元維新幹部が予想する参院選・都議選に向けた戦略は?
2025/02/05
5月2日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、国際政治学者の三浦瑠麗氏をゲストにお迎え!自民党大会での自衛隊員の国家斉唱をめぐる問題など最近起きたニュースから「そもそも自衛隊は軍隊なのか?」という根源的な問いや、民主主義の根幹である「シビリアンコントロール(文民統制)」の本質について、MCの政治ジャーナリスト・今野忍記者が深掘りしてお話を伺います。
MC今野記者:三浦さんがXで呟いていましたが、(自民党・防衛相の)小泉進次郎さんがオーストラリアの軍人の方と自衛隊の方の写真を「軍人同士の友情」(2026年4月19日にX投稿)って言って釈明しなきゃいけない事態が起きて、ネット上ではいわゆる左派・護憲・リベラルと言われる人たちの批判的な発言だったり、(中略)他方で、反対の人には怒られるかもしれないけれど、これだけの軍隊や軍備を持っていて(中略)軍隊じゃないと言って、世界で通じるのかなと思ったりもしますが、三浦さんはどういう風にお考えになっていますか?
三浦氏:元々、世界に向けては軍と言ってるというか正規軍という扱いなんですよね。正規軍じゃない軍ってことになると、ご懸念のように、実際には軍なのに警察だって偽ることによって、我々はそんなことやってませんよみたいなルール破り、慣習に反した行動を取りながらもという話になっちゃうと、中国だと「海警」(今野記者:日本で言う『海上保安庁』ですよね)っているじゃないですか。でも、全然戦力が違うから。そういう意味で言うと、軍じゃないよって偽ることは、国際的にはむしろ誠意を疑われちゃうんですよね。
MC今野記者:これだけの装備ができて私たち軍隊じゃありませんよというとですね。
三浦氏:あるいは、他に正規軍じゃないというと、イランの革命防衛隊とか、あるいはレバノンの勝手に民兵やっちゃってるヒズボラとかフーシ派みたいな話になっちゃうわけで、それは国を守る目的ではない目的に従事しているってことになっちゃうんですよね。 要は国軍じゃないって建付けなんですよね。
MC今野記者:革命防衛隊は宗教の部隊だし、人民解放軍は中国共産党の軍だし。
三浦氏:そうなると危険だから、国軍として位置づけておかないと、国際的にも通用しないし、国内的に国の防衛の目的のために従事しているっていう位置づけなわけだから、「軍」と言っても何の問題もないです。ところが、なんで軍と呼ばないかっていうと憲法9条(「陸海空軍その他の戦力」)があるからじゃないですか。これは政府見解では、「陸海空軍その他の戦力」に自衛隊は当たらないんだと。でも、「当たらない」っていうのは軍じゃないって意味ではないと思うんですよ。むしろ、戦力っていうものが必要最小限度を超えるような能力であり意思なんだと。我々は9条1項にある通り不戦条約の価値観を守っている。
MC今野記者:「国際紛争を解決する手段」としては 武力や軍を使いませんということですね。
三浦氏:でも、それは各国の軍みんな守んなきゃいけない話だから日本だけじゃないんですけど、日本特有のこととしては集団的自衛権が部分的にしか行使をしない、それを超えちゃうと憲法違反だという話。だから、日本は個別的自衛権の用い方にもイスラエルみたいなアグレッシブなことはしないし、集団的自衛権もかなり限定されて用いるんだよということなんで、軍だけど戦力と言えるような能力・意思は持たせませんよ。その理解に日本人が追いつかないと、「軍じゃない」と言ったらシビリアンコントロールがいらなくなるんですよ。
MC今野記者:そういうことなんですよね。文民統制だから、軍じゃないんだったら、そもそもシビリアンコントロール自体が成り立たなくなってしまう。
三浦氏:そうなんです。でも、シビリアンコントロールって日本では戦前ほとんどみんな価値観が分かっていない。同志社大学の森靖夫さんの研究なんですけど、戦前の日本の陸軍が中で文民統制の研究をしていたんですね。 陸軍は自分が統制されちゃう話を先進国ではやってるからちゃんと研究しなきゃとやってたぐらいで、でも政治家も市民も全然無頓着だったわけですよね。それは日本の民主化がまだ浅い段階だったというのもあるし、近代化自体が浅かったからですよね。
でも、問題なのは戦後もそのノリで行っちゃって、例えば一流官庁の出身官僚とかがシビリアンコントロールの概念を全く理解してないっていう社会になっちゃったんですよ。例えば、大学で政治学とか学ぶじゃないですか。 教科書使いますよね。でも、この教科書の中にどれだけシビリアンコントロールについて書いてあるかって言うと、あんまり書いてないじゃないですか。私がちょっと覚えているのはアメリカの(政治学者の)ロバート・ダールが書いた政治学の教科書の中に「デモクラシーにはシビリアンコントロールが必要だよ」って書いてあるんですけど、彼も専門じゃないからサラっと書いて終わりなんですよね。むしろ、血肉になってるというか、アメリカ人の価値観の中で、例えば共和党の党大会でいきなり陸軍の歌手が歌ったりしたら、それは問題だとパッとわかるカルチャーなんですよね。プロはもっとよく知ってるわけです。ところが、日本には戦前の日本の軍の研究者はいるし、何人か政軍関係の理論の研究者はいるんですけど、どちらかというと防衛研究所とかに固まってたりして、あんまりビジビリティがないというか。しかも、国際政治理論で政軍関係は多分私しかいないですよね。そもそもめちゃくちゃ希少種なんです。
MC今野記者:でも、それが今すごい重要なところになっちゃったから。
三浦氏:なっちゃったけど、根本を理解していないから、例えば警察や公安が暴走した時に「シビリアンコントロールがなってない」と使ってしまう。いやいや警察はシビリアンです、みたいな。軍だけ特別なんですよ。軍が特別なのは軍を政治化させちゃいけないからなんですよね。 それを政治化させるようなことを自民党大会でもさせちゃいけないんですよ。そうやって批判されると自衛官も「何を」と思っちゃうから。
MC今野記者:そうですよね。すぐ自衛隊法に触れるのか触れないのかみたいな話になっていくんだけど、あれはもう政治的中立性の意味ですよね。だから、小泉進次郎さんも報告があれば対応したのにって言うけど、あなた写真撮って投稿してたからはしゃいでましたよねと。
三浦氏:だから、自民党的には進次郎さんのオーストラリアとの軍事交流の時の発言が炎上したのはプラスだったんですよ。
MC今野記者:どういうことですか?
三浦氏:だって自民党の党大会については、自民党の議員もあれは問題だったっていう人は多いんですよ。ちゃんと、日本維新の会も藤田文武さんからも(指摘が出た)、政軍関係の知識が入っていれば、法律がどうかっていうこと以前にあれはよろしくないと言うわけですよ。
MC今野記者:そう。法律以前なんですね、あれはね。
三浦氏:絶対に自民党的にはまずかったという話なんだけど、 小泉進次郎さんの別の何の問題もない発言が炎上したおかげで「ああ、左翼は」みたいに政治的にはプラスだった。けれども、これは自衛隊をコントロールしたり、日本社会でどう育てていくかっていう観点では本当に良くない。
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