若い無党派層の判断軸は?沖縄県知事選挙の結果を投票マッチング結果から分析

2026/09/16

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選挙ドットコム編集部

2026年9月15日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、9月13日に投開票された沖縄県知事選挙について政策面で候補者と利用者の一致度を測定する「沖縄県知事選挙2026投票マッチング」の利用結果から選挙ドットコム編集長の鈴木邦和が分析・解説します。県民所得や賃上げ、米軍普天間飛行場の辺野古移設、南西諸島への自衛隊配備など、MCの選挙芸人・山本期日前氏も驚いた争点をめぐる県民の意思とは?

沖縄県知事選挙2026の結果はコチラ>>

鈴木:投票マッチングは投票の参考にしていただくためのツールなのですが、今回沖縄県在住の利用数は1万1000件。1万人のデータなので結構母数がありますね。

MC期日前氏: 情勢調査よりも明らかに人数がいますよね。

鈴木:もちろん情勢調査のように補正はかけられないのですが、情勢調査では取れない層を調査するためのデータなんです。情勢調査だとどうしても投票態度を決めるのが遅い若い無党派層の考え方がなかなか取れないんですよね。それを補完するために一応YouTubeデータがあって、それとはもう一つ別の角度で補完しているのがこの投票マッチングのデータです。なぜ補完できるのかと言うと、投票マッチングの利用者数は、30代以下で65%、40代以下で言うと83%を占めています。

MC期日前氏: 最近ネットを使う人はかなり年配の人も増えてきていると言われていますが、投票マッチングの利用者は若い年代が多いんですね。

鈴木: そうなんです。しかもこの人たちは若いだけではなく、ちゃんと投票に行っている人たちが多いんです。さらに支持政党別に見ると「支持する政党はない」と答えている人が7割を超えているので、本当に若い無党派層が何を考えているのかを分析するにはすごくいいデータですね。

MC期日前氏: 投票に行く意思がある人のデータだから、すごい参考になりますね。行かない人はやらないですもんね。

鈴木: 通常の情勢調査や世論調査よりもむしろ高いぐらいの投票頻度の人たちのデータを取れているので、かなり参考になるかなと。静岡朝日テレビと協業した「伊東市長選挙投票マッチング」でもこのデータをご紹介したのですが、その時も現市政だけでなく前市政も評価があまり高くなかったことが分かりました。

MC期日前氏:あれは本当に衝撃的で、(選挙前に現職だった)田久保真紀さんとその前職の小野達也さんが1%しか支持が違わなかったんですよね。

鈴木:そういうのも色々分かったりするので、今回ちょっとご紹介したいなと思います。ちなみに集計期間は8月27日から9月13日までです。

MC期日前氏: 沖縄知事選期間中の17日間ということですね。沖縄の人口約148万人のうちの1万1000人だから、結構な割合ですね。

鈴木: 地域別に見ると那覇市がちょっと多いですが、基本的には人口に近い割合になっています。都市部がやっぱりちょっと強めに出る傾向はありますね。

MC期日前氏: 那覇市がそもそも30万人で全体の2割ぐらいの人口を占めていますもんね。2番目が沖縄市、3番目がうるま市と、人口順になっています。ちなみに大宜味村は、玉城デニー氏が(得票数で)唯一勝ったエリアですが、利用者は0.1%ですね。ほとんどの自治体で使っていただいているということですね。

鈴木: それと、投票マッチング自体はすべての候補者に対してアンケートをさせていただいており、回答いただいたものを掲載しています。無回答の方のデータは入っていない状況です。全体で言うと、政策的に我々が今回県政において争点ではないかとお示しした15問の中で、候補者のアンケート回答と利用者が回答した賛否の一致度で1位になった候補者は、実はこういう結果でした。

MC期日前氏: ちょっと待ってください。1位が古謝さんは分かりますが、2位は兼島俊さんですか。

鈴木: 政策の純粋な一致度で言うと、メディアで言われるいわゆる主要候補ではない方が(マッチ度の)上位に入ることは今までの投票マッチングでも実はよくあることです。ただ、これがそのまま投票行動と一致するわけではありません。

主要候補であった古謝氏と玉城氏で言うと、特に若い無党派層の有権者のニーズと合致していたのは古謝氏の方でした。3倍から4倍ぐらい違います。

MC期日前氏: デニーさんは沖縄だともっとマッチするんじゃないかと思ったのですが、全然マッチしていないですね。

僕は沖縄知事選の予想をしていて、古謝さんのゼロ打ち当選は当てたのですが、3位から6位の予想は外してしまったんですよ。3位は琉球独立党の屋良朝助さんにしていて、兼島さんは4位にしていました。

鈴木:兼島さんは投票マッチングのマッチング率で言うと20%ぐらいありますからね。もしこのマッチング結果のまま投票していたら2500票くらいは行っている計算になります。もちろんそのまま投票することはありえないですが、投票マッチングの結果が投票行動に影響ゼロではないので、最後の接戦に効いた可能性はありますね。比嘉隆氏は「無回答」でしたので、投票マッチングの結果には出てこなかったです。末吉正弘氏からも回答はありませんでした。

MC期日前氏:(比嘉氏は)ワクチンに関する政策のみを訴えていましたからね。

鈴木:続いて、有権者が重視した項目を見ていきましょう。

今回は沖縄県議会の議事録4年分をAIに読ませて、本会議や各会派の代表質問で議論されているなど我々が重みづけをした「重要度」に基づいて重要な争点をピックアップして設問化しました。その結果、若い無党派層の関心が圧倒的に高かったのは「物価高対策」と「県民所得と賃上げ」で、つまり「経済」だったんです。

MC期日前氏: 古謝さんがメインで掲げていた政策にダイレクトにドンピシャで当たっていたわけですね。

鈴木: もちろん「普天間飛行場の辺野古移設」も重要で選択肢に入っていますが、それでも10%以下だったので、やっぱり経済への関心が本当に強かったです。

MC期日前氏:そこがものすごく求められていたんですね。「日米地位協定」などに関心がある方もいますが、優先順位としては賃上げと物価高対策が圧倒的でした。

鈴木: 一応注意点として、今回は沖縄県外からの投票マッチング利用も多かったのですが、それらはすべて除外した沖縄県民のみのデータになっています。

MC期日前氏: 県外からの利用はどれくらいあったのですか?

鈴木: 県外利用が3割ちょっとありました。他の投票マッチングでは1割もないので今回は多かったですが、それらは除外しています。では主な設問の回答を見ていくと、物価高の設問(「物価高で苦しむ家計を支えるため、沖縄県は県民への直接的な支援を拡充すべきですか」)では直接的な支援を求める声(賛成)が圧倒的に多かったです。他の自治体よりも多い印象で、すくなくともこの投票マッチングのデータからは沖縄県民の体感としてかなり苦しんでいる方が多いのではないかと窺えます。

MC期日前氏: 玉城デニーさんは「今、経済が好調だ」と実績をアピールしていましたが、リアルな生活実感と乖離があるので、そもそも「今は良い」ということ自体がマイナスに働いた可能性はありますか。

鈴木:そのキャンペーンが実感と違った場合は「嘘なんじゃないか」という捉えられ方をされかねないので、マイナスに働く可能性はありますよね。

MC期日前氏:「ここまでやってきたのでもっとやらせてください」というスタンスの方が良かったかもしれません。

続いて「県民所得・賃上げ」ですが、こちらも直接給付以上に賛成が多かったです。全国と同じような傾向ではありますが、総じて経済の設問を重視する方が非常に多かったのが今回の沖縄の特徴ですね。

山本期日前氏: 有権者のリアルな声ですね。

鈴木: 次に「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を、現在の計画通り進めるべきですか」ですが、反対よりも賛成(進めるべき)と答えた方がやや多かったです。有権者全体で見るとNHKの出口調査などでは拮抗していました。

MC期日前氏:全体では拮抗して、若い年代に限ると「賛成・やや賛成」が半数近くまで行っています。

鈴木:うちの情勢調査でも同じ傾向が出ており、沖縄県の民意が世代間でギャップがある状況だと思います。

MC期日前氏: 「中立」も他の設問に比べて多かったですね。

鈴木: ここは古謝さんと玉城さんで明確に意見が分かれたところなので、若干賛成が多いことが古謝さんへのマッチング度の高さに効いていると思います。続いて「憲法9条」ですが、こちらは綺麗に意見が分かれています。

MC期日前氏:辺野古移設を進めるべきという人よりも、憲法9条を改正すべきという人の方が少ないということですね。

鈴木: そうですね。これは非常に興味深いですね。(中略)続いて「これまでの県政運営の方向性を、次の4年も基本的に引き継ぐべきですか」では、反対と答えた人の方が多かったです。投票マッチングの利用者では、玉城県政を引き継ぐべきではないと考える人が多かったということです。

MC期日前氏:NHKの出口調査でも、玉城県政を評価しているが、評価しつつも「変えた方がいい」と考える人が多かったということですね。

鈴木氏: 続いて、「南西諸島への自衛隊の配備を、一層強化すべきですか」ですが、こちらは賛成の方が多いです。有権者は明確に区別をして一つひとつ判断されていて、全部賛成か反対に振り切っている訳じゃないことが分かります。

MC期日前氏:米軍基地と自衛隊配備の話は別に分けて考えているということですね。

鈴木:古謝さんと玉城さんでも回答が分かれていかます。古謝さんは辺野古移設には「賛成」ですが、自衛隊配備強化については「どちらともいえない」と回答しています。(中略)

そして「日米地位協定を抜本的に改定するよう、沖縄県は国に求め続けるべきですか」になると、一気に賛成が増えます。憲法や自衛隊配備、辺野古移設とも違います。また別で、若い無党派層でも地位協定改定への賛成傾向が強いです。

山本期日前氏: 古謝さんも当選後に基地負担について言及されていましたが、沖縄県民の総意と言えますね。

鈴木: 若い無党派でもこうした傾向なので、そう見るべきだと思います。

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選挙ドットコム編集部

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