都議選の投票日が7月4日に迫ってきていますね。公職選挙法(以下、公選法)では、事後買収を防ぐ意図などがあり、当落にかかわらず選挙が終わったあとの「あいさつ行為」に一定の制限を設けています。
「あいさつ行為」の制限は、立候補者だけでなく、有権者にも関係があるので注意が必要です。
この記事では、やってはいけない「あいさつ行為」と公選法違反にならない「あいさつ行為」について解説します。
投票日当日の投票所が閉ざされた時刻以降のすべてにおいて制限される「あいさつ行為」。立候補者のみに適用されるイメージがありますが、実は有権者にも適用されます。
「知らずに公選法違反のあいさつ行為をしてしまった」ということを避けるためにも、しっかりやってはいけないことを把握しておきたいですよね。
この「あいさつ行為の制限」は、
・誰であっても(つまり、候補者も有権者も選挙区外の者も)
・選挙後は、選挙人に対して
・「当選または落選に関してのあいさつをする目的」で、
以下の7つの行為をすることができません。
× 選挙人に対して、戸別訪問をすること。
× 文書図画を頒布したり、掲示すること。
× 新聞紙、雑誌を利用(広告)すること。
× 放送設備を利用して放送すること。
× 当選祝賀会その他の集会を開催すること。
× 自動車を連ねたり、隊伍を組んで往来したりして、「気勢を張る行為」をすること。
× 当選したお礼として、当選人の氏名、政党・政治団体の名称を言い歩くこと。
引用:阿蘇市選挙管理委員会「選挙活動に関する禁止・制限事項」
とはいえ「お礼を一切言ってはいけない」ということではありません。
候補者自身の活動報告が目的で発行するビラなどに、お礼の一文が入っている程度であれば直ちに違反になるとは言えないとされています。
当選や落選の挨拶が目的となっている文章の場合は、制限がありますので注意しましょう。
公選違反にならない「あいさつ行為」は以下になります。
◯自筆による信書(不特定多数人に宛てた文書は禁止されます。)
引用:阿蘇市選挙管理委員会「選挙活動に関する禁止・制限事項」
また、ネット選挙が解禁されてからは、
◯Webサイトやブログ、SNS等にあいさつ文を掲載すること
も認められました。
つまり、Webサイト等に当落に関するメッセージを記載することは問題ありません。
「あいさつ行為」と混同しやすい「当選祝い」についても簡単に解説します。
当選祝いについては、以下のような決まりがあります。
当選祝いは、選挙が終わった後になるので、選挙運動に関する寄附にはなりません。政治家個人への政治活動に関する寄附となります。そのため、金銭及び有価証券(小切手、手形、商品券、株券、公社債券等)によるものが原則として禁止されており、年間150万円以内の物品等に限られます。
✕ 金銭での寄付はできません。
◯ 酒などの飲食物や物品を持っていくことは可能です。
※ただし、当選人本人が消費するのではなく、支持者や同席者に酒や飲食物を「提供すること」「ふるまうこと」は、公職の候補者等の寄付の禁止に該当し、禁止されています。
引用:潮来市選挙管理委員会「明るくきれいな選挙実現のために」
つまり、金銭の寄付はできず、物品なら可能。
お酒や飲食物の場合は当選した本人が消費しなければならず、選挙区内の支持者などに提供することは禁止されています。
ただし、政治家個人への当選祝いではなく、政治家の資金管理団体や後援団体などの政治団体に対する寄附であれば、年間1団体につき150万円まで金銭による寄附もできます。
都議選をはじめ、選挙に立候補されている方、そしてこれから立候補を考えている方。
さらには有権者の皆さま。知らなかったとしても、やってはいけない「あいさつ行為」をしてしまうと公選法違反になってしまいますので、くれぐれもご注意ください。
「あいさつ行為」のルールを知り、投開票日を迎えましょう。
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