台東区長選挙は現職と新人の一騎打ち!4月23日投票
2023/04/21
2026年8月5日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、8月27日告示9月13日投票の8月沖縄県知事選挙の最新ニュースを取り上げ。沖縄県知事選挙で問われる経済政策や歴史認識問題、そして現政権との距離感について、ノンフィクションライターの石戸諭氏とMCの選挙芸人・山本期日前氏が解説します。
(編集部より補足:動画公開日の8月5日時点で、沖縄県知事選挙には玉城デニー氏、古謝玄太氏、下地幹郎氏、比嘉隆氏、屋良朝助氏、兼島俊氏が立候補を表明しています)
石戸氏:玉城デニー知事にしても、古謝(玄太)さんにしても、少なくとも高市政権の基本的な考え方とは、沖縄の振興政策に関してはどちらもまあまあ近いんじゃないかと僕は思っているんですよね。
MC期日前氏:近いんですか?
石戸氏:近いというのはどういうことかというと、高市政権のポイントって(これは僕の見立てで、政治専門の記者からは「いや違うんじゃないの」と言われるかもしれませんが)イデオロギーの問題ではないというところからまず言います。高市政権の基本は何と言えば、産業政策と投資ですよね。いろんな地域に投資していくということじゃないですか。特定の地域に「この産業」と決めて企業を誘致していく。熊本県が代表的ですが、半導体のTSMCを誘致することによって半導体産業の集積地になっている。そういうモデルにしていこうというのが一つ象徴的なモデルなのですが、これを沖縄県でもやりたいという思いはあるわけですよね。そうすると、玉城知事は何と言っているかというと「情報通信関連産業などを伸ばしていきたい」「観光プラス情報通信産業がいいかもね」といった話をしています。
一方で、古謝さんは「教育が良いんじゃないか」といった話をしていて、いろいろあるのですが、基本的には高市政権的な産業政策論や「一つの産業を誘致して、そこを起点にして県内経済を回していこう」という発想に関しては、古謝さんはもちろんそういう思いが強いですし、プランもありそうですが、それにプラスアルファでデニー知事もその点に関してはそれほど反対というわけでもない。
MC期日前氏:方向性的には投資だということですか。
石戸氏:要するに、「産業を誘致してそこを育てていく」という方向性に関しては、高市さんの方向性とデニー氏、古謝氏の方向性で細かい差はあれど、言っていることは一緒なんですよ。だけど、ここから先が問題で、高市政権的な産業政策の方向性と、古謝・玉城両氏が打ち出している産業誘致などの論点に関しては、そこまで高市政権とズレがあるわけではない。知事と今の国政の間で何がズレているかと言えば、当然それは辺野古の移設問題という話になります。(中略)経済政策に関して言えば、今回は方向性にそこまでズレがない。そうなってくると、あとは中身のプランを語っていくのかや、自分が知事でいることによって政権とどう関わっていくかという、政権との距離感の話になりますよね。
MC期日前氏:そうですね。政権との距離感もあると思うのですが、(中略)これまでオール沖縄側にいた金秀グループがだいぶ前に離れて、最近古謝さんのXなどでも金秀グループがついたという情報が出ていました。このあたりのニュースはどのように思われますか?
石戸氏:金秀グループは、もともと翁長(雄志)前知事と一緒にオール沖縄を形成していた極めて重要なグループです。沖縄県の財界の中で大きく6つほど企業グループがあるのですが、その一角を占めている非常に大きなグループです。この金秀グループが今回明確に古謝氏の支援に踏み切ったということに関しては「ついにか」という感じでしたね。
MC期日前氏:流れ的にはそうなっていきそうだというのはあったにせよ、翁長知事時代などを考えると、当時は想像できない姿ですよね。
石戸氏:本当に11年前とかだと、呉屋さんたちのグループはオール沖縄の中心にいたので、国政からも日本共産党の議員がお伺いに行ったことなどが「しんぶん赤旗」でも報道されていたような人たちだったんですよ。僕が取材に行った時にお世話になったのは、今年5月まで会長をやられていた呉屋守將さんという当時のトップの方で、今年の5月からグループの顧問になられたのですが、当時取材に伺った時はまだオール沖縄の残滓が残っていた頃でした。ただ、言葉を選ばずに言えばオール沖縄が崩壊しつつあるという強い危機感を持たれていましたね。やはり保守系が抜けていって革新しか残っていない、これだと支えるのがきついというところは言外に感じました。最後の最後は世論が頼みだったのですが、その世論の風もだんだん止んできた中だったので、呉屋前会長としては立場的になかなか辛かったんじゃないかなと思います。翁長さんと県政を変える、辺野古の基地建設に反対するという思いでやってきたのに。
MC期日前氏:オール沖縄の色だけでなく、県民投票の時とは全然違ってしまった。
石戸氏:もともと呉屋前会長にしても、翁長さんと一緒にやるんだと腹を括って自民党支持の財界から飛び出していったわけです。オール沖縄を作った当時は、初の「保守・財界プラス革新」ですからまだ可能性はあると思いました。革新はとにかく選挙を支える重要な役割だったのですが、そこが抜け落ちて単なる衣替えした革新になってしまったのはポイントです。すでにオール沖縄ではないんですよ。(中略)ただ一方で、最近古謝陣営の実務をやっているような人たちから話を聞く機会があったのですが、「ちょっと危うい」という声を聞きましてね。古謝陣営の今の基本的な戦略って「県民党」なんです。
MC期日前氏:色んな政党をまとめる時に「県民党」と言いますよね。
石戸氏:今回参政党や国民民主党も入ったじゃないですか。知事選の討論会の中でも「なんで参政党と一緒にやるんだ」「神谷(宗幣・参政党代表)氏と同調するのか」といったことをデニーさんが開口一番くらいの勢いで聞いているわけです。定番の動きですよね。
MC期日前氏:他の都道府県と違うのは、歴史認識問題が結構ダイレクトに沖縄にはあるという点です。
石戸氏:それはそうですよ。感覚として理解しておかなければいけないのは、今の30代くらいからすると、沖縄戦の記憶はおじいちゃんおばあちゃんの話なんです。おじいちゃんおばあちゃんが子供の頃に体験して、その後もすごく貧しい時期が続いた。あるいは戦後の子供時代に貧しい思いをしたという記憶と結びついていて、本土復帰の時の話とも繋がってくるので、顔を知っているご先祖様レベルの話の感覚なんですよね。二代前の記憶として残っている世代がいて、(中略)ダイレクトな記憶として語り継がれています。それは政治的な問題とはまた違う、土地に刻まれた土着の感覚でもあるので、決してバカにできないものです。それを軽く見てはいけないという点には僕も全く同調します。参政党の神谷氏の発言に関しても、古謝さんはかなり厳しく批判していて、討論会の中でも沖縄で日本軍による住民の殺害があった歴史的事実を歪める発言には一切同調しませんとはっきり言っているんですよ。参政党とは歴史認識の問題ではなく、基本的に県民所得などの経済問題の方で手を組んだというロジックを用意していました。それがどう評価されるかですね。(中略)
僕から見ると、今回の選挙で玉城デニー知事は前回の約34万票(得票率50.8%)という強い実績があります。ここから大きく増える要素は少ないですが、そもそも現職3選というのは沖縄の歴史において過去に1人しか達成していない選挙戦になります。達成したのは今の自民党沖縄県連トップの西銘恒三郎氏の父である西銘順治氏のみです。沖縄保守のカリスマである西銘氏以上のことができるのかという点がまず問われます。
MC期日前氏:1回目は翁長さんの弔い合戦があり、2回目は2期目の現職の強さがありました。前回は統一教会問題が話題になっていた時期でもありました。
石戸氏:前回、自公ブロックは元宜野湾市長の佐喜真(淳)さんを擁立しましたが、当時は負けが込んでいた時期でもありました。今回、上積みが期待できるのは保守陣営の方で、佐喜真さんが獲得した約27万5000票が上積みできる要素としてあります。
MC期日前氏:首長たちのオール沖縄も完全にいなくなりましたしね。
石戸氏:その後、衆院選でも高市政権下で全4小選挙区を取られたりしていますが、今回高市さんが沖縄県知事選の応援に入るかどうかで大揉めに揉めそうだという要素もあります。
MC期日前氏:知事選は期間が長いので、何回かニュースに取り上げられそうです。
石戸氏:公明党さんがちょっと嫌がっているとなると入りづらくなりますし、自民党側としては入ってほしい。ここで亀裂が入る可能性もあります。ただ、高市さんが入ることのメリットは、政府とのパイプをアピールできることに尽きます。産業政策で沖縄県が独自に取れる手段として観光や地域振興などがありますが、誘致一つとっても国と歩調を合わせた方が、特に産業政策に前のめりな高市さん相手であれば、その後の政策がうまくいく要素は高まります。デニー知事にしても心の中では国との没交渉は避けたいと思っているはずですが、オール沖縄としての構造上それができない事情がある。一方、古謝陣営としても公明党がバックアップに入る体制を作ることで、支持母体の創価学会からは「高市政権と組むのはちょっと」という声が出て、国と歩調を合わせる方向性のアピールはしづらくなるかもしれません。他の人が応援に入るとしても、同じようなアピールができるかというと難しいですよね。
MC期日前氏:本来、沖縄では小渕優子衆院議員なども自民党の顔になるはずですが、今は消費税の件などで保守側から叩かれています。沖縄で自民の顔として回っていくのは小渕さんや今井絵理子参院議員などですが、ネット空間とは相性がよくありません。
石戸氏:(中略)どの選挙でも構造の問題は大きくて、こちらを取り込んだらあちらが取れないということは発生します。国とのパイプをアピールする上で総理大臣と一緒に演説するのが一番のアピールですが、それを行うリスクもある。注目ポイントはまだまだ多そうですね。
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