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「敬老パスIC化と制度見直しについての横浜市の現状は?」

2023/3/16

横浜市の敬老パスは、市内在住の70歳以上の希望される方に交付されており、その方の収入状況等に応じて負担金をお支払いいただき交付されています。

敬老パスの交付者数は直近では毎年40万人前後となっており、70歳以上の対象者の55%前後の方が取得されている状況です。

 

(横浜市HPより)

 

横浜市の敬老パスは昨年10月、紙のパスがプラスチック製のICカードになりました。

このICカード化の目的は、実際にはどれくらいバスや地下鉄を利用されているのか、利用時には専用の読取機にカードをタッチしていただくことで、なるべく正確に利用実績のデータをとって状況を把握し、民間事業者等へ妥当な支払額の設定と今後の制度の方向性を検討するための資料にすることです。

因みに、「なるべく正確に」と申し上げたのは、シーサイドラインには読取機が設けられておらず従来通りであるからです。しかし、金沢区や磯子区在住の方を中心に利用者は多いと考えられますので、その点について所管局との意見交換も行っています。

 

この敬老パス事業ですが、単一事業で令和3年には約126億円となっており、この財源の内訳は市税が約105億円、利用者負担は約21億円で、市税負担額が膨れ上がっています。

横浜市で100億円を超える単一事業というのは限られており、今後避けられない高齢化と厳しい財政状況を踏まえ、この事業に更に市税を投入していかなければならなくなる可能性も十分に考えられます。

 

 

(横浜市HPより)

 

山中新市政が誕生し、その山中市長の選挙公約の中に「75歳以上の敬老パス無償化」が盛り込まれており、実現に向けては対象となる方からは多くの期待があるのも事実です。その為には追加予算が必要となるため、(3カ年で約80億円)ICカードでの実態調査を踏まえて慎重な議論が必要です。

 

私は高齢化が進む横浜市において、高齢者の方が安心して生き生きと暮らせる都市をつくっていくことは重要と考えます。但し、敬老パスの制度そのものを持続可能な形で実際に維持していくためには、市税投入額の推移をしっかり検証し、予算や財源の世代間のバランスも考慮した施策とする必要があります。

 

そのための敬老パスIC化と実態調査の開始は、これからの事業展開のために「一歩前進した」と私は捉えています。そして、近い将来、一年間かけて実施される利用実態をきちんと把握して検証と議論を様々に重ねていく必要があると思います。そして、その際には、このデータの中身や内容は、詳細を市民に開示するべきです。更にその上で、特に75歳以上の敬老パス無償化の実現可否について、他都市の実態や専門家の意見も勘案しながら在り方を検討していくべきだと考えます。

 

これからの時代も、敬老パスを含めた横浜市の地域交通の充実や総合的な移動サービスが、より良くなっていくよう、利用者の方のお声やニーズをしっかりと聞いて提言を続けてまいります。

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著者

二井 くみよ

二井 くみよ

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肩書 横浜市会議員(磯子区選出・2期目)
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