2025/3/27

宗像市は財政調整基金等として約254億円の基金を保有しています。
このうち約152億円を国債等で運用し、売却益や利息を財源として確保してきました。平成17年度以降、その運用益の累計は約56億円に上り、多い年度には約6億円の収入を得ていました。
しかし、金利上昇に伴う国債の時価下落により、多額の含み損を抱えていることが判明しました。3月議会では、予算第1特別委員会でこの問題が取り上げられ、議員から「市が定めた運用基準に沿った運用がなされていないのではないか」との指摘が上がりました。執行部は「運用基準に抵触する売買は行っておらず、顧問弁護士にも確認済み」と主張しましたが、市民や議会への説明が不足していたことを認め、基準の明文化を検討するとの答弁がありました。
以下は関連報道の一部です。
投資の含み損46億円に膨らんだ福岡県宗像市、債券の運用指針見直し…
担当者任せの売買などに具体的ルール
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250325-OYTNT50012/
国債売却、1.5億円の損失確定 宗像市「全体では利益」
https://www.asahi.com/articles/AST3P4TL0T3PTIPE011M.html
金利上昇、16市の基金に含み損 機動的な資金捻出に懸念
https://news.yahoo.co.jp/articles/1bc673789165ee1e9bb8e7f625c9bd905bdca318
福岡県宗像市も長期国債購入で40億円分の含み損…
社債なし、売却で損失を確定させる「損切り」もせず
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20250219-OYTNT50017/
福岡県宗像市も基金運用で45億円の「含み損」 市長は「影響ない」
https://www.asahi.com/articles/AST2M52G3T2MTIPE00MM.html
以下に、この基金運用について市から議会への説明をまとめます。
令和7年2月4日連絡会議(執行部と全議員)
近隣の福津市で基金運用の含み損や損切りが報道されたことを受け、宗像市の基金保有状況や債券保有状況の資料が提示されました。
基金保有状況(会計課)(当日配布)
この資料では、債券は原則として満期まで保有する方針であり、含み損の影響はないと説明されました。ただし、時価に関する説明がなかったため、議員から「現在の時価は」との質問が出され、「額面に対し3~4割減の含み損がある」との回答がありました。
令和7年2月26日連絡会議(執行部と全議員)
福津市では基金運用問題が市長選挙に影響した可能性が話題となり、議会からより詳細な説明が求められました。この会議で再度、基金運用について説明が行われました。
宗像市の基金運用について【会計課】
この資料によると、下記の方針で運用が行われていることが明らかになりました。
【安全性の確保】
信用性リスクへの対応として、購入する債券は国債、地方債、政府保証債などの公共債としています。
【債券価格変動へのリスク対応】
運用期間中の価格変動への対応として、 償還期日まで保有することを前提とした債券購入を原則としています。ただし、償還日前に投資元本を上回る場合は売却することもできることとしています。
本市では信用性の高い債券を満期保有前提として購入しているため 、運用途中の評価損については関係ないと考えています。
令和7年3月11日
予算第1特別委員会資料要求の回答が議員に配付されました。
予算第1特別委員会資料要求の回答(基金運用について抜粋)
この資料により、過去5年間の国債等の売買記録、そして「宗像市債券運用基準」が明らかになりました。基準によると、
(2)債券価格変動リスクへの対応
当該債券の償還期限まで保有することを前提にした債券購入を原則とする。ただし、会計管理者が必要と認めた場合は、当該債券を償還日前に売却することができる。この場合においては、投資元本を上回る価格で売却しなければならない。
とあり、このまま読むと「償還日まで保有」「償還日前に投資元本以上で売却」のいずれかしか行えないととれます。しかしながらR2.9.23の売却で11債券中、7債券が元本以下で売却され、いわゆる「損切り」が行われていたことが明らかになりました。
令和7年3月13日、17日
宗像市議会3月定例会 予算第1特別委員会審議
2日間にわたる審議の中で、この国債の「損切り」を含む売却について、多くの議員が質疑を行いました。「基準に抵触した売却なのではないか」との指摘に対し、「複数の債券を同一日に売却し、その合計額が元本を上回っているので問題ない」「この取り扱いは基準の解釈で行っている。顧問弁護士にも確認をしている」との答弁がありました。
しかし、「市民や議会へ説明が不足していた」「基準の解釈による取り扱いの明文化を検討する」との答弁もあり、今後の改善が求められます。
今回は「運用基準に基づいた売却だったかどうか」が論点となりましたが、売買の記録を確認すると「当該債券の償還期限(20~30年後)まで保有することを前提にした債券購入を原則とする」、つまり「長期保有」が原則にも関わらず、短期の売買を繰り返していたことが明らかになり、最短で2日で売却し、利益を確定していた事例も確認されました。
現在、44億円以上の含み損を抱え、多くの債券は満期まで25年以上残っており、売却は困難です。現金は約100億円保有していますが、基金本来の目的である「必要な時に取り崩して財源とする」ことに影響がないか懸念されています。
今後もこの問題を注視していく必要があります。
3月議会予算第1特別委員会審査報告書より、基金運用状況について
(5) 基金の運用状況
本市では、経営企画部長、会計管理者、財政課長、経営企画課長で構成する債券運用委員会で方針を協議した上で、国債等により基金の約6割を運用している。現在、保有するすべての国債等が元本割れとなっており、令和6年12月末現在で購入額152億円に対し、含み損約 44億4,000万円が発生している。基金としては国債等以外にも現金約100億円を有しているほか、国債は満期を迎えると額面全額が戻ってくるため、満期保有することで利子収入を得ながら元本割れしない運用を行う予定である。
また、「宗像市債券運用基準」 2(2)では、会計管理者が必要と認めた場合は債券を償還日前に売却することができるが、その場合は投資元本を上回る価格で売却しなければならないと規定し、同基準3では、債券の購入時期及び満期若しくは期中売却時は、債券ごとに償還価格又は売却価格等の確定した事項を記録保管することを規定している。この記録によると、令和 2年9月23日の取引では、売却した国債11件の総額を見ると、投資元本を約4,981万円上回る価格で売却しているが、個別に見ると、11件のうち7件は合計で投資元本を約1億 5,000円下回る価格で売却していた。このことについては、顧問弁護士に相談し、一括売却して全体で原資を確保し、利益を出せているので問題ないとの回答を得ているとのことである。
なお、今後の基金の運用については、議会や市民に対して丁寧な説明を行いながら、実施していく。
関係資料
①基金保有状況(会計課) (当日配布)
②宗像市の基金運用について【会計課】
③資料要求回答(基金運用について)
④債券運用基準(H280621一部改正)
⑤債券運用基準(R021102一部改正)
⑥宗像市基金運用状況(執行部提供資料より石松作成)
宗像市議会インターネット中継
令和7年3月13日(木) 予算第1特別委員会
令和7年3月17日(月) 予算第1特別委員会
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