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「保守分裂」でも「現職が街頭に立たない」コロナ禍の知事選!雪国・岐阜県が今アツい!【1】(フリーライター・畠山理仁)

2021/1/20

畠山理仁

畠山理仁

岐阜駅前に立つ金の織田信長像

「大きなお世話」だとは思う。でも、書かずにはいられない。
過去に行われた岐阜県知事選挙の投票率は、あまりにも低すぎないだろうか。
この問題はみなさんに考えてもらいたい。そこで、21世紀に入ってから行われた岐阜県知事選挙の投票率を挙げてみる。

2001年1月28日執行 46.49%
2005年1月23日執行 43.50%
2009年1月25日執行 38.44%
2013年1月27日執行 33.92%
2017年1月11日執行 36.39%

なんと20年以上、一度も投票率50%を超えていない。岐阜県では有権者の半数以上が選挙に行かずに知事が選ばれる「時代」が続いている。

もちろん、選挙に行くか行かないかを決めるのは有権者の大切な権利だ。選挙結果の影響を最も受ける人たちが「投票に行かない」のには、ちゃんとした理由があるのだろう。

それでも言いたい。さすがに棄権しすぎじゃないか。

こんなことを書くと、きっと選挙に行く人たちからは怒られるだろう。

「私は選挙に行っている!」

そして、こうも言われるだろう。

「投票率が低いのは岐阜県だけじゃない!」

そのとおりだ。投票率が低いのは岐阜県だけではない。全国的な傾向だ。

私は選挙に行く人たちが、全力で政治に参加していることを知っている。自らが推す候補者を周りの人に広め、投票所に足を運んでもらうように働きかけていることも知っている。積極的に選挙に関わり、貴重な一票を投じてきた人たちには敬意を抱いている。

一方で、投票に行かなかった人たちを責めるつもりもない。ただ、私は知りたい。

なぜ、貴重な権利を捨てる人がこんなにも多いのか。投票に行かないと、どんないいことがあるのか。ぜひ、岐阜県のみなさんに教えもらいたい。

そのことを踏まえた上で、次の数字も見てほしい。新型コロナウイルス感染症が拡大する中、昨年1年間に行われた6つの知事選挙の投票率だ。

熊本県知事選挙 2020年3月22日執行 45.03%
東京都知事選挙 2020年7月5日執行 54.97%
鹿児島県知事選挙 2020年7月12日執行 49.84%
富山県知事選挙 2020年10月25日執行 60.67%
岡山県知事選挙 2020年10月25日執行 33.68%
栃木県知事選挙 2020年11月15日執行 38.72%

投票率が50%を超えたのは、東京都知事選と富山県知事選だけだ。なかでも投票率が過去最低となった岡山県では、有権者の約3人に1人しか投票しなかった。

もちろん、どの知事も法定得票数(有効得票総数÷4)を上回っている。だから法律上は当選の要件を満たしている。

しかし、本当にこれでいいのだろうか。

 

新型コロナウイルスの感染拡大は、日本国内の選挙に大きな影響を与えている。いわゆる「3密」を避けるため、室内での集会を自粛したり、有権者との握手を避けたりするケースが増えている。

有権者との接触は、肘と肘をあわせる「肘タッチ」が主流になった。「密」を避けるため、街頭演説の場所を事前告知しないケースも増えてきた。つまり、「コロナ以前」に行われていた選挙戦からは大きく様変わりした。

昨年行われた知事選挙の中には、選挙期間中に現職候補が全く街頭に立たない選挙が2つあった。熊本県知事選挙と東京都知事選挙だ。この2つの選挙では、現職候補がいずれも「新型コロナ対応のため公務を優先させる」という姿勢で選挙戦に臨んだ。

熊本県知事の蒲島郁夫氏は選挙カーを準備していたが、選挙直前に「公務に専念する」ことを宣言した。そして、結局、一度も選挙カーを走らせることをしなかった。

熊本県知事選挙で一度も街を走ることがなかった蒲島郁夫氏の幻の選挙カー


東京都知事の小池百合子氏は選挙カーを走らせた。しかし、候補者本人は街頭での活動を一切行わなかった。

ただし、蒲島氏も小池氏も、全く選挙運動をしなかったわけではない。2人ともインターネットを使って政策をアピールし、動画の配信を行なっていた。

現職知事の公務は選挙期間中であっても報道される。そのため、公務に専念することが結果的に有権者へのアピールとなり、熊本県、東京都では現職候補が当選した。

一方、現職が選挙運動を展開したものの、新人に破れた選挙が2つある。鹿児島県知事選と富山県知事選だ。鹿児島県と富山県に共通していたのは、「保守分裂」選挙となったことである。

今回の岐阜県知事選(1月7日告示、1月24日投開票)が興味深いのは、「現職が街頭に立たない」「保守分裂」という2つの要素が重なっていることだ。これは新型コロナ禍で行われる知事選挙では初めてのケースとなっている。

 

「保守分裂」でも「現職が街頭に立たない」コロナ禍の知事選!雪国・岐阜県が今アツい!1
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【岐阜県選挙管理委員会事務局・第20回岐阜県知事選挙特設サイト】
選挙公報、期日前投票、政見放送・経歴放送の日時情報あり。

 

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畠山理仁

畠山理仁

フリーランスライター。第15回開高健ノンフィクション賞受賞作『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』(集英社)著者。他に『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)など。興味テーマは選挙と政治家。

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