首相も言及していたが、これをしつこく報道することで北朝鮮が生きている横田めぐみさんや、その他の拉致被害者たちを、本当に骨にしてしまう可能性が高い。特にグレー領域にある被害者が危険だ。
以上3点から、政府があの「土」について、少なくともマスコミにわかるように言及したのは、根本的に間違えている。
だから、第1点目の観点から「陰性証明」とはなんぞや?となる。
例えば、鼻腔内にコロナウィルスが付着していたとする。これで鼻腔を拭って培養して陰性だったとして、簡単に言えば反対の鼻の穴や、鼻腔奥に付着してる場合は?実際、一緒にロシアに渡航した慶応の学生が、鼻腔内を少し洗浄してPCR再検査したら無事陰性になったことからも、このPCR 検査がいかに意味がないかがわかる。もちろん慶応のこの子は、一切発症しなかった。感染≠発症は全く違うことも、みんななんでわからないが不思議だ。
まあ、商売が絡むと真実はどうでも良くなる事例は、卑近な例でもよく目にするのでわかる。
ロシアのこととか。土葬墓地のこととか。LGBTQ+とか。
このうち2つは米国の政権が共和党に戻ったらぐずぐずで解決すると思う。
まあいい。今回は不愉快な話はもういい。こんなつまらない商売なんかしたくない。
「ね、ついたらテオティワカンだね!」
菜々子が明るい顔でいう。彼女は非常に気を遣うタイプでブラック病院地下労働者だった時はよく無理して笑っていたが、今回は心から嬉しそうだ。
「うん?まずは仕事…」
「むーーーーーー!」
「はいはい。マリアッチも聴きに行こうね!」
「楽しみだね!」
僕は仕事のことが頭の中をチラチラしていたが、まあ、楽しめるときには楽しもうと思う。そして現地集合の社員のことも気になっていた。
ま、うまく行くでしょう!!
(第47話へ続く)
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マツウラ カツユキ/57歳/男
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