2025/11/11
前回の記事で、くじ引きで当落が決まったというニュースをきっかけに「一票の重み」について書きました。その中で、判読できない無効票の話にも少し触れましたが、今回はその延長として「電子投票」について考えてみたいと思います。
まず結論から言えば、僕は電子投票の導入には慎重な立場です。理由はシンプルで、選挙という制度は「信頼」で成り立っているからです。投票の正確さや開票のスピードも大事ですが、それ以上に大切なのは「納得できるかどうか」。たとえ結果が自分の思いと違っていても、「ちゃんとした手続きで決まった」と思えることが、選挙の根幹にあります。
もちろん、電子投票には一定の利点があります。たとえば筆圧が弱くて読めない票や、誤記による無効票を減らせる点。開票作業の時間やコストを削減できるという期待もあります。また、遠隔地に住む人や海外在住者の投票機会を広げるという効果も考えられます。
ただし、技術的なリスクは常につきまといます。システムというものは、必ず不具合や障害が起きるものです。そして「ハッキングされるかもしれない」という不安を完全にゼロにすることは不可能です。特に国政選挙の場合、選挙結果の操作が国の方向性を変えることにもつながるため、海外からの攻撃を想定する必要があります。選挙結果への信頼が少しでも揺らげば、それは単なる技術トラブルではなく、民主主義そのものの危機になりかねません。だからこそ、「安全性が確立していないなら導入しない」という慎重さが必要です。
僕は元エンジニアなので、「システムに完全はない」と断言できます。どれだけ高いセキュリティを施しても、人的な操作ミスや設計上の盲点は必ずあります。よって、一番のセキュリティ対策は「狙われないこと」です。つまり、選挙のような国家レベルの意思決定に関しては、あえてネットワークに載せないことが最大の防御なのです。
紙の投票は、確かに手間はかかります。でも、その手間が信頼を支えています。投票箱を封印し、立会人が確認し、目視で票を数える。アナログですが、それが一番透明でかつ悪意的な操作を抑制しやすい、誰もが納得できる方法です。
もし将来、紙投票では成立しないほど社会の仕組みが変わったときには、電子投票の導入も検討すべきでしょう。しかし現時点では、紙のままで十分に成立しています。むしろ電子化が必要なのは、投票そのものではなく、選挙の周辺業務のほうです。
たとえば、公営掲示板へのポスター貼りや、証紙付きビラの配布。公平性の確保という目的は理解できますが、現場ではとても大きな負担であり、参入障壁にもなっています。電子化を進めるなら、まずはこうした作業の合理化から着手すべきだと思います。そのあたりの話は、また次回の記事で書いてみようと思います。
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