2024/11/3
兵庫県知事選挙が盛り上がっています。兵庫県知事選には、政治団体NHKから国民を守る党の立花党首も立候補されています。
これらとの関連で党役員からの指示を受け、浜田聡事務所より調査依頼した資料を共有します。参議院調査室と国会図書館へ同じ調査依頼を送りました。
【依頼内容】
兵庫県の斎藤前知事の失職について
①兵庫県の斎藤前知事が失職に至るまでの経緯
∟時系列で、可能な限り事実と報道を分けて調査頂きたいです。
∟関連する議事録、百条委員会に係る公開資料、本人への取材に対するコメント等
②斎藤知事を批判する主な主張(問題点等)をまとめて頂きたいです。
∟可能な限り、事実と憶測や意見を分けてほしいです。
③斎藤知事ご本人を含めて、斎藤知事の対応に問題が無かった、または②を批判する方の主な主張をまとめて頂きたいです。
∟可能な限り、事実と憶測や意見を分けてほしいです。
※補足/さいとう前知事について、「齋藤」と書かれている文書(主に会議録等)と、「斎藤」(主に報道記事等)と書かれている文書が混在しています。このブログでは、「斎藤」としています。
回答ですが、参議院調査室及び国会図書館からの資料を整理して順にご紹介します。
▼兵庫県の斎藤前知事が失職に至るまでの経緯
月 | 日 | 出来事 |
3月 | 12日 | 西播磨県民局長(当時)が、斎藤元彦兵庫県知事(当時)によるパワハラなど、7項目について告発する文書を兵庫県議会や報道機関に送付。 |
20日 | 知事が文書の存在を把握。 | |
21日 | 知事は、片山安孝副知事(当時)ら県幹部と対応を協議。文書作成者の特定を指示。 | |
22日 | 人事当局が、文書作成に関与していると思われる複数の職員の公用メールを調査。 | |
23日 | 局長の公用メールから文書作成の関与の可能性が高いと人事当局が知事へ報告。知事が局長への聴取実施を了承。 | |
25日 | 副知事らが局長を事情聴取し、公用パソコンを押収。 知事側は、局長がうわさ話を集めて文書を作成したことを認めたと主張。 局長側は、告発文書は1人で作成し、他に関係者はいないとのみ伝えたと主張。 |
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27日 | 兵庫県人事課が局長を解任し、同月末の退職を保留。 | |
知事が記者会見で「嘘八百」などとし、疑惑を否定。 | ||
4月 | (4月頃から) | 副知事、小橋浩一前理事、原田剛治産業労働部長、井ノ本知明総務部長(当時)が告発内容とは関係ない、元局長の私的な情報を漏えいした疑い。 |
4日 | 元局長が兵庫県の公益通報窓口に、文書内容の一部を通報 | |
10日 | 記者会見において、知事は元局長による公益通報に関して、内容は承知していないとしつつ、「公益通報が届いているのであれば、基準に従って調査等がなされていくものだと認識」しているなどと回答。 | |
16日 | 文書で指摘された物品(コーヒーメーカー)の受取について、知事ではなく、産業労働部長が受け取っていたことが発覚。同物品は3月下旬、製造元に返還されていた。 | |
20日 | 告発文書で言及された、プロ野球阪神・オリックスの優勝パレードの経費をめぐる疑惑について、病気休暇中とされていた当時の担当課長が死亡。 | |
5月 | 7日 | 幾つもの非違行為があったとして、公益通報の調査結果を待たず、兵庫県は元局長を停職3か月の懲戒処分とした(産業労働部長は訓告処分)。 |
21日 | 兵庫県議会が全会一致で第三者機関の設置を要請。知事が要請に応じ、第三者機関による再調査を決定。 | |
22日 | 第三者機関の設置を受け、知事は記者会見において、「客観的な調査をしていくことが、県政の信頼性をより高めていくことにつながる」などと回答。 | |
6月 | 13日 | 兵庫県議会が百条委員会(文書問題調査特別委員会)の設置を決定。維新、公明は反対。 |
14日 | 百条委員会の初会合開催。 | |
20日 | 記者会見で文書問題に関して知事がお詫び | |
27日 | 百条委員会第2回会合。元局長の証人尋問を次回7月19日に実施することを決定。 | |
7月 | 初め頃 | 証人尋問に当たり、一部の委員が告発内容とは無関係の私的な情報の提出を求めているとして、元局長がプライバシーへの配慮を百条委員会に要請。 |
5日 | 兵庫県議会事務局が元局長と電話をし、告発文書などの提出を依頼。 | |
7日 | 午前、元局長が告発文書をメールで送信。 | |
夜、元局長が死亡しているのが見つかる。 | ||
10日 | 兵庫県職員労働組合が知事に対し、事実上の辞職要求となる申入れを行う。 | |
知事が記者会見で辞職を否定。 | ||
12日 | 副知事が辞職願を提出。知事は改めて辞職を否定。 | |
14日 | 自由民主党兵庫県支部連合会会長の末松信介参議院議員が、党の県連大会において、知事に出処進退の決断を求める旨の発言。 | |
19日 | 百条委員会第3回会合。元局長が残した音声データと陳述書を採用し、公開。 | |
31日 | 同日付けで副知事が辞職。 | |
8月 | 20日 | 「兵庫県職員アンケート調査」の中間報告の内容が判明し、各社報じる。アンケート結果について、知事は記者会見で、「現時点で私は内容について承知していませんので、コメントは差し控えたいと思っています」とし、エレベーターに乗り損ねて職員に激高したという証言に関する質問には、「時には厳しく指導させていただくということありますが、私としては、業務上の必要な範囲内で、適切に指導させていただいているという認識です」などと回答した。 |
23日 | 百条委員会第5回会合。「兵庫県職員アンケート調査」 の中間報告が百条委員会より公表される。パワハラ疑惑について兵庫県職員に対する初めての証人尋問を非公開で実施。 | |
30日 | 百条委員会第6回会合。初めて知事に証人尋問を行う。知事は正当性を主張。 | |
31日 | 日本維新の会藤田幹事長が兵庫維新の会幹部や兵庫県議会議員団と対応を協議。 | |
9月 | 5日 | 百条委員会第7回会合。 |
6日 | 百条委員会第8回会合。初めて元副知事に証人尋問を行う。知事は2回目の証人尋問。 | |
9日 | 日本維新の会の県議団が知事の辞職と出直し選挙を求める書面を服部洋平副知事に提出。 | |
11日 | 記者会見において、翌日提出予定の辞職要求について「真摯に受け止めたい」、「調査への対応や9月補正や来年度予算をしっかりやっていくことが、私としては本当に大事なことだと思っています」などと回答。 | |
12日 | 自民党県議団、公明党県議団、ひょうご県民連合(立憲系)、共産党県議団と無所属議員が共同で知事の辞職を要求する書面を副知事に提出。9日の分と併せて、兵庫県議会の全会派・全議員が辞職を要求した形となる。 | |
19日 | 知事への不信任決議案を兵庫県議会の全議員により共同提出。全会一致で可決。 | |
20日 | 知事は登庁せず、X(旧Twitter)で「県政が今の状況になっていること、県民の皆様にご心配やご不安を抱かせてしまっていること、まずは、心からお詫びします。」と謝罪。 | |
26日 | 記者会見において知事は、30日付けで自動失職し、出直し選挙に出馬すると表明。 | |
27日 | 知事が最後の登庁。 | |
30日 | 知事が失職。 | |
兵庫県選挙管理委員会は知事の失職に伴う県知事選について、10月31日告示、11月17日投開票を決定。 |
▼上記表作成の上で参考にした資料
・兵庫県議会文書問題調査特別委員会議事順序※百条委員会の議事及び、資料が閲覧できます。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/iinkai/index/tokubetsu/bunsho/shingi/index.html
・上記の会議録
https://www.kensakusystem.jp/hyogopref/cgi-bin3/See.exe
・上記の会議のアーカイブ配信
・『「元県民局長の文書問題の内容調査」に関する動議』に対する公明党議員団としての反対討論|トピックス|兵庫県議会 公明党議員団
・https://x.com/motohikosaitoH/status/1836957860695265497
▼斎藤前知事を批判する記事
参議院調査室/
知事の不信任決議案が可決された際、各新聞社は、「潔く身を引くのが筋」(産経)、「今回は(議会の)解散に大義名分がない」(毎日)、「多くの人が納得するであろう責任の取り方は、自ら辞職することだ」(朝日)などといった社説を掲載しております。 また、知事が出直し選に出馬することについては、「不信任の意味を無視して出直し選に出馬する判断は間違っている」(読売)、「自らの振る舞いが県民の不信を招いているのを理解せずに再出馬する感覚を疑う」(毎日)などといった社説を掲載しております。
※上記記事の詳細については著作権の都合で割愛します。
※以下はオンラインで確認できるもののみご紹介します。
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑は7項目 知事はいずれも否定、県議会の百条委員会で審議 - 産経ニュース
「斎藤家の食卓をにぎわしただけ」〝おねだり〟疑惑に百条委員が指摘 兵庫知事は正当性主張 - 産経ニュース
斎藤知事と部下たちの隔たりにみるパワハラ疑惑の現在地 「合理的な指導」と「理不尽な叱責」 - 産経ニュース
パレード終了後に協賛金急増も…兵庫元副知事、補助金還流否定「キックバックない」 - 産経ニュース
「恣意的」「卑怯」 〝噂話〟供述だけを公表する斎藤兵庫県知事に識者から批判 告発問題 - 産経ニュース
資料(紙資料の為割愛)では、斎藤前知事の最大の問題点として、公益通報制度への理解が薄いこと等が挙げられています。また、告発文書で挙げられた7つの疑惑に関する批判もありますが、知事はすべて否定しています。なお、そのうちの「プロ野球優勝パレード疑惑」については、市民団体から刑事告発されています。
▼斎藤知事ご本人を含めて、斎藤知事の対応に問題が無かった、または斎藤前知事の批判を批判する方の主な主張
参議院調査室/
斎藤前知事は百条委員会において、元局長の文書は中傷性が高く、懲戒処分は法的に問題は無いと主張しております。また、贈答品の受取についても、社交辞令の範囲内で問題は無いとしました。そのほか、斎藤前知事に対する肯定的な主張として、兵庫県庁舎の建て替え案の凍結等による財政改革や大学の無償化等による若者世代への支援政策を評価する声が挙げられております。
加えて、職員死亡の原因が知事であるとすることに懐疑的な意見も見られました。
○読売新聞「兵庫県知事「道義的責任が何かわからない」…告発者処分「法的問題
なし」主張変えず」(2024/09/07)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240907-OYT1T50027/
○産経新聞「贈答品「すべて知事が持ち帰る」秘書3人指摘、斎藤氏「美味しいも
の知るも大事」」(2024/09/06)
https://www.sankei.com/article/20240906-KV57XFIWINMJXKD4TWYQUIQILI/
○現代ビジネス「【独自】齋藤元彦・前兵庫県知事をたたき潰した「兵庫政界の闇
」とは…「裏の絶対権力者」たちが作り上げた「タブー」と「天下り構造」の全貌
をスクープする」(2024/10/23)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1e3ad4052d49835d19c77f39b1dbf4483fd98797?page=1
○週刊現代「【追及スクープ第2弾】齋藤元彦・前兵庫県知事を潰した「既得権益
の逆襲」と「パワハラ・おねだり告発文書」の深層とは…齋藤氏辞職までの「全内
幕」」(2024/10/23)
○日本ビジネスプレス「「なぜあなたは斎藤元彦・兵庫県知事を支持するのか?」
失職した斎藤氏を応援する人に聞いた」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/83576
前掲資料(社説など)及び下記資料(ここではオンラインのみご紹介します。)は、一連の批判について斎藤前知事の反論・見解がわかる資料です。また、前掲資料(紙資料の為割愛します。)では、一連の疑惑を伝聞であり、重視される証拠にはならない、特産品等の授受については社交辞令の範囲と主張されています。
資料42 失職の斎藤元彦・前兵庫知事、「なぜ亡くなったのか分からない」県職員2人死亡に「直接ハラスメントしていない」自身との因果関係を否定:中日スポーツ・東京中日スポーツ
資料45 兵庫県の斎藤前知事は、なぜ改革に反対する勢力の謀略に負けたのか?(上山信一) - エキスパート - Yahoo!ニュース
ご紹介できる記事が一部となってしまい、分かりにくい点について申し訳ありません。
ここからは個人的な意見ですが、今回の問題は下記の論点があると思います。
①元県民局長が3月にマスコミや県議会へ送った文書に対する県及び斎藤前知事の対応に問題があったのか、なかったのか
∟元県民局長の処分を急ぐ何かしらの正当な理由があったのか、なかったのか
∟斎藤前知事の対応及び、片山前副知事、県の人事部等の対応それぞれ論点は?
∟4月に公益通報された文書(誰にも分からないもの)とごちゃ混ぜにしていないか
②3月の文書は公益通報保護法上の公益通報にあたるのか、あたらないのか
参考/公益通報とは「不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的でない」ことが要件の一つとなっています。その他構成要件は今回の問題を見るにあたり頭に入れておく必要があると思います。
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000122
③県議会の不信任決議は適切だったか、適切でなかったか
∟7つの疑惑の調査状況、調査過程、元県民局長等の人の死との因果関係を立証する相応の根拠を有していたか
∟百条委員会で調査中及び第三者委員会立ち上げの動きがある中で、知事の不信任決議を急いだ適正な理由があったのか、なかったのか
④元県民局長の公用PCの影響範囲
∟どこまでの事実が斎藤前知事の失職に影響を及ぼしているのか
最後に、再掲となりますが、今回の元県民局長の処分について、一連の経緯を説明しているのが、下記の前知事の記者会見です。
まだご覧になっていない方で、本件に興味のある方はご一読されると良いと思います。
▼一部抜粋
違法性がないとここまで強く主張する理由の仔細が語られていないように見えますが、斎藤前知事は一貫して「違法性はない」という見解を示しています。
報道で良く取り上げられている片山前副知事や人事課等から、元県民局長に対して6回事情聴取を行っているようです。
「繰り返しになりますが、内容について、私以外の一般職員の実名、特定の企業、団体名、自治体名、具体的な名称が書かれて、法律違反の行為をしたかのような記述がされた文書です。これを私が入手した時点でおそらくマスコミ含めて配付されているということで、私自身が入手した時点で、かなり流布されている可能性が高いと判断しました。従って、これは放置しておくと、多方面に大きな著しい不利益を生じる可能性があると強く認識しましたので、20日の時点で、把握した時点で、信ずるに足りる相当の理由が、少なくとも証拠や供述が、信用性の高いものがないと把握した以上、これはしっかり調査をして然るべき対応をしていくということは適正だったと考えています。」
「私本人のみならず、副知事、一般職の幹部、いわゆる様々な職階の方まで書かれたという、これは実名で書かれています。あたかも違法行為というタイトルの下で書かれています。それから、企業名、地方自治体名、特産品に関することも書かれて、彼らが本当に日々頑張って地域活動、企業としての努力をされている中で、ああいったことが書かれたということです。これは3月20日に文書を把握した時点でも、匿名とはいえ、やはり真実と足りる相当な理由としての供述や根拠が書かれていませんでしたので、問題の多い文書だと私は認識してました。これが放置しておくと、私が入手できたことはある程度流布している可能性もありましたので、一定の対応をしないと、県庁のみならず、大きな企業も含めて不利益が生じる可能性があるということでした。」
「このまま放置しておくと、インターネットやSNSで配布されたり、また甚大な影響が起こる可能性があると私は本当に強く認識しましたので、翌日の21日に、片山元副知事と幹部と、しっかり打ち合わせをし、その中で対応を、調査をしっかりするように指示をし、そこで対応は進められたということです。」
このお話しが元県民局長の処分に繋がっています。そもそも、3月20日の時点で斎藤前知事が文書について民間の方からの情報提供で把握した時点で、県庁に相当程度話が広がっているという状態だったということを踏まえると、県庁以外の企業等に悪影響が出る恐れ等を鑑みてそれなりに大きなショックがあったことは推察できます。この時系列は重要ではないかと思いました。
本件の調査、追加で依頼しているものがありますので、後日まとめてご紹介します。
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