7月25日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、産経新聞編集長・水内茂幸記者とMCの政治ジャーナリスト・今野忍記者が、会期末の国会を揺るがした副首都法案審議の舞台裏を激論!日本維新の会代表の吉村洋文・大阪府知事の執念と同党重鎮の本音、そして『都構想のパラドックス』とは?

今野記者: この前、吉村(洋文)さんと話したんだけど、都構想ってどうやってもパラドックスがあるんですよ。何のパラドックスかって言うと、そもそも橋下徹さんが大阪府知事になった時に、「知事になったから大阪大改革をしよう」と動いたら、大阪の真ん中に全く自分の言うことを聞かない大阪市があって、当時の平松(邦夫)市長とは全く合わないと。「何なんだこれは。このドーナツの真ん中が何も言うこと聞かないし、そこに全ての富と情報と人が集中している。俺、知事になったけれど意味ないじゃん」となって、「こんなのだったら、もう大阪は一つでいい。府と市、両方はいらない」と。

MC水内記者:まあ合理的な。

今野記者:そう、あの人らしい、ある意味合理主義的な考えだよね。で、「俺も市長になる」と。松井一郎さんという盟友に「自分の代わりに知事になってくれ」と言って、知事と市長のポストを入れ替えたじゃない、最初は。で、これによって都構想のための法律を作ってもらって、国とのパイプで菅(義偉)さんたちに動いてもらってね。ただ、都構想をやろうとすると、府と市の両方で法定協議会を作って進めていかなきゃいけないから、結局、府と市が仲良くないとできないんだよね。でも、そもそも「府と市が仲良くすること」が目的だったから、この瞬間、実は都構想ができているんだよ。

MC水内記者:ああ、意思疎通できているわけですね。

今野記者:そうすると、いざ最後に「都構想の住民投票」をやる時には、市民から「もうええやん。お前ら(橋下・松井)が仲良くやってるんだったら、別に大阪市を潰さんでもこのままでええやん」ってなっちゃう。だから僅差で負けるんだよね。1回目の住民投票もそうだし、2回目当時の松井知事と吉村市長の時も、「いや、もうできとるやん。都構想で大阪市を無くさなくても仲良いやん」となる。だから、今の吉村知事と横山(英幸)市長でも、もう「都構想状態」ができているから、住民投票をやってもやっぱり負けるんだよ。ここが難しくて。もし、例えば大阪市長が伊佐(進一)市長になれば中が悪くなって、「都構想があった方がええな」と大阪の人も思うけれど、そのときにはもう(住民投票自体が)できなくなってる。『都構想のパラドックス』はずっと続くんだよ。

MC水内記者:なるほどです。

今野記者:これを俺は「都構想のパラドックス」って呼んでいるんだけどね。

MC水内記者:ましてや今回でいうと、都構想の関連で、法案を成立させる目的もあったのか分からないですが、大阪府民全体に投票権を広げようとした動きに対して、さすがに「これはやり過ぎだろう」と自民党、高市(早苗)さんからもカットが入って、結局「大阪市民全体」に落ち着きましたよね。大阪市の人からすると、やはり市が完全に消えることに対する抵抗もちょっとあるのかな。

今野記者:あのね、それはやっぱり僕もね、よく「大阪府も大阪市も一緒じゃん」とか「横浜市と神奈川県、神戸市と兵庫県は違うけれど」とか言われるけれど、僕が大阪に住んでいた感覚からすると、やっぱりあるね。セレッソ大阪は大阪市のチームなんだよ。

MC水内記者:なるほど(笑)。

今野記者:大阪市民はピンクのユニフォームを着るんだよ。僕は豊中市に住んでいたから、隣の市に吹田市があって、ガンバ大阪なんですよ、やっぱり(笑)。

MC水内記者:あ、ガンバ大阪なんだ(笑)。

今野記者:だからやっぱね、大阪府と大阪市で、大阪市の人には一定大阪市に愛着がある。(中略)キタ(梅田)もミナミも大阪市にあるわけだからね。

MC水内記者:それから踏まえると、ハードルはかなり高い。今回、3度目の挑戦みたいな形で、去年吉村さんも色々あったけれど、維新の中でも「もう2回ああいう結果になったんだから、もうやめとけよ」という人もいたわけですよね。

今野記者:松井(一郎)さんなんかは優しいから、最終的には応援しているけれど、本音としては僕なんかに「もうええやんか。吉村と横山で仲良くやってるんやから」と。「無理して二度も失敗したんだから、もうええやんか今まで通りで」というのが本音なんだよね。ただ吉村さんがやりたいと言うから「じゃあ邪魔はしない、応援する」というスタンスだけど、「でもええやんか、吉村と横山でうまく行ってるんやから」と言うと、僕も「いや、そしたらあなただって、あなたと吉村さんが仲良いし、あなたと橋下さんが仲良いのに二回もやったじゃないですか」と思ったけれどね(笑)。

MC水内記者:確かに(笑)。そらそうだな。

今野記者:だから、都構想に関しては大阪維新の人たちの遺伝子に組み込まれた「執念」と「怨念」を感じるよね。もちろん理屈として「大阪のため」とか「二重行政を解消して大阪大改革」という行政的な意味合いもあるんだろうけれど、それ以上に執念みたいなものを感じるでしょ。

MC水内記者:そうだね。僕ね、一つだけ維新の人たちを褒めたいのは、遠藤(敬)さんや馬場(伸幸)さんともお話しする機会がありますけれど、その執念・怨念も含めて、吉村さんとの意見の違いがあったりしても、それを僕たちの前であけすけに隠さずぶつけ合いながら、正直に色々と喋ってくれるところなんですよね。僕はそれが好きなんですけど。

今野記者:「吉村の独断や」とか。

MC水内記者:俺たちの目の前でバッと言ってくれるから。

今野記者:まあまあ、あれは維新の良いところだよね。

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