2024/5/2
調査研究活動等に必要な経費の一部として地方議会の議員や会派に交付される資金。
政務活動費制度は、政務調査費制度の使途が拡大(平成24年の地方自治法改正)されたものです。従来は「調査研究」に限定されていた使途が「調査研究その他の活動」に拡大されると同時に、使途の透明性を確保するための努力を議長に求める旨の条文も加えられました。
地方自治法 第100条 第14項 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務活動費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
地方自治法 第100条 第15項 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の状況を書面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の近くによつて認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもつて議長に報告するものとする。
地方自治法 第100条 第16項 議長は、第14項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
政務調査費制度設立の背景には、地方公共団体が「地方分権一括法(平成11年に地方分権推進を目指して成立)」により、自己責任の範囲&自己決定権を拡大したことがあります。地方議会の役割や機能も、それに伴って拡大し、議会の活性化や議員の審議能力の向上が求められるようになりました。
地方自治法 第100条 第14項(改正前) 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。
政務活動費の運用は、各地方公共団体の条例の定めるところによるもの(地方自治法第100条第14項)とされています。そのため、政務活動費の交付対象や交付金額、交付方法等は地方公共団体ごとに異なります。
政務活動費が交付できるのは、会派又は議員(地方自治法第100条第14項)とされています。そのため、地方公共団体は、1.会派のみ 2.議員のみ 3.会派及び議員 4.会派または議員(選択制)のいずれかに、交付対象を定めることができます。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第2条 政務活動費の交付対象は、御殿場市議会における会派(所属議員が1人の場合も会派とみなす。以下「会派」という。)とする。
小山町議会政務活動費の交付に関する条例 第2条 政務活動費の交付対象は、小山町議会における会派(2人以上の議員で結成されたものをいう。以下「会派」という。)又は議員の職にあって会派に属さない者(以下「無会派議員」という。)とする。
政務活動費の交付額は、各地方公共団体が条例によって定めるもの(地方自治法第100条第14項)とされていており、さまざまです。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第3条 政務活動費の交付額は、4月1日における会派の所属議員数に年額20万円を乗じて得た額とする。
裾野市議会政務活動費の交付に関する条例 第4条 会派に対する政務活動費の交付額は、各月1日(以下「基準日」という。)における当該会派の所属議員の数に月額2万2,500円を乗じて得た額とする。
静岡県政務活動費の交付に関する条例 第4条 政務活動費は月額450,000円に当該会派の所属議員の数を乗じて得た額とする。
政務活動費の交付方法(頻度)は、各地方公共団体が条例で定めるもの(地方自治法第100条第14項)とされており、1カ月ごとに交付されるケース、4半期ごとに3カ月分がまとめて交付されるケース、1年ごとに12カ月分がまとめて交付されるケースなどさまざまです。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第3条第2項 政務活動費は年度分を一括交付する。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第3条第3項 議会の解散又は議員の任期満了に伴う改選があった場合は、任期開始の日における会派の所属議員数に、第8条第2項に規定する返還額の合計額を改選後の議員数で除した額を乗じて得た額を、政務活動費として交付することができる。この場合において、政務活動費に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てるものとする。
富士市議会政務活動費の交付に関する条例 第4条 政務活動費は、前条第1項に規定する額を半期(4月から9月まで及び10月から翌年3月までの各区分による期間をいう。以下同じ。)ごとに当該半期に属する月分(半期の中途において議員の任期が満了する場合は、任期満了日の属する月までの月分)を当該半期の最初の月の末日までに交付する。
政務活動費からの支出が認められるのは、議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部(地方自治法100条第14項)です。そこで各地方公共団体は、政務活動費制度導入時に、どのような用途に支出できるかを示す基準(政務活動費交付に関する条例)を定めます。
御殿場市の政務活動費使途基準
項目 |
内 容 |
主な支出項目 |
| 調査研究費 | 会派が行う市の事務、地方財政等に関する調査研究及び調査委託に関する経費 | 宿泊費、日当、交通費、旅費等 |
| 研修費 | 会派が研修会を開催するために必要な経費又は団体等が開催する研修会の参加に要する経費 | 会場費、講師謝金、出席者負担金・会費、宿泊費、交通費、旅費等 |
| 広報費 | 会派が行う活動、市政について市民に報告するために要する経費 | 広報・報告書印刷費、送料、会場費、ホームページ維持管理費等 |
| 広聴費 | 会派が行う市民からの市政及び会派の活動に対する要望、意見の聴取、市民相談等の活動に要する経費 | 会場費、印刷費、茶菓子代等 |
| 要請・陳情活動費 | 会派が行う要請・陳情活動に要する経費 | 印刷費、文書通信費、交通費等 |
| 会議費 | 会派が行う各種会議及び団体等が開催する意見交換会その他の各種会議への会派としての参加に要する経費 | 会場費、資料印刷費、交通費、文書通信費、参加費等 |
| 資料作成費 | 会派が行う活動に必要な資料の作成に要する経費 | 印刷製本費、翻訳料、事務機器購入費、リース料等 |
| 資料購入費 | 会派が行う活動に必要な図書、資料等の購入に要する経費 | 図書代、新聞(専門紙)・雑誌購読料等 |
| 人件費 | 会派が行う活動を補助する職員を雇用する経費 | 給料、手当、賃金等 |
| 事務所費 | 会派が行う活動に必要な事務所の設置及び管理に要する経費 | 事務所の賃借料、維持管理費、備品購入費、事務機器購入費、リース料、通信費等 |
政務活動費の交付を受けた会派は、経理責任者の設置及び収支報告書を作成を行い、定められた期日までに議長に提出する義務があります。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第6条 会派は、政務活動費に関する経理責任者を置かなければならない。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第7条 政務活動費の交付を受けた会派の経理責任者は、政務活動費に係る収入及び支出についての政務活動費収支報告書(以下「収支報告書」という。)に、支出に係る領収書(以下「領収書」という。)を添えて、議長に提出しなければならない。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第7条第2項 収支報告書及び領収書は、前年度の交付に係る政務活動費について、毎年4月末日までに提出しなければならない。
沼津市議会政務活動費の交付に関する条例 第5条 会派は、交付を受けた政務活動費の経理を明確に行うため、経理責任者を置かなければならない。
沼津市議会政務活動費の交付に関する条例 第6条 政務活動費の交付を受けた会派の経理責任者は、政務活動費に係る収入及び支出の報告書(以下「収支報告書」という。)を作成し、領収書等の証拠書類を送付して議長に提出しなければならない。
沼津市議会政務活動費の交付に関する条例 第6条第2項 収支報告書は、前年度の交付に係る政務活動費について、毎年4月30日までに提出しなければならない。
政務活動費の交付を受けた会派及び議員は、年度ごとに残預金(支出されず残った政務活動費)及び目的外とみなされた支出があった場合、定められた期間までに交付元の地方公共団体に返還しなければなりません。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第8条 政務活動費の交付を受けた会派は、その年度において交付を受けた政務活動費の総額から、当該会派がその年度において支出した総額を控除して残余の額があるときは、当該残余の額を返還しなければならない。
御殿場市議会政務活動費の交付に関する条例 第8条第2項 議会の解散又は議員の任期が満了した場合は、政務活動費の交付を受けた会派は、交付を受けた政務活動費の総額から、当該会派が解散の日又は任期満了の日までに支出した総額を控除して残余の額があるときは、当該残余の額を返還しなければならない。
京都市議会政務活動費の交付等に関する条例 第15条 会派政務活動費の交付を受けた会派(当該会派が解散した場合にあっては、当該会派の代表者であった者。以下同じ。)及び議員政務活動費の交付を受けた議員(当該議員が議員でなくなった場合にあっては、当該議員であった者。以下同じ。)は、第12条の規定により収支報告書等を提出した場合において、残額があるときは、当該残額を速やかに市長に返還しなければならない。
京都市議会政務活動費の交付等に関する条例 第15条第2項 市長は、会派政務活動費の交付を受けた会派又は議員政務活動費の交付を受けた議員が、第11条に規定する経費の範囲外に当該政務活動費を使用したと認めるときは、当該会派又は当該議員に対し、既に交付した政務活動費の全部又は一部の返還を命じることができる。
条例で定められている使途基準の多くは、政務活動費を充当できる費目を例示するだけにとどまっているため、支出の適法性を見極める基準としては曖昧と指摘する声もあります。
同じ費目の支出であっても、支出状況や立証方法の違いによって、適法性の基準が異なるケースも目にします。ある判例では適法でも、別の判例では一部しか適法とされなかったり、全額が目的外の違法な支出とされたりすることも考えられます。
調査旅費は、調査研究活動のために必要な先進地調査や現地調査に必要な経費(交通費、宿泊費、旅費等)です。しかし、政務活動費は実費弁償が原則であるため、調査旅費に関しても政務活動費から支出できるのは実費分のみであり、概算額や見積額の支出は認められません。
これらのいずれかに該当するケースは適法性を確認されやすいです。
研修費は、会派(/議員)が研修会を開催する経費及び他団体の研修会に参加する経費(会場費、講師謝礼、出席者負担金等)としています。
これらのいずれかに該当するケースは適法性を確認されやすいです。
資料購入費は、調査研究活動のために必要な図書や資料の購入に要する経費としています。
これらのいずれかに該当するケースは適法性を確認されやすいです。
事務所費は、会派(/議員)が調査研究活動の拠点とする事務所に係る経費(事務所賃料、維持管理費、備品購入費、事務機器購入費等)としています。
これらのいずれかに該当するケースは適法性を確認されやすいです。
政務活動費の支出は、調査研究その他活動に必要な経費に限ります。次の経費については原則として支出することができません。
交際費は基本的に政務活動費から支出することが許されません。
平成25年の福岡地方裁判所判決では、会派が支出した研究研修費に自治会や子ども会、同窓会への参加費など交際費的な意味合いが強い会合の参加費が含まれているとして、研究研修費のうち半額について政務活動費からの支出が認められませんでした。
政党のための活動経費は政務活動費から支出することができません。
選挙運動に係る経費は政務活動費から支出することができません。
後援会活動に係る経費は政務活動費から支出することができません。
政務活動費は原則として議員本人に係る経費にのみ支出が認められています。
政務活動費は、年度ごとに定められた金額が交付されているため、当該年度以外の期間に発生した経費については支出することができません。
ある支出の適法性について、住民訴訟等(第三者による事後検証)で必要となった際に領収書等を提出する必要があります。証拠として提出できない場合、当該支出は使途基準に合致しない違法な支出と解されます。
政務活動費は、全国共通の明確なルールや年度ごとにきっちりと決算できる仕組み(外部監査等)を整備する方が良いと思います。判断に迷う支出が多いと議員の活動量が低下しやすいです。
詳細プロフィールはこちら。
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