2026/6/13
全国各地で野生のクマが市街地に出没し、不安が広がっています。柵を乗り越えただの、鍵を開けて逃げただの、さらには蛇口を操作して水を飲んだなどと報じられ、その学習能力や知能の高さは私たちの想像以上だと言われています。
私は子どものころ、クマ牧場を訪れたことを半世紀近く経った今でも鮮明に覚えています。クマたちは餌をもらおうと二足で立ち上がり、手をたたいたり、「おいでおいで」と言わんばかりのジェスチャーを見せたりしていました。当時はただ面白いと思って見ていましたが、それを見た両親がことのほか驚いていたことが印象に残っています。今になって思えば、それが私のクマに対する第一印象であり、「決して侮れない動物だ」という認識の原点だったのかもしれません。
名古屋市内でクマが出没することについては、現時点で過度に心配することはないと思いますが、何が起きるかはかわかりません。2020年代に入ってからも野生のイノシシが市内で目撃され、それ以前には私の居住地域でサルが徘徊したこともありました。近年ではアライグマなど外来動物による生活環境への影響も課題となっています。そう考えると、野生動物の市街地への出没は決して遠い地域の話ではありません。
まず重要なのは、人と野生動物との接点をできる限り減らすことではないでしょうか。言い換えれば、「人と野生動物が極力遭遇しない環境をどうつくるか」という発想です。放置果樹や家庭菜園の収穫残渣、生ごみなどの誘引物を適切に管理すること。そして、万が一、遭遇した場合にどう行動すべきかを、平時から周知しておくことも大切です。
さらに、野生動物対策を市政の課題として位置づける必要があります。緊急時には警察や消防への通報が基本となりますが、仮に重大事案が発生した場合、緊急銃猟は市長の権限とされているものの、現場で誰が指揮を執るのか、関係機関がどのように連携するのかを明確にしておかなければなりません。また、学校の安全確保や市民への迅速な情報提供などについても、平時から役割分担と対応手順を整理しておくことが求められます。
野生動物対策は、市民の安全を守るための重要な危機管理です。対応手順の整備や関係機関との連携強化はもちろん、市民への啓発にも継続して取り組む必要があります。人と野生動物の双方にとって不幸な遭遇を防ぐためにも、私も市政に携わる者の一人として、この課題にしっかり向き合っていきたいと思います。
人と野生との境界線は、私たちが思っている以上に近く、そして細くなっているのかもしれません。
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ハットリ マサヤ/57歳/男
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