選挙ドットコムでは、2023年4月9日・23日投票の第20回統一地方選挙を前に、国政政党への政策アンケートを行いました。
国政政党にとって、全国の地方議員の数は党勢に影響を及ぼす重要な指標であり、国政選挙と同じように重視し多数の候補者を擁立します。
アンケートは20の設問で構成され、各党はそれぞれに「賛成」「やや賛成」「中立」「やや反対」「反対」から選択し回答、さらに各設問に対する党の考えや立場について説明していただきました。
本記事では自由民主党のアンケート回答を掲載します。
資源価格高騰やロシアのウクライナ侵略、電力需給のひっ迫等、わが国のエネルギー情勢が一変しており、国民生活や産業の基盤となるエネルギーを気候変動問題への対応と両立する形で、将来にわたり安定的な供給体制を構築するべく、太陽光などの再エネに加え、原子力を含め、あらゆる選択肢の追求が重要です。もちろん、原子力発電所の再稼働には、原子力規制委員会による安全性の確認が大前提です。
多選による行政執行権の集中に伴う弊害や、施策のマンネリ化などの指摘がある一方、多選には施策の一貫性や長期的計画の実現を容易にするという側面もあり、多選制限にはメリット・デメリットの両面があります。首長の多選禁止は、地方自治制度や地方選挙制度の根幹に関わる問題であり、選挙等を通じてしっかり議論された上、有権者の判断に委ねるべきと考えます。
同性婚の導入については、国民生活の基本に関わる問題、国民一人一人の家族観とも密接に関わるものであると認識しています。国民各層の意見、国会における議論、同性婚に関する訴訟の状況、地方自治体におけるパートナーシップ制度の導入や運用等、さまざまな動向を注視し、検討を進める必要があると考えます。
給食費については従来、「学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待される」との学校給食法の趣旨を踏まえ、設置者である各自治体が判断していますが、現在、自民党では、少子化対策や子育て支援について議論を重ねているところであり、先般、党から政府に提出した論点整理には「小中学校の給食費の無償化」も盛り込んでいます。実現には解決すべき課題もあるので、今後も丁寧に議論していきます。
子供の医療費については、国として、医療保険制度において、就学前の子供の医療費の自己負担を3割から2割に軽減しており、これに加えて自治体独自の助成制度により自己負担の更なる軽減が図られています。地域の実情に応じて実施いただいている子供の医療費助成制度を、全て国の制度として実施することは、自己負担の軽減による受診行動の変化も考えられ、厳しい医療保険財政等を考慮すると、課題が多いと考えています。
マイナンバーカードはオンラインで確実な本人確認を行うことができるツールであり、まさに「デジタル社会へのパスポート」です。健康保険証との一体化により、健康・医療に関する多くのデータに基づくより良い医療を受けることが可能となるほか、転職時の健康保険証の切替が不要といった様々なメリットがあります。
「ふるさと納税制度」は、納税者が寄附先を選択する制度であり、自治体にとっては寄付者の意思・希望に対する意識が向上し、寄付者にとっては地方行政への関心と参加意識が高まるきっかけとなり、かつ、交流人口の増加にもつながつというメリットがあります。一方、自治体間の競争が過熱するなど指摘もあり、制度の趣旨を逸脱することがないよう是正が必要な点は見直すべきと考えております。
自衛隊を憲法に位置付けるに当たっては、現行の9条1項・2項及びその解釈を維持した上で、9条の2として「自衛隊」を明記します。自衛隊の「徹底した平和主義」、「専守防衛」の下での国内外における諸活動は多くの国民の支持を得ていますが、他方、自衛隊について違憲と主張するものもあるため、憲法改正により自衛隊を憲法に位置付け、「自衛隊違憲論」を解消したいと考えます。
ガソリン税の暫定税率の一時的な引き下げ、いわゆるトリガー条項は、仮に凍結が解除された場合、地方税が減収となり、地方財政含めた自治体の運営にも大きな影響が出ることに加え、ガソリンの買い控えやその反動による駆け込み需要等の流通の混乱が生じる等の課題があります。そのため、自民党としては激変緩和という形で価格の高騰に対応しています。
赤字路線=廃線という短絡的な考えに陥ることなく、特に地方で暮らす住民の足として欠かすことのできない、また、地域経済の成長にも不可欠な公共交通の維持・発展のため、MaaSや自動運転などの新技術の実装を進めつつ、ローカル鉄道のあり方に関する新たな協議の場づくりも含め、多様な主体による共創、事業者と地域との協働等の促進によって、利便性と持続可能性の高い地域公共交通ネットワークへの再構築を推進します。
地方議員の定数はこの20年余りで半減しています。地方議員定数は、地方自治の在り方にもつながる問題であり、各団体、更には住民の皆様のご判断に委ねるべきものと考えております。
気候変動により激甚化・頻発化する豪雨災害・土砂災害、今後発生が危惧される南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝沿いの大規模地震、津波や火山等への備えが求められています。3か年緊急対策と5か年加速化対策により、各地で被害の防止・軽減されるなど大きな効果を上げている状況に鑑み、加速化対策後の更なる対策を見据え、国土強靱化基本法の改訂、新たな国土強靱化基本計画の策定等、取組を強力に推進します。
人生100年時代に対応した年金制度の構築に向けて、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を選択できるよう、年金受給開始時期の選択肢の拡大等を行っています。被用者保険の更なる適用拡大や基礎年金給付水準の確保等について、引き続き検討を進めます。なお、現在65歳からとなっている年金支給開始年齢の引上げは考えておりません。
障害のある子供の学びの充実のためには、教師や関係者が障害特性について十分に理解し、児童生徒一人一人に応じたきめ細かい指導を行うことが重要です。障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるよう「特別支援教育支援員」の配置のための財政支援の拡充、小中学校の通級による指導の教員定数の基礎定数化、施設のバリアフリー化によって充実を図っています。今後も、インクルーシブ教育の推進に努めます。
安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力・対処力を構成する重要な要素であり、現下の安全保障環境では、その重要性は更に増しています。一方で、沖縄の皆様に大きな基地負担を負っていただいていることを重く受け止めており、嘉手納以南の土地の返還や在沖海兵隊のグアム移転などを着実に進めていくことで、沖縄の基地負担の軽減を図っていく必要があります。
地方自治体における行政サービスは、自治体ごとの人員・予算等となるため、非効率になりやすい傾向は否定できません。一方、民営化を進めることによって、経営効率を上げたり、新しい技術やサービスを導入がしやすくなったりという利点はありますが、過度に効率を求めると、サービスの質の低下を招く恐れもあり、バランスの取れた対応が求められると考えております。
最低賃金の引上げの環境整備を一層進めるためにも事業再構築・生産性向上に取り組む中小企業へのきめ細かな支援や取引適正化等に取り組みます。景気や物価動向を踏まえ、地域間格差にも配慮しながら、できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上となることを目指し、引上げに取り組みます。
少子高齢化が急速に進む中、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を構築し、次の世代に引き継いでいく必要があります。また、子供・子育て政策は最も有効な未来への投資であり、これを抜本的に強化するため、6月の骨太方針までに、将来的な子供・子育て予算倍増に向けた大枠を提示します。高齢者福祉と少子化対策、二者択一の問題ではなく、ともに必要な予算額をしっかりと措置していくことが重要と考えます。
人口急減・超高齢化というわが国が直面する大きな課題に対し、将来にわたって成長力を確保する「活力ある日本社会」を創生していく必要性が増している中、首都直下型地震の脅威と併せ、新型コロナウイルス感染症により、東京への人口一極集中に対する危機意識が大きくなっています。引き続き、地方創生関連交付金の更なる充実を図り、地域の個性豊かな取組を後押しし、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を実現します。
新興感染症への備えとしては、昨年成立した感染症法等改正法に基づき、各医療機関が都道府県と協定を結び、中小規模の医療機関も含め、それぞれの機能・役割に応じた対応をしていただきたいと考えています。一方で、中長期的な人口構造の変化に伴う医療ニーズに応じた、質の高い持続可能な医療提供体制の確保を図るためには、医療機関の再編が必要な地域もあり、地域の実情に応じた対応が重要と考えています。
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