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2021/06/17
4月28日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、慶應義塾大学経済学部教授の小林慶一郎氏をゲストにお迎え!高市政権の掲げる「責任ある積極財政」の落とし穴、そして「プランB」の必要性とは、政治ジャーナリストの今野忍記者が深掘りインタビューします。
MC今野記者:質問なんですけど、安倍政権時代に、例えば研究開発で租税特別措置でかなり優遇してあげたり、法人税も下げたんですよね。安倍政権で消費税は上げたけど、法人税を下げて、じゃあ結局トリクルダウンじゃないけど企業が成長して、我々国民の方にお金が降りてきたかっていうと、内部留保は600兆円でどうなっとるんだと。安倍(晋三)さんも怒ってましたよ。
小林氏:だから全くおっしゃる通りね。財政をやって、企業がうまく反応してくれたら成長するんだけど、反応してくれるかどうかっていうのは企業次第なんですよね。 だからその時代、特に安倍政権の頃の時代は、まだ日本経済全体について先行き不安があったので、企業経営者としてもリスクを取って投資をしようっていう風にならなかった。ならなかったですね。多分今もまだ、それほどリスクを取ろうっていう気になってないかもしれない。 企業経営者がちゃんとリスクを取ってイノベーションを起こそうと思ってくれれば、積極財政をやって成長するっていうのはうまくいくんですけど企業次第になっちゃう。
MC今野記者:そうですよね。だから結局そうなっちゃうんですよね。
小林氏:ええ。だからその時に、まず「失敗する可能性がある」ということを認識した上で積極財政をやらないといけないんですよね。だから、もし「積極財政をすれば必ず成長します」と言ってしまうと、それは無責任な政策になるので。積極財政をやった時に企業が反応しなくて成長しないかもしれない、その時に「どういう2番目の手を打つんだ」ということを事前に準備するっていうのが、責任ある財政だと思うんですよね。
小林氏:だから、財政の責任論っていうのは、僕の解釈は、積極財政で高い成長を目指すんだけれども、それが実現しなかった時に財源をどうするんだと。 もし実現しなかった時に財源をどうするか、あるいは実現しなかった時にそれでも経済が安定して、成長が失速しないようにする。そのための政策は何か準備できるのかと。要するに、失敗した時のプランBをちゃんと作っておくということです。
MC今野記者:プランBっていうのはどんなプランがあるんですか?
小林氏:プランBっていうのは、その財源を調達するために、本当はやりたくないけど「消費税を増税するかもしれない」とか、そういうような積極財政が失敗した時にどうやって収拾するかという、あんまり政治的には今言いたくないだろうっていうことだと思うんですけど。
MC今野記者:なかなか今の政治状況で「消費増税」ってかなり言えない状況に来てますよね。僕なんか政治家でもなければ何でもないから好きなこと言えちゃうんですけど、消費税を上げます、食料品はもう0にします。今、10%と8%の軽減税率って言ってもあんまりありがたみがないじゃないですか。だから、ゼロにしないまでももう思い切って(食料品は)5%とかまで1回戻してしまって、本体の方は例えば12%もしくは15%まで上げる。その代わり、現役世帯で今社会保険料とかで苦しんでいる人たち、年収300万〜500万の「翁カーブ」と言われている世帯に思い切って給付しちゃう。だから1回取るんだけど給付する。消費税が15%だとすごい痛税感は高まるけど、その分、子育て層の人たちには毎月5万とか10万でもいいし、で教育は全部無償化するとか。そうすれば、出すけどちゃんと戻ってくるから。
小林氏:そうですね。そこはそういう再分配をやるなら大賛成です。
MC今野記者:そこは一つの考え方なのかなと思うんだけど、なかなかそういう議論は今できないじゃないですか。
小林氏:できないですね。だけどそれは本当はやるべきで、給付付き税額控除の話の中で、消費税も含めて税収中立的な消費税の改革っていうのも本当は入れるべきだと思うんですけど。
小林氏:あともう1個、さっきの「積極財政で成長する」という話で、一部賛成・一部反対と言ったんですけど。賛成なのは「積極財政をうまくやれば成長するかもしれない」というのは賛成なんだけど、反対っていうのは「積極財政で成長すれば、借金は全部返せるから大丈夫」というところ。そこは楽観的すぎる。
MC今野記者:なるほどね。
小林氏:つまり、みんなそう思うのは、要するに「積極財政で成長すればいいじゃないか」とみんなそう思っているのは、今、金利が低いからですよね。長期金利が成長率よりも低いんです。だからほっといても、経済成長率の方が金利より高いから、債務比率は下がっていくわけです。分母のGDP(経済規模)が経済成長率で増えていって、分子の借金は利子率で増えていくから、金利が成長率よりも低ければ、分子の増え方の方がちっちゃくなる。
MC今野記者:成長率が3%だとして、仮ですよ、利子率が2%だとすれば、1%分の借金が比率としては減っていくわけですよね。
小林氏:だから今はそういうことがずっと続くと思ってしまうかもしれないんですけど、金利が成長率よりも低いっていうのはすごく例外的なんですね。今金利が上がり始めてるけど、その間、しばらくは昔の金利が低かった時の影響が続くので。
MC今野記者:はい、時間差があるってことですね。
小林氏:だからこの後ずっと金利が低いまま続くということはなくて、金利が上がってきたら、財政はまたもっと苦しくなるわけです。 だからそれは、積極財政で成長したとしても、その結果、成長すれば金利って上がりますよね。景気が良くなれば金利もそこそこ上がってくるので、そうすると財政はますます苦しくなると。
MC今野記者:なるほどね。
小林氏:だから「成長によって財政の借金は返せて大丈夫」というのは、これはあまりにも楽観できないので、そこは借金についてはちゃんと、借金を減らすための政策をやらなきゃいけないと。
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