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【調査資料】主要国の償却資産課税の実態

2025/1/21

先日、浜田聡事務所宛に有識者の方から「主要国の償却資産課税について調べてみるのはどうか」とご提案を頂きました。

浜田聡事務所より早速国会図書館へ調査依頼し、回答内容をご紹介します。

 

【依頼内容】

償却資産に対する固定資産税について 
主要国の償却資産に対する課税について調査 
①償却資産に対して課税されているかどうか、されている場合はその内容詳細

②償却資産に対して、固定資産税という名目以外で課税されるものがあれば、その内容詳細 

③①②について、過去に課税していたが廃止された税がある場合、廃止された税の内容と廃止理由 

 

【回答】

①償却資産に対する課税の導入事例 
○ 米国の多くの州や韓国では、償却資産に対する課税がなされています。米国の制度の詳細については資料1~2を、韓国の制度の詳細については資料4を御覧ください。 

 

②償却資産に対する課税の廃止事例 
○ 米国オハイオ州では、投資への影響が問題視されたことから、償却資産に対する課税は2005 年度から 2009 年度まで 5 年をかけて段階的に廃止されました。(資料1~2) 

○ また、米国ミシガン州においても、近隣州における償却資産に対する課税の削減や廃止の動向を背景として、償却資産に対する課税は2016年度以降、段階的に非課税となる対象が拡大され、2023 年度に廃止されました。(資料1、資料4)

 

【資料リスト】

資料1 前田高志「アメリカにおける償却資産課税の概要と最近の動き;有形動産税の廃止はあり うるのか」『経済学論究』71(1), 2017.6.

https://kwansei.repo.nii.ac.jp/records/26032

資料2 前田高志「海外調査報告 アメリカ合衆国における地方償却資産課税の実態調査」『平成 2 8 年度 地方税における資産課税のあり方に関する調査研究委員会報告書』2017, pp.27-41.

https://www.recpas.or.jp/new/jigyo/report_web/pdf/h29_all/h29_report_arikata.pdf

資料3 Ministry of Economy and Finance KOREA, “2024 Korean Taxation,” pp.320-324.

https://english.moef.go.kr/pm/KoreanTaxationList.do

資料4 松井克明「米国ミシガン州の2011年企業課税改革―課税ベースをめぐる議論を中心に―」 『日本地方財政学会研究叢書』第25号, 2018, pp.79-105.

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jalpf/25/0/25_79/_pdf/-char/ja

 

国会図書館からの提供資料1の一部を下記にご紹介します。

アメリカにおける償却資産課税の概要と最近の動き 有形動産税の廃止はありうるのか

2 アメリカの有形動産税の概要

アメリカの地方基幹税である地方財産税(LocalProperty Tax)は不動産税(Real Property Tax またはReal Estate Tax)と動産税(Personal Property Tax)とからなる。動産税はかつては債権や株式などの無形動産にも課税されていたが、現在は有形動産のみを課税対象とすることが多いため、実質的には有形動産税(Tangible Personal Property Tax)である。(略)

有形動産税は、州によって違いはあるが、機械・装置等の償却資産や棚卸資産、自動車、農業用設備・器具などに課税される。わが国の固定資産税(償却資産)のように償却資産のみを課税対象とするものではないが、それに相当するのが有形動産税である。

まずは、有形動産税の現状について概観しておきたい。表1の①欄に示すように、現在、デラウェア、ハワイ、イリノイアイオワニューハンプシャーニュージャージー、ニューヨーク、オハイオペンシルバニアサウスダコタの10州を除く40州とワシントンDCが有形動産税を課税している。ただし、ノースダコタ州は州政府が資産評価を行う一定の有形動産のみ課税対象となるので、実質的には非課税である。また、ミシガン州は現在、有形動産税を段階的に廃止しており、2023年には完全廃止となる。ウィスコンシン州でも近い将来、有形動産税が廃止される可能性がある。

CCHの2016 U.S. Master Property Tax Guide によれば、有形動産税を課税している州の概要は以下の通りである。(略)

3 有形動産税の廃止と縮小の動き

(1) オハイオ州の有形動産税廃止(本文略)

(2) ミシガン州の有形動産税廃止(本文一部抜粋)

①少額資産所有事業者への非課税(Small Taxpayer Personal Property Tax Exemption)
所有するすべての製造業、商業用動産の総評価額が80,000ドル以下の事業者は非課税とする。
②適格製造業用動産への非課税(Eligible Manufacturing Personal Property)
・2006 年以前に最初の所有者によって取得された適格製造業用動産は、2016年度より非課税とする。
・2006 年から2012年の間に最初の所有者によって取得された適格製造業用動産は、取得年より(取得年を含めて)10年経過時点で100%非課税となるように、段階的に非課税額を拡大する。
・2012 年以降に最初の所有者によって取得された適格製造業用動産は2016年より100%非課税とする。
適格製造業用動産の非課税は取得年が2006年であれば2017年以降、2007年であれば2018年以降、2008年であれば2019年、2008年であれば2019年以降というかたちで100%非課税となるので、最終的に2012年に取得された資産が10年目を迎える2023年にすべての適格製造業用動産が非課税となり、有形動産税の廃止が完結することになる。

(3) 有形動産税課税の縮小(本文略)

Errecart, Gerrish & Drenkard(2012)は近年の有形動産税の動向について以下のように整理している。

・有形動産税を課税する州は減少している。
・有形動産税は企業にとって大きな税負担をもたらしている。
・現在、7州で有形動産税は廃止されているが、そのほか、4州では実質的に非課税に近い状態になっており、2000年から2009年の間に有形動産税の州民1人当たり税収額は20%減少している。
・2012 年11月、フロリダとアリゾナの2州で有形動産税の非課税枠(少額資産の非課税)を拡大する住民投票が実施された。
そして、今後の有形動産税のあり方に対しては次のような考え方を示している。
・今後、各州は有形動産税を段階的に縮小・廃止すべきであり、それによって経済的な歪みが減少し、経済成長にも資することになる。
・州は有形動産税を廃止する場合、その代替財源を投資や経済成長に影響を及ぼすような税に求めるべきでない

(略)

このような有形動産税の縮小の動きは徐々に課税から撤退しながら最終的に廃止に至る動きなのであろうか。あるいは、どこかで一定の「歯止め」がかかるのであろうか。そのことを予測する上で、1人当たり税収額及び税収額の対歳入比の双方で(有形動産税を廃止したオハイオ州を除き)最も減少・低下が顕著であったインディアナ州に焦点をあて、同州における有形動産税をめぐる動きについてみておきたい。

4 インディアナ州における有形動産税をめぐる動き

(一部抜粋)

・・Pence知事は、地方財政への影響にも配慮しつつ事業用資産への有形動産税の廃止を主張し、議会に廃止提案を行っている。この廃止案を上院共和党は支持し、Luke Kenley議員は次のように述べている。

これまでの税制改革は明らかにインディアナ州にとって成果をもたらしている。...財産税におけるCap(課税の上限)の設定、所得税減税、相続税の廃止により、インディアナ州は雇用の拡大において他の大半の州に勝っている。しかし、まだ改善の余地がある。上院法案1号(有形動産税廃止案;筆者注)は雇用主達が事業を拡大し、州に新たな雇用をもたらすことを助けるであろう。中小事業者は健全な州経済の支柱であるが、動産税は中小事業者に資金面での負担をもたらすものである。この法案はその負担を軽減する。

州議会下院議長のBrian Bosmaも同様の意見表明を行っている。

インディアナ州は革新的であり、競争の先頭に立つためのあらゆる機会を探し続けねばならない。カウンティに動産税の取扱いについての選択肢を与えることは、雇用創出を生み出すためのカウンティのフレキシビリティを高め、より多くの手段を与えることになる。

※後述は省略します。興味のある方は上部にありますリンク先より資料をご覧ください。

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著者

村上 ゆかり

村上 ゆかり

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