2025/7/31
こんにちは。柏原すぐる(横浜市会議員・鶴見区選出)です。

今回は横浜市長選挙候補者の選挙公報から政策を比較して、実際の数字など横浜市議だからこそ把握している情報で補足していますので、ぜひ参考にしてみてください。
全員分の選挙公報はこちらです↓
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/senkyo/data/mayor/0803kohosya_koho.files/0051_20250720.pdf
なお、本記事の解説をYoutubeにアップしていますので、ぜひご覧ください。拙いLIVE配信となっていますので、その点、ご容赦ください。
(いずれも届け出上は「無所属」です)
| 順位 | 氏名(ふりがな) | 年齢 | 主な肩書・特徴 | 公式ウェブサイト |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 山中 竹春(やまなか たけはる) | 52歳 | 現職横浜市長/元市立大学教授 等 | 公式サイト |
| 2 | 高橋 徳美(たかはし のりみ) | 56歳 | 元横浜市議会議員(4期)/現場主義重視 | 公式サイト |
| 3 | 田中 康夫(たなか やすお) | 69歳 | 作家・元長野県知事/「脱お役所」志向 | 公式サイト |
| 4 | 斉藤 直明(さいとう なおあき) | 60歳 | 元メーカー勤務/拉致被害者支援/民間感覚強調 | 公式サイト |
| 5 | 小山 正武(こやま まさたけ) | 76歳 | 野菜卸販売業会長/地域経済強調 | 公式サイト |
| 6 | 福山 敦士(ふくやま あつし) | 36歳 | 起業家・元甲子園球児/3児の父/経営者視点の改革派 | 公式サイト |
今回は届け出順の逆から紹介いたします。

36歳・3児のパパ/元甲子園球児/経営のプロ という肩書を掲げる福山あつしさんは、「横浜市民第一主義」を前面に出し、財政危機への具体的対策と成長戦略を打ち出しています。
政策の三本柱
「痛みを伴う改革」にも踏み込む姿勢。横浜市の財政赤字(将来の500億円不足)に対する“見える化”と“行動”を訴えています。尚、横浜市ではこの赤字のことを「年間の収支不足額」として、財政ビジョンに示しており、2060年にはこの収支不足が1,750億円になることが(中位推計で)予想されています。
「都市型ベンチャー資本主義」への転換を志向。自治体レベルでの資本市場創出など、異色の政策が光ります。実現性が問われますが、横浜市は人口一人当たりの市内総生産では政令指定都市で17位であるなど経済政策に課題があるのは間違いありません。
単なる福祉拡充ではなく、教育を通じた“未来への投資”を強調。公園のボール遊び推進など、現場目線の子育て政策も。
筆者コメント福山候補の特徴は、単なる“ムダ削減”だけでなく、“成長戦略”をセットで語っている点です。宿泊税や営業局創設、証券取引所構想など大胆ですが、斬新な視点。特に、行政の“営業力”に注目した点は、企業経営経験者ならでは。組織の設置は可能と思いますが、税は徴収する額や方法も含めて検討に時間を要します。また、証券取引所など民間のプラットフォームへ横浜市がどれほど関与できるかは未知数です。

76歳/野菜卸売業会長という経歴をもつ小山正武さんは、市民生活目線の実行力と行政コスト削減を訴えるスタイルです。掲げるスローガンは「3つの政策と3つのゼロで横浜を変える!」。
3つの政策(重点分野)
災害多発時代を意識し、「教育施設=地域防災拠点」という考え方を明確に提示しています。とはいえ、小中高特別支援学校で505校ある横浜市においては既に学校建て替えに関する基本方針で70年以上の長寿命化を見込み財政負担や工事量の平準化を図っており、年間に建て替えができるのは数校で、少なくとも構想から建て替え完了まで5.6年は要します。
既存のデリバリー型からの脱却を図り、温かく質の高い給食を通じた教育・健康支援に注力。ここは他の候補とも似通った主張です。
横浜市内経済の内需循環を重視。地域企業の支援と市民の暮らし支援をセットで打ち出すのが特徴ですが、商品券発行には財源が新たに必要です。(コロナや物価高の臨時交付金があった際は、全額国費からレシ活や商店街活性化策を行っています)
3つのゼロ(削減方針)
コスト削減・再分配強化という両輪のバランスをとる政策姿勢ですが、この3つの金額感は次の通りです。
市長退職金が約3,500万円(任期4年に対して)であるのに対して、みどり税が年間約30億円(住民は一人当たり900円/年)の税収減。
また、敬老パスは現在の事業費が137億円で、そのうち約20億円の利用者負担を令和7年度に見込んでいますので、20億円の収入減です。
筆者コメント小山候補は、長年の実業の現場感覚をもとに、「コストを削りながらも、必要な福祉・防災・教育投資は惜しまない」バランス型の政策を展開していますが、街頭演説や討論会などで、新たに発行する2,000億円の市債を財源として考えており、これが財政上の将来世代へのツケの先送りにならないか留意が必要です。

60歳/元自動車会社勤務/民間感覚での改革志向
斉藤直明さんは「今こそ、減税!」をキャッチフレーズに、市民の生活実感に寄り添う税と改革を訴えています。
柱となる政策スローガン
減税と改革断行!
市民の「納めた税がどこへ行くのか」に対して厳しい目を向け、市政の透明化・効率化を強く訴えています。
住民税5%減税は、名古屋市で100億円規模の税収減のレベルです。また、みどり税は年間30億円規模です。
また、横浜市長の報酬は月給:1,588,000円 × 12か月 = 19,056,000円、期末手当(ボーナス):8,826,480円(職務段階別加算込み)、合計:27,882,480円ですので、約2,000万円受け取らないと同義です。
ふるさと納税制度は総務省所管の国の制度であるため、横浜市としては要望に留まる可能性があります。
横浜市民の暮らしと命を守る
「高齢化社会に即した生活支援策」を重視し、福祉分野の現場負担を減らす視点も見られます。
港ヨコハマの更なる発展へ
国際港湾都市・横浜のポテンシャルを最大限に生かす都市ビジョンも提示。インフラと文化をつなげる戦略が特徴です。
筆者コメント斉藤候補は、現場で40年以上働いてきた経験から「行政コストへの感度」が高く、市民生活の実態に即したメニューを並べているのが特徴です。特に、ふるさと納税制度や市民税の大幅な減税に触れている点は、他候補にはあまり見られない個性です。ただ、経済政策など横浜市の更なる発展に向けた構想の観点では弱い印象です。

68歳/作家・元長野県知事・元衆議院議員
田中康夫さんは、「脱お役所」的発想で、横浜の教育・福祉・税制度に抜本的な転換を訴えています。
掲げる主な政策(公報より)
1. 横浜みどり税の即時撤廃
2. 自校調理方式の学校給食導入
3. 「児童生徒・保護者の視点」に立った教育行政へ大転換
4. 宅幼老所の全区開設(子と高齢者の共生)
5. 「連結決算」の導入
6. 協働予算の導入
筆者コメント田中康夫さんの強みは、「既存制度を問い直す力」。元長野県知事としての経験に加えて、二度目横浜市長選挙の挑戦とあって、独自の視点で税や教育行政の構造に踏み込んでおり、「脱お役所」「参加型行政」という方向性を市民に問う姿勢が鮮明です。宅幼老所の構想など、他候補にない政策が多くあります。
横浜みどり税の使途については、「過去の公共事業の返済に使っている」との言説があるようですが、こちらのブログで使途等を詳しく解説していますので、ご興味のある方はご覧ください。少なくとも議会には説明され、使途は公表されていると認識しています。

56歳/元横浜市議(4期)/柔道二段/市民運動派
高橋のりみさんは、「パワハラ市政NO! 健全な市政にYES!」と明言し、14年の議員経験をもとに、市民目線の再構築を訴えています。
経験に基づく政策の柱
筆者コメント高橋候補は、議員時代から「現場主義」を掲げ、子ども・高齢者・防災・交通といった“暮らしの基盤”を細かく整えてきた行動力のある実績派。
「給食の温かさ」や「交通の途切れ改善」など、生活者視点に立った訴えが特徴です。14年の市議経験と地域を切り開いてきた経験による学びで市政への理解は随一ではないでしょうか。なお、現職の山中市長がパワハラ市政であるか否かはエビデンスの確認ができていませんが、異動が早いことによって中期長期的な目線での職務遂行を難しくさせている点は指摘に値すると思われます。

52歳/現職市長/元横浜市立大学医学部教授
山中竹春市長は、1期4年間の実績を前提に、「好循環の深化」と「さらなる成長・発展」を掲げて再選を目指しています。
1期目の実績(公報より)
横浜市の予算が年間4兆円(特別会計、公営企業会計を含む)近くあり、それを4年執行してきたため、誰よりも実績があって当然ではありまして、他都市比較すると、実績と言っても横浜市の数字があまり良いものではないケースもあります。(例えば、人口転入超過数は、人口当たりでみると千葉市や川崎市の半分以下)
また、前回市長選挙で掲げた公約に関しては、敬老パスの75歳以上の無償化が実現していません。(免許返納やモニター調査の協力者が無償になる施策を今年度実施中)
2期目の挑戦
筆者コメント山中候補は、データ分析をベースに、財政健全化や子育て支援などを“政策として制度化”する実績を残してきました。ただし、課題も残っており、例えば中学校給食の「冷たいデリバリー方式」は改善要望があり、それを受けて他の候補者の多くが政策にも掲げています。
また、市議会議員の一人としての願いとしては、現職だからこそ市民にとって耳の痛い話(事業費137億円の敬老パス維持のために2011年以来据え置きの利用者負担が増えますetc)を選挙戦で訴えて、当選したらその課題解決に全力を注ぐべきだと考えます。
耳障りのよい、配ります、減税しますといった甘言を語る政治が全盛の中で、本来現職としての政治力を使うべきは「困難な課題の克服」に対してではないでしょうか。
さらに候補者の理解を深めたいと言う方には候補者本人の発信に加えて、討論会の視聴もお勧めします。
最近はYouyubeで最も政治を盛り上げていると言っても過言ではないReHacQ高橋さんが司会を担うフラットで本音ベースの討論会。候補者の素の部分や、政策への思いがよく見える内容です。
ReHacQ_横浜市長選2025_政策比較表
2025年横浜市長選における5人の候補者(高橋、田中、斉藤、小山、福山)の政策が比較されています。
https://drive.google.com/file/d/1Gc7agng0ELWmXZQ1VFYghhZJXsbv1goB/view



2025年7月26日開催。合同個人演説会という形式の公開討論会です。こちらも現職の山中市長は欠席です。
おわりに 〜横浜の未来、ちょっとだけ考えてみませんか?〜今回の横浜市長選挙、どの候補も「子育て」「防災」「交通」「税金の使い方」など、身近なテーマを掲げています。
難しく考えすぎなくても大丈夫。
「この人、なんかいいかも」でも、「この政策なら生活がよくなりそう」でもOK。
ちょっと気になった候補のホームページをのぞいたり、選挙公報を見比べたりして、
自分なりの「推し」を見つけて、1票に込めてみませんか?
以下のページでは、一人一人の解説動画はこちらのブログに纏めて掲載しています。
https://suguru-kashiwabara.jp/2857/
候補者本人の資質などきっちり見極めて投票することも大事ですね。
投票日は8月3日(日)!
期日前投票は7月21日〜8月2日まで。
入場券がなくても、本人確認ができれば投票できます◎(本人確認書類も不要です)
横浜がどうなるかは、他の誰かじゃなく、私たちの手にかかっています。
「選挙、ちょっと行ってみようかな」
そんな気持ちになったら、もう未来は少しずつ変わりはじめています。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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