
7月2日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、大荒れの国会情勢を時系列で整理して紹介!与党の国会運営に反発する野党側の審議拒否によって空転する国会と、皇室典範、議員定数削減と副首都法案への優先度設定に見られる与党間の温度差、そして参議院側が国会延長論にクギをさした理由とは?そして、MC選挙芸人・山本期日前氏も大注目の「路線対立」とは?毎日新聞の田中裕之記者が分かりやすく解説します!
MC期日前氏:今すごい国会が荒れてるじゃないですか。今日は荒れている内容をあの時系列に解説していただくということで、めちゃくちゃありがたいです。
田中記者:はい。何が起きているのか日によって変わってきているので整理したいと思います。まず、昨日(7月1日)の森英介・衆院議長の与野党への要請から始めると、今日(7月2日)時点で何が起きているのかが分かりやすいです。7月1日の午前11時、森英介・衆院議長が与野党の幹部と国会内で会談し、そこで森さんからこういう要請がありました。
①皇室典範改正は最優先
②議員定数削減、副首都法案は互譲の精神で与野党で協議してほしい
③予算集中審議、党首討論の開催に与党は努力してほしい

なぜ、こういう要請をしたのか。今、野党が国会で審議に出てこない理由がこの②と③のところなんです。議員定数削減と副首都法案は別にやりたくないということ、高市総理に予算委員会の集中審議、党首討論に出てきてほしいということ、これが今国会が空転している、不正常な状態になっている要因です。①の「皇室典範改正を最優先」というのは与党のやりたいこと。与党、特に森議長は何としてもこの国会でという風におっしゃっています。
②③は、野党が国会の審議に戻ってくるための森議長の要請だったんですが、これに関して、同じ日に日本維新の会が反発するという状況になりました。具体的には、議長の要請の後、維新の会見で藤田(文武・共同代表)さんが国会日程を議長の影響力で差配することが正しいやり方なのかというような言い方をして反発したんですよ。維新がやりたいのは②議員定数削減と副首都法案なんですね。 これを何としてもこの国会でやるべきだと維新が言っています。
与党としては7月1日に、議員定数削減法案と副首都法案は衆議院の委員会で採決する構えだったんですが、野党は出席せず、この森議長の要請をきっかけに採決が見送られました。議長がここまで要請してるのに採決したら、衆議院が衆議院のトップである森議長のメンツをつぶすようなことになっちゃうから、森議長が要請した段階でそれはできなくなっちゃうんですよ。それに対して、藤田さんは本来中立であるべき議長が国会日程を決めるようなことはあってはならない、と言ったわけです。
ただ、議長が今回のように表でやるのは結構珍しいんです。例えば、議長歴がすごく長かった元衆院議長の大島理森さんは元々むちゃ「国対族」なんですけど、裏では結構「スーパー国対委員長」みたいな感じでやっているんですよ。
MC期日前氏:「悪代官」とも呼ばれていましたよね。

田中記者:与野党が揉めてる時にここが落としどころみたいな感じで、裏で調整に乗り出すことは結構議長がやるんだけど、確かに今回みたいに表に出てきてやるのは割と珍しい。ただ、森議長の下で進めている皇室典範が絡んでいるから、森さんが議長として乗り出したっていうことの大義名分は立つと僕は思います。(中略)
森さんは麻生派なんですよ。麻生派は党と国会の要職にいます。鈴木(俊一)幹事長、本会議を立てたり各委員会に法案を付託したりする衆議院の議院運営委員会の委員長は山口俊一さんです。党の役職と国会運営の要となる委員長を麻生派が抑えている状態です。だから、森議長としてもそのバックアップのもと、こういうことがしやすい。
MC期日前氏:しかも、議員定数削減と副首都法案は他の野党は反対しているけど、鈴木幹事長と麻生さんとで国民民主党と会ったりされていますよね。麻生派と国民民主党連合と高市さん・維新連合っていうこのバチバチの戦い合いの構図になっていますね。

田中記者:そういう路線対立にもなんか見えてくるところが非常にあるんですよ。
MC期日前氏:いやあ、この戦いは見物ですね!
田中記者:この議員定数削減、副首都法案も、野党はもちろん反対しているんだけど、自民党の中でも特に議員定数削減は本音を言えばやりたくないというところもあるんだけれども、高市さんは割と維新の方に理解を示しています。議員定数削減と副首都法案は連立政権合意書にも書いていることを高市さんとしては重視して、維新側にいるような感じです。だから、 高市・維新と、麻生・国民民主みたいなようにも見えるんだよね。
MC期日前氏:ここにきての激しい対立が出てきましたね!
田中記者:それで、時系列に戻りますと、維新は議員定数削減をなんとかやりたい。 自民党・麻生さんとしてはいやいや、まずは皇室典範が最優先だよ。温度差がある中で、7月1日に自民党と維新が皇室典範も議員定数削減も副首都法案もやりますよという覚え書きを交わすという動きがありました。その動きを7月1日の5時過ぎ、一番早く日テレさんがスクープとして報じたんですけど、その内容が皇室典範改正案については最優先で国会で審議する、ここは良いんですけど、議員定数削減法案や副首都法案については「今国会中の成立を図る」という内容だったのね。この図るというのがポイントで、「成立を図る」だから、「成立させる」じゃないわけですよ。
MC期日前氏:とりあえずやろうとしてますよ。図ろうとしたけど無理でした、っていうのはオッケーだと。
田中記者:そうとも読めるじゃないですか。この文言は2月の衆院選の時の自民党の公約の書き方そのもので、玉虫色だったわけですよ。維新の公約は「成立させる」でしたが。「成立させる」と「成立を図る」は、自民と維新の溝だったわけです。日テレの報道に対して、今度維新側がまた不快感を示しました。7月1日の7時過ぎに、維新の藤田さんが記者のぶら下がり取材に対して、そんな覚書案は知りませんと、不快感を如実に示した。調整しているのは確かで、うちの毎日新聞も含めて取材でそういう調整が行われてるっていうこと自体はあるんだけれど、それは途中段階のもので知らないと。まだ修正が重ねられている最中だったはずなんです。
MC期日前氏:なるほど。まだできてもいないし、しかも図るっていう内容に対して怒っているということだったんですね。これが「成立します」とかだったら、維新も怒らなかった可能性があるんですか。
田中記者:可能性はあります。この結果、今日(7月2日)の午前中に自民党の小林(鷹之)政調会長の会見もありましたけど、その中であの覚書が存在するとは認識しておりませんと言って、打ち消したわけ。一方で、維新の吉村さん、大阪の方で定数削減と副首都法案は今国会で閉じずにやり切るという風に言っています。
MC期日前氏:やり切ると、そこまで言われているんですね。
田中記者:だから、今自民と維新の間だと覚書を調整していたことはそうなんだけれども、昨日の報道段階の覚書はなかったことにして、今もその自民党と維新の間で、文言まではまだちょっと分からないけれど、多分その特別国会の会期延期も含めて今国会で成立させる約束っていうのは交わしているのよ。けれど、その覚書も公表されていないことになっていて、『幻の覚書』みたいな。これが不協和音って言えるような状況になってます。
MC期日前氏:うわ、そうなんすね。 覚書が明日にはもしかしたら出てきてるかもしれないですか。
田中記者:出てくるのか、出てこないのか、ちょっとわかんないですね。(中略)成立させると断言までになっているのかどうかがわかんないですね。
やっぱり自民党からしたら皇室典範の方が最優先なんで。議員定数と副首都法案をやりますと言ったとこで野党が動かなくなっちゃうわけなんです。だから、今日(7月2日)も麻生さんは木曜の昼って麻生派の例会があるんですよ。 麻生さんはその例会での発言としては、皇室典範改正の環境整備において森議長、山口議運委員長を始め、鈴木俊一幹事長に鋭意ご努力いただいている。なんとしても今国会において皇室典範改正を成し遂げたいと言っています。麻生さんも皇室典範最優先にこだわっているんだよね。議員定数削減と副首都法案をやろうとすると、ちょっと皇室典範を議論する環境に影響してくるから、そこがまたちょっと微妙なところで駆け引きが続いています。
MC期日前氏:大前提として野党が出席しない中で進めちゃうこともありえないんですかね?
田中記者:これは無理。 だって国会の総意だもん。
MC期日前氏:あ、そっか。総意になるから、野党が出ないとできないのですね。
田中記者:天皇制という国家の根本に関わるものを野党が出席しないままやるっていうのはできないね。
MC期日前氏:議員定数削減と副首都法案は出席しなくてもやろうと思えばできるけど、それやると皇室典範ができなくなってしまうから、基本的には議員定数削減と副首都法案は後回しで、皇室典範を先にやりますと。ただ、野党からすると議員定数削減と副首都法案がそのままの状態だと駆け引きに使われる可能性があるので、あの妥協策が見つからないのですね。

田中記者:そうすね。だから今日の段階でも見つかなかった。
MC期日前氏:すごい攻防ですね!
田中記者:それで、7月2日の夕方4時には、関口(昌一)参院議長に野党から②③に関する申し入れがありました。 それに対して、関口参院議長は60日延長論の再議決による立法というのが言われているが、 それは参議院としても大変遺憾に思うと言っています。度々この選挙ドットコムちゃんねるでも出てきてますけど、「60日ルール」っていうのもあるんですよ。法案が衆議院を通過した時点から数えて60日間経てば、参議院で採決されなくても『衆議院の優越』で自動的に成立させることができる。要は、参議院不要論に繋がるから、7月2日に参院議長がわざわざクギをさしたところにもなっています。これこの後、その会期延長がどれぐらいの幅になるかっていうところが焦点になってくると思います。そこで、60日以上、一気に延長させますよとなったら、参議院を不要にして60日間で議員定数と副首都を通すことになるから、それはやめろよと、おそらくわざわざ参院議長が言っていると思います。これまた複雑な要素になっています。
MC期日前氏:参議院としては存在感を示したいし、ナメてんのかと。
田中記者:維新「高市派」みたいな維新対麻生派・自民に、さらに参議院があり、当然野党もあり、かなり解くのが複雑な感じにはなってきてますよね。
MC期日前氏:今のところ落としどころが全く見えないですね。
田中記者:だから、来週月曜日に参議院の決算委員会に高市さんが出席して、それは野党もやるって言っているので、決算委員会は開かれますけれども、その後も正常化するかどうかは今日時点では確実には見通せないです。
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