11月17日投開票の兵庫県知事選挙は、今年春に発覚した内部告発文書問題を受けて「出直し選挙」に臨んだ前職の斎藤元彦氏が111万3911票を獲得して再選を果たしました。約半年にわたる県政の混乱の後に示された民意は「前知事の再登板」でした。その裏にあったのがネットを中心とした世論の押し上げだと考えられますが、実際はどうだったのでしょうか。選挙ドットコムが独自にYouTubeのデータを調べました。
選挙ドットコムが選挙告示日の10月31日から投開票日の11月17日午後8時までの期間、YouTube上の兵庫県知事選挙の関連キーワードで検索してヒットする動画の再生回数は多い順に以下の通りでした。
【調査概要】YouTube上で選挙名(兵庫県知事選挙)や候補者7人の氏名に加えて、「公益通報」や「百条委員会」など今回の県知事選挙に関連するキーワードで検索される動画を抽出して集計しました。調査期間は、告示日(10月31日)から投開票日(11月17日午後8時)までの18日間。
上記の期間中に再生回数が多かった上位10位までの動画は以下の通りです(動画タイトルやカッコ内の再生回数は10月31日から投開票日11月17日午後8時までの間のものです)。
【第1位】【緊急対談】※虚偽報道の黒幕はあの人でした※ 立花孝志×須田慎一郎 兵庫県知事選挙の真実(虎ノ門ニュース)/真相深入り! 虎ノ門ニュース(194万0232回再生)
【第2位】【160万再生】実名報道!民主主義を揺るがす事態が兵庫県で起きている!わかりやすくまとめました! #斎藤元彦 #兵庫県知事選 #片山副知事 #さいとう元彦 /眞右まみぎちゃんねる(162万6096回再生)
【第3位】【兵庫県知事選挙という究極のミステリー①】疑惑と告発文書問題…渦巻く政治家たちの思惑とは?/中田敦彦のYouTube大学 – NAKATA UNIVERSITY(140万3964回再生)
【第4位】1141回 【斎藤元知事新展開】ついに出た!兵庫県職員のパソコンに隠されていた真実/髙橋洋一チャンネル(137万4711回再生)
【第5位】【ReHacQ討論会】兵庫県知事選挙【候補者7人vs高橋弘樹】/ReHacQ−リハック−【公式】(134万9844回再生)
【第6位】【リハック・奥谷委員長】高橋Pの徹底追及10連発まとめ!立花が糾弾、斎藤元彦・元兵庫県知事は濡れ衣を着せられた!?/腐敗政治を許さない(130万1059回再生)
【第7位】【立花孝志】街頭演説に妨害部隊が乱入、、彼らの正体は反斎藤派に雇われたアルバイトの可能性が、、【斎藤元彦 兵庫県知事選挙 NHK党】/立花孝志ふたり放送局(120万5586回再生)
【第8位】【斎藤元彦&立花孝志】なんだコレ… ありえない… 姫路駅 街頭演説 2024/11/15 #斎藤元彦 #立花孝志 #斎藤知事 #さいとう元彦 #兵庫県知事選 #兵庫県知事選挙 #百条委員会/まなびばLIVE (118万5556回再生)
【第9位】武田邦彦「日本の存続に関わる超重大事件。80年の人生で最も衝撃のニュース」/ #斎藤元彦 #斎藤元彦前知事 #兵庫県知事選 #立花孝志 #斎藤前知事/まなびばLIVE (116万9568回再生)
【第10位】【石丸が絶賛】今最も熱い!兵庫県知事選挙の公開討論会が激し過ぎた!【兵庫県知事選挙/斎藤知事/立花/石丸伸二】/石丸伸二と日本を動かそう(108万7733回再生)
チャンネルごとの再生回数をみても、「斎藤氏の支援」を掲げて立候補していた立花孝志氏の個人チャンネルが80本近い兵庫県知事選関連動画を公開して合計約1377万回でチャンネル別の再生数ではトップでした。立花氏や同氏が党首を務めるNHKから国民を守る党に関する切り抜き動画を投稿していたチャンネルが続き、合計の再生回数がそれぞれ1000万回を超える。立花氏が「既得権側」や「反斎藤派」と戦いながら斎藤氏の支持を呼び掛けている様子が拡散されました。
こうした「既得権」には大手メディアも含まれました。選挙前にマスコミが斎藤氏の「パワハラ」や「おねだり」を一斉に報じていたことを批判し、斎藤氏を擁護する別の見方や論拠を「真実」だとして発信する内容の動画も人気を集めます。既存の大手マスコミへの不信感が漂う中で、「真相深入り! 虎ノ門ニュース」や「ReHacQ−リハック−【公式】」などの解説動画・インタビュー動画も多く見られました。
立花氏の存在感が際立っている一方で、清他候補の清水貴之氏や稲村和美氏、大沢芳清氏が立ち上げたチャンネルで投稿している動画は再生回数が伸びず、第三者が公開している動画の再生数が多いのも特徴的です。
今回の兵庫県知事選挙では、国政政党のほとんどが地方組織の支援や「自主投票」などにとどまりました。既存の政党支持を中心とする組織固めが勝敗を分けてきた従来の知事選と比べると異色とも言える構図の中で、無党派層が一層鍵を握った中でYouTube上には次から次へと流れてくる「真実」や「真相」と銘打ったタイトルの動画が衆目を集めました。
そもそも選挙の発端となった内部告発文書の問題は兵庫県や兵庫県議会による調査での決着を見ない中で選挙戦に突入。「真実」の需要が高かったのは、公的な機関が一定の客観的な事実や調査に基づく「真実」を提示できなかったことと無関係ではないのではないでしょうか。ただし、ネット上にあふれた「真実」とは、YouTube上で類似・関連動画がどんどんおススメされる「フィルターバブル」の中で、それぞれが信じやすい「真実」のみが増幅されていく性質のものでもありました。
有権者が判断に頭を悩ました中で、期日前投票の割合は過去最高となり、投票率は前回よりも14ポイント増の大幅増となったのは光明でした。まずはこの選挙戦を戦った候補者と、この選挙に対して意思を示した全ての有権者に敬意を表します。しかし、今後の県政運営の正常化に向けてはまだ道筋がついていません。民意の結果を受けて、知事だけではなく職員、議会などの関係者各位が兵庫県政をどう進めていくのかが問われています。そして、その経過を見守ることは民意側の責任でもあります。
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