
4月1日公開の「選挙ドットコムちゃんねる」では、緊迫するイラン情勢の裏側を、現代アメリカ政治外交の第一人者で、智大学総合グローバル学部・教授の前嶋和弘氏が徹底解説。中間選挙に向けたアメリカ世論の動向、そして「負け戦」セオリーを覆す戦略とは?毎日新聞の田中裕之記者が伺います。
前嶋教授:アメリカ国内の話をすると、これ今回の戦争もそうですけど、基本的にまだトランプ応援団は応援してるんですね。今回の戦争もベネズエラの話も、その去年の6月も同じパターンで。特に、勘違いしちゃいけないのは「MAGA(マガ・「Make America Great Again」はトランプの応援団なので「MAGAが割れる」っていうのはおかしい。MAGAが割れたらMAGAじゃないので。だからMAGAはずっとトランプを応援してて9割5分ぐらいがこの戦争を「いい」と思ってて、それ以外の非MAGAの共和党支持者の方はそうでもなくて7~8割ぐらいになってるっていうパターンですね。
逆に言うと、そのMAGAとかなり重なるのが福音派ですので、そう考えていくとイスラエルを応援しないことは自分(トランプ氏)にとってマイナスになっていく。それができるかということで、なかなか難しいかもしれません。
もうちょっと説明すると、アメリカって国の3割ぐらいが共和党支持者、3割ぐらいが民主党支持者、そして無党派がいます。日本だと無党派というと「分別がある無党派」、仲良くさせていただいている早稲田大学の田中愛治総長の積極的な無党派が日本の1990年代の政治・選挙を動かしたっていう言葉が研究者の間では結構有名なんですが、積極的な無党派ってアメリカでは形容矛盾で成り立ちません。無党派はやる気がない、無関心層で選挙に行かない。党派性が強く強くなるほど選挙に行く。そうなると、ポイントは3割の共和党支持者をいかに選挙に行かせるか。3割の共和党支持者のトランプ大統領の支持率は8割9割。3割の民主党支持者はトランプ大統領の支持率は1とか2とか3ですから、どう考えても無視した方が合理的。とすると、今の支持層のことを考えて「イスラエルを応援しないよ」って言うと、果たしてどうなるかと。

支持層の中でいわゆる「アメリカ・ファースト」で、「イスラエルを応援することはアメリカ・ファーストじゃないよ」と思っている人たちは離反するかもしれないけど、でも民主党側には行かない。党派性が強くなればなるほど選挙に行く。
中間選挙の話をすると、中間選挙の投票率って4~5割です。そうすると共和党支持者の全部が元々行くわけではない。民主党支持者の全部が行くわけでもない。だから、なるべく自分から離脱してないところを選挙に行かせたいっていうのが頭にあると思います。そう考えていくと、やっぱりイスラエルを普通は切りにくい。切ったらすごい話ですね。その瞬間、トランプ政権というものが崩壊していくと思うんだけど、でも、その瞬間がもしかしたら来るかもしれないっていう風に見えますよね。
MC田中記者:中間選挙は11月にあるんですけど、その選挙対策を考えても支持層を固めた方が得だから、トランプさんが弱気になるっていうことはやっぱり考えにくいっていうことですよね。

前嶋教授:だと思います。むしろここは強く出た方がいいのかもしれない。これもうちょっと説明します。皆さん「経済」とか言うんです。「経済、インフレで選挙決まりますか?」って聞くと、イエスでありノーで、ノーの方なんですね。
今、経済を見る見方も、インフレを見る見方も、共和党支持者は「トランプが悪い」んじゃなくて、「バイデンが悪いんだ」と未だに言って、トランプが言ったことを信じてたりします。だから、例えばトランプ大統領のインフレ対策、共和党支持者は7割5分ぐらい応援して、民主党支持者は10%も応援しないっていう状況があります。
そもそもアメリカの選挙は、日本の今年の正月の選挙と違って「風」が吹かない。どういうことかと申しますと、ほとんど「投票率」でわかる。大統領選挙の投票率は、実はかなり伸びていて、これは選挙産業が入ってるからどんどん伸びてるんだけど、65%まで行きました。
ただ中間選挙ってよくいって50%台。だから15ポイントぐらい低いわけですね。誰が行かないかって言うと、選挙で大統領に入れた人たちが「大統領が出ないからね」って行かないわけです。だから基本的に大統領の政党は、中間選挙では何をしなくても何をしても、大きなイベントや経済がおかしくなったり戦争があっても何でも、とりあえず議席を失う。平均すると第二次大戦以降、大統領の中間選挙で、下院(日本でいう衆議院)は435議席ありますが、435の中で平均して大統領の政党はマイナス26。スタートの時、今の議会のスタートは共和党プラス5、今ほとんどないんですけど、絶対にひっくり返るわけですね、普通はね。だから最初から「負け戦」です。上院がどうかっていうとマイナス4。今、共和党と民主党との差(民主党の方には統一会派の2人も含めて)差が6ですので、これもギリギリ。だから基本的に「負け戦」、負ける中でどれだけ負けないかっていうこと。
でも近年を見ると、2010年オバマ大統領の時、下院マイナス63。2018年トランプ大統領の時マイナス41。絶対にひっくり返る。今(の差は)5ですから、5以下ですから。だけど1つだけすごい例外があって2002年。当時は共和党(ブッシュ大統領)ですけど、プラス下院8なんですよね。これよく分かりません(笑)。なぜ増えたか分からない……要するに大統領の政党が増えた「例外中の例外」。でも2002年の11月は2001年10月からのアフガン戦争と、2003年3月はアメリカ時間19日からのイラク戦争の真ん中なので、もしかしたら「戦時大統領」っていけるかなと思ってるかもしれない。

それがあると、むしろこれは強く出た方がいい。ただ、問題なのはアフガン・イラク戦争の時はまだアメリカは、日本と違って「アメリカ悪い」んじゃなくて「アメリカしっかりやりましょう」という感じだったけど、今もうすでに割れてるから、このアナロジーがうまくいくか分かりませんけど。でも、いずれにしても、大逆転を考えて「戦争はしっかりやろう」と思ってる節もないわけではない。これ分かんないところですけどね。でも、ま、通常は負け戦です。
MC田中記者:なるほど。あまり考えたくないですし、あってほしくないですが、11月までこの状況が続いて、11月に終わらなくて、中間選挙で仮にトランプさんの共和党がセオリー通り負け戦になった場合でもうやっぱり「終わらせよう」にはなりにくいもんでしょうかね?
前嶋教授:どうですかね。逆にうまく戦争継続して議席が増えたら「もっとやろう」かもしれないし。でも逆に、もうトランプとしてはあとは引退なので、レガシーを作るために、その「損切り」をどこでするかってことになるのかもしれないけれども。でもまあ、「ハメネイを殺した、いい戦争だ」っていう話に持っていきたい、ミサイルで撃ち続けてずっと勝ってると言ってますからね。
ただ一つ言えることは、下院でひっくり返るとします。そうすると何が変わるか。なんか日本では「中間選挙以降、大きく変わるかもしれない」みたいなすごく期待があるのかもしれないけど、私はあんまり変わると思っていません。下院で過半数取れば3回目の「弾劾」があるかもしれませんけど、上院では3分の2が必要なのでアメリカの歴史上、一回も弾劾はない。(中略)だから、ワイワイトランプ弾劾騒ぎが出るかもしれないけど、 結局安泰という気がいたしますよね。
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