選挙ドットコムでは、2023年4月9日・23日投票の第20回統一地方選挙を前に、国政政党への政策アンケートを行いました。
国政政党にとって、全国の地方議員の数は党勢に影響を及ぼす重要な指標であり、国政選挙と同じように重視し多数の候補者を擁立します。
アンケートは20の設問で構成され、各党はそれぞれに「賛成」「やや賛成」「中立」「やや反対」「反対」から選択し回答、さらに各設問に対する党の考えや立場について説明していただきました。
本記事では社会民主党のアンケート回答を掲載します。
福島第一原発事故の経験を経て、原発の安全神話は崩れ去りました。同時に、事故被害の甚大さも明らかになりました。日本は世界でも地震多発地帯であり、原発利用政策からはなるべく早期に離脱するべきです。原発の再稼働には反対です。
極端な首長の多選は、行政の硬直化や権限の肥大化を招いたり、腐敗の温床ともなりうることから好ましくない。ただ一律に法律で禁止することについては国民主権や民主主義の観点から慎重に検討する必要がある。
結婚の平等は速やかに実現されるべき基本的人権の一つです。現行の結婚制度から排除されている人たちが置かれた状況が、違憲状態との司法判断も出ました。制度不備による人権侵害を放置すべきではありません。差別を受けやすい少数者の人権擁護は国際人権法上の国家の責務であり、人権条約の遵守義務は憲法の定めるところです。国連人権理事会からの勧告に基づき包括的差別禁止法の導入も不可欠です。
学校教育法は11条で「給食費は保護者の負担」としています。しかし、食育基本法が制定され、給食は「食育」の一つとして考えられるようになりました。憲法は「義務教育は無償」と定めています。給食を教育の一環で捉え直し、国の制度として無償化すべきです。
子どもの医療費助成制度は、都道府県や市町村によって、対象年齢、所得制限、負担の有無などが様々で、格差が生じています。すべての子どもの健康、成長を保障する観点から、国による全国一律の制度が必要です。早急に就学前までを対象とする制度を創設し、順次18歳年度末まで拡大します。また、子どもに手厚い施策をした自治体に国が国保国庫補助金の削減をペナルティとして科すのは誤りです。即刻廃止すべきです。
政府はマインナンバーカードの取得は任意であるとしてきました。日本は皆保険制度であり、健康保険証とマイナンバーカードの一本化は事実上の義務化です。個人情報の漏えいリスクなど懸念は多く、きちんとした政府の説明がないまま強制されることは納得できません。税、社会保障、災害対策の3分野の事務に限定されてきたマイナンバーの利用範囲が拡大されることに対して国民の合意を得ていないことは非常に問題です。
ふるさと納税は、故郷や思い入れのある地域、被災自治体などへの支援につながる一方、居住地における受益と負担の関係にそぐわないこと、「官製通販競争」として地域特産物の適正価格の破壊や地場産業の自治体依存をもたらすこと、収入が不安定で安定した住民サービスの提供に懸念があること、高所得者ほど有利であることなどの問題が多いことから、廃止の方向で根本的に見直すべきと考えます。
すでに現行の平和憲法の下で必要最小限度の実力組織として自衛隊を持つという国民合意が成立しており、あえて憲法に明記する意味はないと考えます。
ガソリン税は消費税との二重課税の問題もあり、地球温暖化対策税やガソリン税、自動車関係税などとあわせて、環境税(炭素税)に組み替え、課税方法についても見直すべきと考えています。コロナで冷え込んだ国民生活を保護するために一時的に引き下げることもあり得ると考えます。
地方の公共交通の維持は、住民の生活に関わる問題です。採算性だけで切り捨てていけば過疎化に拍車がかかるばかりです。公共交通が高齢者の外出を増やし健康を支え医療費の抑制につながる面もあります。通勤通学の保障、若い世代を呼び込むための公営住宅とセットで考えるなど、その地域の共有財としてなるべく残す方向で、住民と一緒に方向を決めるべきだと考えます。
議員の定数は、行革や効率性の観点で取り扱うべきではなく、多様な民意の反映、議員活動や議会の機能強化の観点で対応すべきです。すでに「平成の大合併」で議員定数は相当少なくなっており、これ以上の議員定数の削減は不要と考えています。
すでに日本は人口縮小社会となっており、身の丈に合わない過度な大規模公共事業には慎重に対応するべきと考えます。一方で、インフラ設備の老朽化なども指摘され、安心・安全な生活のために必要な事業もあります。公共事業については、是々非々で無駄遣いのないようにすすめるべきと考えます。
年金は高齢者の生活資金の柱であり、安定して信頼できる制度である必要があります。財政上の理由で安易に制度改正を行なうことは許されません。受給開始年齢を引き上げるためには、年金受給まで安心して働ける雇用が確保されることが大前提ですが、2022年4月から繰り下げ受給年齢が75歳までへと広がったばかりであり、議論の条件はまったくありません。2004年の「100年安心年金」改革はどこへいったのでしょうか。
障害があってもなくても、子どもたちが共に学び、共に成長していくためにインクルーシブ教育は非常に大切です。子どもたちが、平等、多様性、平和を尊重する豊かな将来社会をつくっていくために不可欠です。昨年9月、国連障害者権利委員会は日本政府に対して「インクルーシブ教育の権利を保障するために緊急に措置が必要」という勧告を出しました。日本政府は一刻も早く、この課題に積極的に取り組むべきです
国土面積の0.6%しかない沖縄県に、全国の米軍専用施設の7割が集中しているのは明らかに異常で、加重負担です。社民党として日本に恒久的な米軍基地は不要と考えているため単純な基地負担の移替えには慎重な立場ですが、沖縄の負担を軽減することは何にも増して重要との立場から、一時的に沖縄の米軍基地を県外に移設することも一つの選択肢と考えています。
政府が企業を偏重し公共サービスの民営化を推進していることに危機感を持ちます。自治体の相談窓口、水道、保育、図書館など身近な公共サービスが変質し、住民がないがしろにされています。PFI(民間主導の公共サービスの提供)、指定管理者制度、地方独立行政法人などによる弊害が顕著になってきました。経済効率のみを優先させるのではなく、主権者である地域住民の安心、安全、公平を主軸に行政サービスを構築すべきです。
労働基準法によって「1日8時間・週40時間」の法定労働時間が定められている。時給1500円で、1日8時間、月23日働いたとして月給は27万6千円。独立して住居を持ち、衣食をまかなうのは非常に厳しい額です。現在、非正規労働者の割合は約4割です。正規労働者との均等待遇は喫緊の課題であり、時給1500円を早急に実現すべきです。
世代を対立させ、少子化対策の予算を確保しようとする政府の策動に抗議します。例えば介護介護保険サービスが縮減され高齢者が必要なサービスを得られず、現役世代が介護離職をしたり、ヤングケアラーが増加している問題をどう考えるのでしょうか。2023年度の当初予算は過去最大の114兆円超ですが、防衛費の増額が優先され、こども家庭庁の予算の増額はわずか3%弱です。防衛費の増額を止め子ども若者に予算を配分すべき。
東京など大都市への人口集中は、地方の過疎化と大都市部の公害や交通渋滞、地価高騰などを引き起こし、経済効率の面からも行き詰まりを見せています。人口集中の是正や災害対策等の観点からも行政機能の分散や、大企業の本社機能の地方移転などを推進するべきです。ただ、どこに住み暮らすかは個人の選択の問題であり、行政が居住地を強制するような性質を持つことは避ける必要があります。
日本の医療提供の主体は民間病院です。過去 20 年の推移をみると総病院数のうち医療法人・個人の病院が占める割合は一貫して 7割強です。民間病院の統合は容易ではありません。また、中小規模の医療機関を統合することが感染症危機の備えにつながるかのような質問は理解が困難です。コロナ危機において公立病院はその役割を発揮していました。地域の医療提供体制を確保するためにも公立病院の統廃合には明確に反対します。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード