2026/8/8
現在、つくば市の大穂地区(旧総合運動公園用地)では、日本最大級となるデータセンターの集積計画が進んでいます。今回の視察は、国内最大級のデータセンター集積地である印西市の先行事例を直接確認し、つくば市の計画において「何を監視し、何を市民に説明し、何を条件化すべきか」を見極めるための重要なステップです。
本日は、その視察内容と今後のつくば市における課題についてレポートします。
1. なぜ大穂地区にデータセンターなのか?(これまでの経緯)
大穂地区の予定地(約46ヘクタール)は、もともと総合運動公園の建設予定地として市が約66億円で取得したものの、2015年の住民投票で計画が白紙撤回されたという「政治的に重い土地」です。その後、市は方針を転換し、2022年にオーストラリア系企業のグッドマン社へ約110億円で売却しました。
つくば市が選ばれた理由は偶然ではありません。「首都圏で大規模用地が確保できる」「東京と同時被災するリスクを分散できる」「地盤が比較的強い」など、データセンター業界の立地条件に合致していたためです。2028年春頃の完成を目指し、最大100万kW規模の受電容量を持つ巨大プロジェクトが動き出しています。
2. 視察で見た「地域共生」の形(印西市の事例)
データセンターというと「窓のない巨大な箱」という無機質なイメージを持たれがちですが、印西市のグッドマン社の施設は、地域共生を強く意識した先進的なモデルでした。
市民が集う場所の提供: 敷地内には市民に人気の施設「ザグリン」や、カフェ「アルベイカー」が盛況でした。
ソフト面・ハード面の地域貢献: 映画鑑賞会や夏祭り、スポーツイベントが開催されているほか、市単独では整備が難しい高品質な「インクルーシブ遊具」が設置されるなど、開発と地域共生を両立させている点が高く評価されていました。
グッドマン社は、つくば市でも短期的な売却ではなく、地域と長期的に関わる投資モデルを重視し、「印西以上の施設を目指す」と明言しています。
3. データセンター誘致の「光と影」
もちろん、メリットだけでなく懸念点も冷静に評価しなければなりません。
【光:税収増と防災への貢献】
税収効果: 印西市では、データセンターなどの大型施設群の影響もあり、固定資産税収入がこの10年で約50億円増加(約76億円から約126億円へ)したとされています。ただし、サーバー設備は5〜6年で減価償却されるため、初期の税収効果がそのまま長期的に続くとは限らない点には注意が必要です。
防災拠点としての活用: つくば市の計画でも、防災備蓄倉庫や防災広場が整備され、市が20年間無償で利用できる予定です。停電時にも稼働し続けるデータセンターのインフラ力は、地域防災の観点からも意味があります。
【影:環境負荷への懸念】
住民の皆様が最も心配されているのは、大量の電力消費、排熱、騒音などの環境への影響です。
冷却と水の使用: 施設は水冷と空冷の組み合わせで冷却され、水冷方式は空冷よりも電力効率が3〜4割良いとのことでした(水の使用量等の技術的詳細は後日回答待ちです)。
騒音と気温: 印西市の施設では、騒音に関する近隣からの苦情は過去1件もないとのことでした。また、気温への影響については現在専門家による科学的調査を依頼中で、つくば市においても建設前後での比較調査を行うよう要請し、会社側もこれを了承しています。
4. これからのつくば市に必要な「対話と条件設定」
大穂地区の土地売却はすでに完了し、工事も始まっています。今、私たち議会と市民に求められているのは、感情的な賛否ではなく「税収、防災、環境負荷、地域還元の実証で裁く」ことです。
【今後の住民対話について】
情報不足による住民の皆様の不安を解消するため、近隣住民を対象とした説明会が複数回開催されます。視察日の8月7日には、対象となる約2,000世帯へ招待状が発送されました。
しかし、今回の視察を通じて、グッドマンの経営責任者に対する印象は決して良いものではありませんでした。アジア地域の責任者は「対話が重要だ」と言いながらも、「対話がしたければ、私のところへきてくれ」という姿勢が見受けられました。
住民側が計画に対して不安や不信感を抱いているのだから、その不安を払拭するために足を運ぶのはグッドマンの経営者の方であるべきです。率直に言って「来るのはおまえだろう」と言いたくなるような態度でした。
今後は、単なる形式的な説明会にとどまらず、「つくば市全体への説明責任」を果たすための大規模説明会の開催や、窓口・FAQの整備など、誠実な対応を強く求めていく必要があります。
おわりに
旧運動公園問題と同じく、市民との間に「信頼のギャップ」を生んではなりません。
すでに動き出した計画だからこそ、印象論に流されず、実測データや実態に基づき、地域にとって最良の条件を引き出せるよう、引き続き注視し、事業者や市へ働きかけていきます。
今後の調査結果や、技術的な詳細に関する回答が入り次第、また皆様に共有させていただきます。
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