これほど底が抜けた法案は初めてだーー中道改革連合・長妻昭衆院議員が追及する個人情報保護法改正をめぐるリスクと「抜け道」の問題

2026/06/22

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選挙ドットコム編集部

6月5日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、中道改革連合の長妻昭衆院議員にMCの毎日新聞・田中裕之記者がインタビュー!メディアがほぼ報じていない個人情報保護法改正案の深刻な盲点となっている、AI開発などを目的として本人の同意なく実名や住所付きの病歴データを企業や事業者に提供することのリスクや、政府が「裏道」を作って強行しようとする手法の問題点を追及します。

MC田中記者:衆議院予算委員会の質問者として、一つ、メディアがまだなかなか取り上げてないテーマを扱うということをお聞きしました。

長妻氏:そうですね。私も長年議員をやっていて、これほど底が抜けたような法案は初めてなんですが。みなさんが今どういうご病気か、過去にどういう病気になったかという病歴が、名前と住所付きで、つまりかなりの個人情報を企業や個人事業主に渡すことができるというものなんです。

今までは渡す時に本人の同意が必要だったんですが、今度は「AI開発などの統計作成等」という要件があれば、公開されてない情報について、本人の同意なく渡すことができる。こういう法案が出てきて、実は厚生労働省も相当懸念があるということで、個人情報保護委員会に内部で極秘に文書を送って「かなり懸念があるからなんとかしてくれ」と伝えているんです。異例のことなんですが、相当役所の中からも不安の声が上がっていて、消費者団体含めて各団体からも不安の声が上がってるんです。統計作成等で、もちろん表に出る時は実名は出ないって言うんですけれども、ただ多くの人に名前と住所付きの病歴が渡ってしまうと、漏れる危険性もありますよね。一旦AIに読ませるわけですから、そこから漏れる危険性もあると。そういうようなことで、私たちは「いや、実名は必要ないんじゃないの」と。仮名(かめい)化して、それでお渡しすれば、医学の進歩につながる病気の発生状況の分析ということであれば事足りる、という風に再三再四申し上げてるんですが、「いや、名前も必要だという業者もいる可能性があるから名前も出すような仕組みにしてる」って言うんですね。

長妻氏:私もAIの開発、AIの進歩っていうのはもちろん否定しません。これは大変重要なことだと思います。AIにデータを読ませるってことが重要なのは言うまでもありません。ただ、ヨーロッパやアメリカ以上に破格のこういう法案を成立させてしまうと、国民のみなさんのデータに対する信頼を揺るがせてしまい、むしろAIの開発にもマイナスになると危惧しているわけで、せめてヨーロッパ並の信頼できる制度を作るべきだと。実は厚労省は内部でそういう会議をしてまして、この夏にヨーロッパ並みの信頼できる提供体制を作るという一定の結論が出るんですね。その前に国会で通してしまう、これはちょっとおかしいんじゃないかということなんです。

MC田中記者:なるほど。この法案は個人情報保護法の改正案ですね。これはデジタル庁が所管しているんですか?

長妻氏:いや、これは独立している個人情報保護委員会が所管してるんですよ。ですから、私は「名前を変えた方がいいんじゃないか」とこの前国会で言ったんです。個人情報「活用」委員会に変えて、個人情報保護委員会を別に国会に作って、ちゃんと保護するような仕組みが必要なんじゃないかと申し上げたんです。

MC田中記者:政府側の目的としては、AI開発をしたい事業者が、よりその情報を実名で取りやすくするために出てきた法案であると。

長妻氏:そうです。統計作成、AI開発でもいいというような法案なんですね。実は厚生労働省と内閣府が所管していて、「次世代医療基盤法」という個人情報保護法の特別法もすでにあるんですよ。ここはかなり厳格に、病歴の仮名情報を企業にお渡しするという仕組みになっていて、それについて「自分の情報(の提供)は嫌だ」という人は拒絶できる仕組みがもうすでにあるんです。だから、もしさらに活用を進めたいのであれば、厚生労働省所管の仕組みのところでやるべきだと強く主張してるんですが、「いや、もうこっち(個人情報保護法)でやるんだ」ということで。私に言わせると、横道や裏道に抜け道を作って、そっちでドンと穴を開けてしまうようなもの。厚生労働省や内閣府が所管している今の病歴を仮名化して提供する仕組みは、相当な専門家が議論して作ったものですから、そっちの方でやるべきだと私たちは考えています。

MC田中記者: 分かりやすく考えると、たとえば患者さんの同意なしで自分の病歴が実名で提供されてしまうという部分ですが、これはマイナ保険証で考えると分かりやすいということですかね。お医者さんに行くと、マイナ保険証をかざして、その情報を提供していいのかというところを患者さん本人が同意できる仕組みがありますが、それなしで行ってしまうという。

長妻氏: これね、医師会の方がそういう風におっしゃってました。私もなるほどと思ったんですが、マイナ保険証をかざすと画面に出てくるじゃないですか。「あなたの病歴をこのお医者さんに提供していいですか?」と。その都度「はい」とか「前と一緒でいいです」とかボタンを押すじゃないですか。そのお医者さんにすら、自分の病歴を毎回「いいですか?」って確認されるわけですよね。

長妻氏: ところが、あまりにもバランスがおかしいのは、個人事業主や民間の事業者に対しては、その病院が「AI開発などの統計作成等であれば、本人の同意なく渡すことができる」となっている。ちょっとバランスがおかしいですよね。

しかも、私が驚いたのは法律改正した暁には、実施したい医療機関やあるいは企業はホームページなどで、うちの病院はこういう企業に情報提供しますよと事前に告知しないといけない。(表示が)大きい字か小さい字か分かりませんけど、たまたまそれが(患者の)目について、この病院は企業に提供するのか、自分の名前・住所付きの病歴が提供されるのは嫌だから病院に対して自分のだけは勘弁してくれと言ったとしても止まらないってことですよ。国会で答弁があったわけですよ。私こんな馬鹿な話あるのかなと思うわけです。自分の情報(提供について)止められない、止める権利もない。私ね、欧米に比べても本当に類を見ない法律なので、むしろ私は信頼が損なわれてデータ提供をかなり躊躇するところが増えてきて、マイナスになるんじゃないかと心配しているんですよ。

MC田中記者:これは、総理大臣が答弁するというようなことを与野党で決める「重要広範議案」にはしなかったんですか?

長妻氏:ええ、それには入れなかったんですね。というのは、これ今もメディアはなかなか気づいていないとこがあるんですが、政府の初めの説明が非常に分かりにくい説明でした。つまり、公開されている病歴、これを「要配慮個人情報」って言うんですけども、例えば自分は末期癌ですとホームページに出すとか、そういうことについて本人の同意なく集めて第三者に提供していいかは、今までは本人の同意が必要だったんです。ただ、これを同意なく提供していいというようなものの説明がバーンと初めに来てたんで、これはまあ自分で公開してる話なのでということで、大目に皆さん見ている方が多かったんですが、今回の話っていうのは、実は裏に隠されていて、きちっと説明してないんですよ。

びっくりするんですが、パブコメ(パブリックコメント)も適切に取ってないんですよ。今回パブコメ自体は取ったんだけど、その「住所・名前付きの病歴を企業や個人事業主に本人の同意なく提供する」という部分が入らない形でパブコメを取ってるんです。これを入れてパブコメを取ったら大変なことになるわけで、それが入る前の段階の案でパブコメを取っているわけです。前回の改正の時は、最終的に2回パブコメを取ってるんですね。でも、今回最終的なものは取っていない。私はこれ、どう考えても確信犯だと思いますね。分からないうちにさっと、業界や自民党の強い強い要請があって。本当は消費者団体とか、利用される側の個人の立場、患者さんの立場もちゃんと聞いて欲しいんですよ。これは医療的処置も入りますから、たとえば妊娠中絶、精神疾患、性病の情報とか、あるいは本当に不治の病、難病の情報とか、非常に機微に触れるものについても、本人が気づくことはなかなかないと思いますが、事前に気づいたとしても止まらない。こんな底が抜けたべらぼうな法律は、私も長年議員をやっていてめったにお目にかからないです。

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選挙ドットコム編集部

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