2023/7/31
先日投稿した視察報告の続きです。
二日目、東京都豊島区を訪れ、視覚障がい者向け移動支援アプリshikAIについて視察しました。shikAIは点字ブロックに貼られたQRコードをiPhoneで読み取って使うアプリです。QRコードを読み取ることで、目的地に音声誘導してくれます。点字ブロックには「このブロックに沿って進め」という長細い誘導ブロックと、危険箇所や分岐点を示す警告ブロックの2種類があり、shikAIは警告ブロックに貼られています。警告ブロック上でiPhoneをかざすと「直進15m」などの音声が流れ、誘導ブロック上を15m進むと次の警告ブロックに差し掛かり、そこでまた次のQRコードによって指示が流れます。当事者団体より2020年12月に要望を受け、現在は東京メトロ東池袋駅、豊島区役所、中央図書館の間を行き来できる様に設置されていました。片手に杖、もう一方の手にiPhoneを持つと雨の日に傘をさしながらの利用は困難であるため、現状では地下や建物内を中心に設置されていました。本来は各施設の施設管理に係る内容ですが、同区では近年、障がい福祉の分野に力を入れていることもあり、本件も障害部局が旗振り役で所管していました。shikAIでは、カーナビの仕組みが利用されています。当初はスマホのGPSを使ったシステムも検討された様ですが、ある地点に立った時にそれが北向きであるのか南向きあるのかによってアナウンスが変わってくること(例えば西に向かいたい時、北を向いていれば左折、南を向いていれば右折の指示がなされなければならない)や、同じ建物でもフロアの判別(1階なのか2階なのか、あるいは地下1階なのか)が必要であることから現在のシステムが採用された様です。
事前学習の時点で、大きく2点の懸念を抱いていました。1つは地面にQRコードが設置されることで、踏みつけられてすり減ったり、雨の日に靴の泥が付着するなどして読み取りができなくなるのではないかということです。商品のバーコードはマジックなどで僅かにでも線を入れると読み取りができなくなり、もしshikAIのQRコードも同様であるのであれば実用的とは言えなくなります。この点に関しては、「問題ない」というのが回答でした。そもそも使われているQRコードが汚れに強く、加えて1ヶ所の警告ブロックに対してQRコードが1枚でなく複数枚貼られていることから、例えば一部が汚損しても問題ないとのことでした。複数枚が貼られることで、スマホの角度がどの様な状態でもいずれかのQRコードを読み込めるとも言われました。踏み付けによるする減りも、靴が接するのは点字ブロックの「凸」の上面で、QRコードに直接靴が触れることはあまりないため消耗は激しくないとのことでした。もう1つの懸念は、QRコードの読み取りに時間がかかることで利用者が点字ブロック上で立ち止まってしまい、後ろから来た別の利用者が接触するなどの事故に繋がらないかという点です。春先に報じられたアンパンマンミュージアム問題が念頭にありましたが、これに関しても利用者が点字ブロック上で立ち止まるというシーンは殆どないものと感じられました。実際に体験させていただきましたが、一般的なQRコードの読み取りよりも遥かにスムーズで、iPhoneのカメラを下にさえ向けておけば通常のスピードで歩いていても十分読み取りが可能でした。この日利用したのが、先方で用意いただいた端末であったので、例えばデータを詰め込んで容量不足になった重いスマホでも同様の動きが可能であるかといった疑問は若干あるものの、概ね実用性は高いと感じられました。
イニシャルコスト約70万円、ランニングコスト月7万円弱と導入のハードルはそれほど高くはないものの、説明では「最終目的地の店舗やビルなどは数が多すぎる。まずは移動の結節点である乗り換え駅などを優先的に整備するべき」という指摘がありました。庁舎についても、庁舎の案内窓口まではshikAIで案内するものの、そこなら先は人の案内で対応しているそうです。各担当窓口までshikAIで案内しようと思うと、アプリに担当窓口の数だけ目的地を登録せねばならず現実的でないというのがその理由でした。当事者の意向が最優先であることはいうまでもないものの、車社会の安城市における導入の「入口」としては公共施設間の誘導などは公益性が高いと思われます。先述の雨対策という課題はあるものの、本・北庁舎、西庁舎、市民会館、文化センターをネットワークで結ぶなどがその一例です。本・北庁舎~西庁舎間は歩道工事も計画されており、それに併せた点字ブロックの整備も検討に値すると考えられます。また、庁舎近辺の点字ブロックに目をやると、既に朽ち果ててその役割をなしていない状況のものも見受けられます。shikAIが点字ブロックが整備されていることが前提の仕組みであることは勿論ながら、shikAIを導入しないにしても適正な管理が求められます。
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