民進党は党員票1位の蓮舫を代表にして、沈没した。国会議員は党員投票と関係なく、選良として投票を。(歴史家・評論家 八幡和郎)

2021/09/28

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八幡 和郎

自民党総裁選2021特設サイトより

自民党総裁選挙に限らず、一般党員の投票結果と国会議員の投票をどういうバランスでみるべきかは、政党関係者にとって頭が痛いところである。あるいは、党員に限らない一般国民の人気は気にするべきかというのも難問だ。

今回の自民党総裁選挙でも、一般党員投票の結果を国会議員は尊重して投票すべきだという人もいる。
そこで、私も比較法的な研究もしてきたし、とくにヨーロッパ各国の制度については官僚時代に実地調査もいろいろやってきたので、制度論に遡って論じてみようと思う。

ただ、その前に、皆さん忘れておられるだろうが、蓮舫さんが民進党の代表に選ばれたときに、二重国籍との関連で起きた出来事を、今回と似たところもあるので、ちょっと紹介したいと思う。

一般党員投票締め切りまで二重国籍を否定した蓮舫さん

私は2016年に蓮舫元民進党代表の二重国籍を発見して追及したが、それは、民進党の代表選挙で一般党員・サポーターの投票が進められている最中の出来事だった。

ところが、蓮舫さんのサイドでは、その疑惑を否定しただけでなく、非常に厳しく私を批判されたが、いろいろ説明に矛盾があったのでネットを通じて多くの人の協力を得て認めざるを得ないように追い込んだのである。

その論争の間にも、民進党代表選の郵便投票は進んでいたが、蓮舫さんは頑なに否定されていた。ところが、一般投票が締め切られた翌日の9月13日にいたって二重国籍だったことを認められた。

そして、9月15日に民進党代表選挙があったが、一般党員票で蓮舫さんが167点、前原誠司氏が52点、玉木雄一郎氏が12点という圧勝であり、これを尊重せざるを得ないというか、議員票で覆すのは票差からしても難しいということで、蓮舫さんに鞍替えする議員もおられ、地滑り的に蓮舫さんが勝利した。

ところが、その後、党大会のころの説明も嘘だらけだったことが発覚し、一年間ほど迷走を繰り返したあげく、東京都議選の敗北もあって、翌年の7月には代表辞任に追い込まれた。

二重国籍という事実を知らないいまま党員などが投票したのにもかかわらず、議員たちがその意向を追認したことで、民進党としての再出発を台無しにしたのである。

党員投票と議員の意向を等価値だと、民主主義的に決めたはず

そもそも、アメリカの予備選挙などと違って、日本の一般党員投票には、かなりの問題がある。アメリカは公的に党の支持者であることを登録するから、民主党と共和党の二重登録もないし、一般有権者のかなりの部分がどちらかの党の予備選で投票する。

しかし、日本の場合には、党員の構成はかなり偏ったものだ。その結果、党員の傾向と支持者の平均像とにはかなり差がある。それに対して、議員は支持者の広汎な投票によって選ばれている。

また、一般党員の投票は公示日の直後に行われており、その後のあの激しく濃密な議論は反映されていないのである。いま、投票したら同じ傾向かどうかは、わからない。また、一部候補についての疑惑も本格的に議論されだしたのは告示後だ。

さらに、もし、一般党員票をもっと重視したければ、そういう仕組みにすればいい。投票数の比重を増やすことも出来るし、あるいは、議員が投票する前に一般党員票の結果を公表するとかすればよろしい。

さんざん議論した結果、現在の票数の割合にしたのだし、一般党員票の票数を秘密にしたまま議員は投票した方がいいとみんなで決めたのであろう。それを、一般党員投票の投票結果について漏洩まがいのことをする、あるいは、デマとして流された結果もどきに影響を受けてはルールの趣旨に反するのではないか。

私は各国会議員がポピュリズム的な主張に影響されることなく、国会議員として国民に負託された立場に相応しい見識で以て投票して欲しい。

 

例外的に党員投票を尊重すべきこともある

もちろん、もっと一般党員票の比重を増やせとかいう主張もあるだろうが、それは議論を別の場でするべきことだ。
あるいは、あまりにも、一般党員の意向が明確であるし、一般党員の投票ののちに状況の変化もないし、というのなら、立候補をほかの候補が取り下げてということもありうるだろう。

さらには、自民党総裁選挙ではじめて一般党員投票が実施された1978年の福田赳夫 対 大平正芳が争った総裁選挙のときのように、福田首相が党員投票の意向を尊重すべきだとか予めいいながら大平幹事長に負けてしまったといったときは、モラルの問題として例外であろう。

そうでない限りは、国会議員は選良としての責任において、自分がこの人ならと思う候補者に投票されるべきだと考えるし、迷われたら、民進党の代表選挙で蓮舫さんが選ばれたときの失敗を思い起こしてほしい。
 
また、将来の構想ということなら、党員登録をマイナンバーとリンクして登録し、パソコンの前で党大会に参加してもらい、一斉に投票するといったことが実現したら、面白いと思う。

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八幡 和郎

評論家、歴史家、徳島文理大学教授 滋賀県大津市出身。東京大学法学部を経て1975年通商産業省入省。入省後官費留学生としてフランス国立行政学院(ENA)留学。通産省大臣官房法令審査委員、通商政策局北西アジア課長、官房情報管理課長などを歴任し、1997年退官。2004年より徳島文理大学大学院教授。著書に『歴代総理の通信簿』(PHP文庫)『地方維新vs.土着権力 〈47都道府県〉政治地図』(文春新書)『吉田松陰名言集 思えば得るあり学べば為すあり』(宝島SUGOI文庫)など多数。

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