2023/6/2
続・免許のない教育者たち2023 第10話 コロナ下での出来事(5)連絡途絶
登場人物:
高松克己(かつての塾講師理科主任→大学教員兼会社社長)
高松菜々子(高松の歳の離れた妻)
大野秀俊(元大学教授→現在嘱託)
栗沢良二(高松が所属する政党代表)
田中恵美子(高松が所属する政党秘書)
夏山和也(塾講師時代の高松の部下・現名古屋で高校の管理職)
千葉雅也(高松の教え子・札幌でIT系会社を経営する敏腕社長)
佐藤理代(高松の教え子・札幌で産婦人科女医、3児の母)
渡辺雪乃(高松の同級生で元カノ、既に故人)
飯山正明(高松の尊敬する東北某県の元教育長)
荻野恵(高松の会社の古株社員。26歳)
川松倫太郎(高松の会社の学生社員。21歳)
大森絢音(高松の会社の専従社員。24歳)
スザンヌ・レッフェルホルツ(ウィーン大学の指導教官)
トーマス・トラウトマン(ベルリン大学教員・論文の査読担当)
アレクサンデル・マズル(ポーランドの取引先社長)
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第10話 コロナ下での出来事(5)連絡途絶
(第9話より)
令和2年(2020)4月。コロナ禍の東京。
今、日本はコロナウィルスで大変な騒ぎになっている。
高校も大学もwebを使った遠隔授業になり、お家で仕事をする体制になってしまった。その面では学校関係の仕事はずいぶん楽になった。おかげで太ってしまったが。
しかし、輸出入の仕事をしている自分の会社は悲惨である。
前年少なくなったとはいえ年商1億程度はあったのだが、本年は、第一四半期の売買額がなんと150万円。人件費を支払うことも困難な水準であった。国の支援金、東京都の支援金も毎月25万円にしかならず、全く焼け石に水である。やむなく、中野の会社は一旦事務所を閉じて、自宅で各自仕事をしてもらうこととした。わずか10万そこそこの家賃やそれに付随する光熱費すら支払い困難な状況となった。
コロナが大変だ、大変だと騒ぎ立てるマスコミはますますエスカレートした報道を相変わらず行っていた。致死率0.50%と言って喜んで報道していたが、その実態は、呼吸器疾患を元々持つ80歳以上の高齢者が中心で、生産年齢層(15〜65歳)の致死率は極めて低い。むしろ同時期に日本に入ってきたSARSの方が致死率30%である。
マスコミというシステムはそもそもシステム上無理がある。たとえば、新聞もテレビも、毎日一定量の「衆目を引く」ニュースを用意しなくてはならない。ニュースがないから休刊、ニュースがないから放送中止というわけには行かない。無理にでも紙面を埋めなくてはならないし、無理にでも1時間一杯一杯放送しなくてはならない。
祖父がよく言っていた。
「飛行機は一回落ちたら必ず3回落ちる。新聞はたくさん読んで読み比べないと何が本当のことなのかわからなくなる。」
飛行機が3回落ちる理由。それは呪術的な何か、ではなく、全てマスコミの都合による。
大きな飛行機事故があると、それに世間の人が注目して、ニュースを見たくなるから新聞が売れてテレビは視聴率が上がる。この状態は、マスコミにとってはありがたい。「飛行機事故」という冠がつけば、どんなしょぼいインシデントでも、どんな過去の出来事でも、「最初の事件がセンセーショナルであればあるほど」提灯記事にできれば衆目を引ける。だから一度はこうして視聴者や購読者を騙して販売ができる。
まあ、東京スポーツとかのタブロイド紙がかつてよくやっていた手である。
しかし、これで読者や視聴者が見てくれるのはせいぜい3回目が限界だ。だから、3回はマスコミが「紙面を埋める」「時間を埋める」ために同じニュースを流す。そして諦めて新しいネタを探すのだ。だが、そもそも「ネタを探す」ということ自体が本末転倒である。本来の報道は、事件があったから報道するのであって、報道するために事件を探す、という発想自体がそもそも間違っている。そして、探しているネタは人の不幸である。
新しいニュースを探すことは非常に大きな苦労を伴うことは容易に想像がつく。だから、今回のコロナのような毎日毎日患者が出てきて、何千人、とやることができるニュースはマスコミにとってはありがたい。同じネタで労することなく紙面を埋めることができる。だから、コロナが収束しかかっていた時、たとえば「さざなみ」になってきた2020年夏は一番必死だったのはワクチンバブルの病院と医師会、次がマスコミであった。だから、冬になって患者数が増加して、医師会とマスコミはさぞや安堵したことだろう。
まあ、やりすぎて医師会もマスコミも信頼を全く失ったのだが。
僕の目には、「信頼」という得難い財産を、彼らは換金してしまったように見える。
マスコミがやらかして一つの産業をズタボロにした件を、僕はいくつも見てきた。狂牛病の時の吉野家、なんの偽装かよくわからなかった雪印、偽装がニュースになると味を占めたマスコミによる偽装の大暴露大会。いや、悪いことを見逃せと言っているのではない。悪いものは悪いのだが、叩かなくていいものまでしつこく叩いて産業をダメにしている。現在のJR北海道が次々路線廃止する必要がある程度に弱体化したのは、北海道新聞の力が大きいと考えている。戦前では、伊勢電気鉄道が倒産したなどの昭和恐慌の後にもかかわらず日本経済に大打撃を与えた「私鉄疑獄」は、原敬の追求も大きいが、朝日新聞の動きが民衆扇動を行った結果だとしか僕には思えない。
私鉄の社長を、なんで全員逮捕する必要があったのか?僕には全くわからない。
マスコミが今回のコロナウイルスの最大の問題解決を阻むものになることは明白であった。彼らはいつも「既得権益がどうのこうの」という発言を行い、そのように報道する。しかし、既得権益という発想は、普通に暮らしていると全く意識に上ってこない。彼らがそれを口にする理由は、「自分が既得権益の中にいる」自覚があるからである。
さらにマスコミが問題であるのは、彼らの報道内容を受信し続けた視聴者・購読者の意識を蝕むことである。何か問題解決をしようとする場合、一番時間がかかるのは、合意形成であり、その中でも「結論ありき」の論者をいかに感情論から解き放って、建設的な議論に参加させるか、詭弁論法に持ち込ませないかである。
マスコミの報道や論調は、国語の試験で書いたら一発アウトの論理ギャップがあったり、詭弁論法が多い。つまり、マスコミは、まともに物を考える力を奪っている。
現在のマスコミはただ他者を批判して、批判したことだけで社会貢献したと思わせるようなクリティカル・シンキングを完全に履き違えた子、はっきりいえば社会の中で組織の足を引っ張り役に立たない「AIの方がマシな行動・思考規範を持つ子」を大量生産している。
アルバイトを募集すると、ある確率で問題児がくる。
わかりやすい問題児は、現在はほぼいない。しかし、私が問題児だと思う子は確実にいる。何か頼むと「できない理由」を並べ始める。それを聞く社員はイライラするし、士気も下がり説明する時間も食う。社長としては、こういう子には、給料日に高い給料をあげて、次からはもう呼ばない。お金があればしばらくは働きたいと言ってこないからだ。お金が尽きるまでに、大急ぎで別のバイトを入れておく。高い給料は、手切金である。
実はマスコミの影響を受け続けると、こういう子になる。だから、こういう子は、ある意味ではマスコミの被害者だとも言える。
こういう人にとっては、コロナのような破滅的な状況は、その状況に酔って自分が行政を批判でき、自分が役目を果たしたような気になれる絶好のチャンスである。
マスコミにこんな美味しい餌を社会は与えてしまった。
そして、この状況は、我が社にとっては廃業の危機である。いつまでも、いつまでも、コロナが続いてほしいと思って報道するのだから、たとえただの風邪になっても報道は続けることが容易に想像つく。実際、テレビ報道に絶望して顧問税理士まで廃業して逃げた。
そんなおり、ポーランドの話は渡りに船だった。
僕はポーランドのIBANを通じて50万米ドルの決済をかけた。そして、商品が日本に入ってくるのを待った。
だが、ご存知の通り、優先順位の低いロットに枠が振り当てられることはなかった。
そして、ポーランドのアレクサンデル・マズルとの連絡は、全く取れなくなった。
私たちは、騙されてしまった。
(第11話に続く)
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マツウラ カツユキ/57歳/男
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