2025/11/26
これまで、地域医療の核となる草加市立病院の存続と機能強化を目指して議会での議論を進めてきました。
病院財政は極めて深刻な状況にあり、「資金ショート」という市民の命に直結する危機に瀕しています。市立病院の令和6年度決算と今年度の補正予算の質疑を中心に、その状況についてブログにまとめました。
草加市立病院が赤字を増大させている要因は、大きく分けて2つの構造的な問題と、1つの市独自の対応の問題が複合しています。
病院経営を圧迫している最大の要因は、全国の自治体病院などが共通して抱える問題です。
令和6年4月から、草加市立病院は「紹介受診重点医療機関」に位置づけられました。これにより、病院の役割が令和6年度決算の数値として明確に現れました。
現在、市立病院が進めている病院の役割転換や経営効率化(病床利用率の向上など)の取り組みだけでは、構造的な費用の増大を吸収できていません。最も緊急な事態となっているのが、資金ショートの問題です。令和7年9月定例会で以下の補正予算(財政見通しの下方修正)が組まれました。
この「一時借入」の措置は、極めて異例です。
一時借入金とは、地方公営企業法に基づき、予算内の支出のため一時的に借り入れるものです。原則として年度内(令和7年度内)に返済しなければなりません。
今回の補正予算は、この10億円の借入がなければ、純粋に10億円の資金ショートが起きる状況でした。しかし、病院側も市長部局も現時点では、年度内に一時的な借金10億円を完済する具体的な目途(担保)がないことを認めました。
返済の目途がないにもかかわらず一時借入に頼ることは、事実上「借金を借金で返す」禁じ手です。
市立病院の危機は、病院単体での限界を超えています。
山川百合子市長は、長年にわたり市財政当局が市立病院の財政状況に対し、主体的な関与と責任を果たしてこなかった事実を認めました。本来必要な繰入金の積算が市側で詳細に行われてこなかったことが、今回の危機を増幅させた大きな要因の一つです。
9月議会で、補正予算に対して「なぜ追加の繰入をしないのか」と質疑しました。これに対し、市長は「現段階ではあくまで第1四半期の実績に基づく見込みであり、今しばらく推移を見極める」と答弁しました。
状況の見極めは重要ですが、基幹病院の存続という喫緊の課題に対し、危機への対応速度として不十分であり、議会として強い懸念を表明せざるを得ません。
草加市立病院が、目の前にある危機を持ちこたえるためには、今が最も重要な局面です。
今年度の市議会はあと2回の定例会(12月・翌2月)があります。この深刻な資金ショートを回避し、市立病院の運営を維持するための財政支援(繰入金)などの動向が非常に重要となります。
市長が過去の責任を認め、市長部局としての病院財政の分析に動き出したことは「遅すぎたが、重要な第一歩」です。単なる分析のやり直しとならないよう、足元の資金繰りを支える緊急の財政支援と基幹病院の機能維持に向けた具体的なロードマップの策定が鍵となります。これらを両輪で進めることが、今、市立病院の設置者である草加市長に求められています。
市立病院は、草加市で唯一、市民の命と健康を守る最後の砦です。引き続き、基幹病院の存続と持続可能な医療提供体制の確立に向けて、みんなで今の危機を乗り越えられるよう議論を尽くしていきます。
※なお、今回の記事は、市立病院財政を取り巻く市政についての課題に絞っています。本質的には国の医療政策の動向が最も重要となります。
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