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自民党総裁選挙・石破茂氏インタビュー「国民を信じない政治家は国民に信用されない」

2020/9/13

選挙ドットコム編集部

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選挙ドットコムではYahoo!ニュースと共同で、9月8日告示・14日に自民党の両院議員総会で投票が行われる自民党総裁選挙に立候補した石破茂氏に独占インタビューを行いました。今回はその内容をお届けします。

新型コロナウイルス感染症対策で優先すべきは医療現場への支援と困窮した人への経済的支援

Q.現在日本が直面している課題である新型コロナウイルス感染症対策について今政府として行うべきこと、今後行っていくべきことは何だと考えていますか?

一番は医療現場への支援だと思います。確かに重症者は減っていますが、医師や看護師といった人たちのギリギリの努力によって今日の状況がある訳です。
一般の患者さんは来なくなってしまいましたし、コロナ対応はストレスが2~3割増しかそれ以上のストレスがかかるそうです。
ストレスはかかる、感染の恐怖はある、経営は悪い―医療現場は本当にギリギリの状況で、崩壊したら終わりなんです。そのため医療現場への支援が一番急ぐことだと思っています。

もう一つ。本当に暮らしが苦しくなってしまった人がいます。(新型コロナ対策は)いろいろな規制をお願いベースで行っている中で経済的支援がまだ十分ではありません。
強制力を伴った規制が感染症の拡大阻止につながるのであればやらなくてはいけませんが、そこで経済的支援をセットにしないとダメだと思っています。
喫緊にやらなくてはならないのは医療現場への支援と強制力を伴う感染症対策を行うのであれば経済的支援の充実です。

更に言えば、Gotoトラベルキャンペーンが話題になっていますが経済を回していくことと、感染の拡大を防ぐことは接触機会を減らせば両立可能なはずです。
例えば東京でも葛飾柴又に行ったことがない人、雷門に行ったことがない人はたくさんいます。オリンピックを当て込んでできた素敵なホテルに泊まってみたい人もたくさんいる訳です。三多摩で行ったことがない地域たいっぱいある。
やはりマイクロツーリズムを回していくことは大事なことで、色んな工夫はまだあるはずだと思っているんです。

コロナが終息に向かっていくにあたってもいろいろなことを平行して行わなくてはいけないと思っています。
たとえばインバウンドが減ってしまって困ったなぁと思う一方で日本人も外国に行けなくなってしまった。ただ外国人が日本で使うお金と日本人が外国で使うお金にそんなに差はない訳です。
どうやって国内で外国で使っていたお金を回すかというと付加価値を高めないといけません。またインバウンドが盛んなときにこれは昔の団体旅行のようだなと私は思っていました。付加価値を高めないとコロナが収束した後にはインバウンド需要は立ち消えになってしまうと思います。
コロナがリモートで仕事をする可能性を拓きました。地方でも仕事ができるじゃないか、というのはコロナが終息してから考えるのではなくコロナと並行してやっていくべきです。
またコロナのリスクは大都市ほど高く地方は低いじゃないですか。首都直下型地震もいつくるかわからない。集積の利益を超えたことが起こったので地域分散型、内需主導型の経済を作る訳です。まだ人口は1億2700万人いるので内需を拡大する余地はあると思っています。

デジタル化・ICTの活用で「少量・多品種・高付加価値」を

Q.学校教育におけるITの活用や政府・行政におけるIT人材の育成、活用についての考えを聞かせてください。

突然安倍総裁が辞めて、党員投票の準備に2か月かかるというのはこれはどういうことでしょう。総裁が辞めて選挙をするのに2か月かかる、それはおかしいですよね。
今回のコロナでもいろんな給付金をもらうのにものすごく手続きが複雑でした。マイナンバーカードを生かして納税と給付を一体化でいるはずなんです。
そうしたデジタルを利用してコロナにうまく対応したのは一番は台湾、韓国でしょう。その国々でできて日本ではできなかったのはなぜか考えなくてはなりません。台湾の担当大臣は30代ですし、日本でもそうしたことはできるのではないかと思います。

教育の観点でいうと、先日視察した長野県の喬木村がICT教育の先端を行っています。ICTを使って子供たちが少ないところでも多いところと同じように授業をできる訳です。あまりに勉強が面白いので給食の時間を削ってでも勉強したがるなんてことがあります。離島でも中山間地でも同じ教育ができるようになり、大都市に行かないといい予備校に行けないなんてことはないんです。どこでも同じ教育が受けられるのがデジタルな社会です。

医療もそうで、いい医療を受けたいならこの先生のところに、ということはお医者さんの技術や知見が蓄積されていないということです。
カルテだって電子化が完全にできていない、保険証だって電子化ができていない。日本のデジタルの進み具合は先進国中ビリから2番目だったかと思います。私は、デジタル庁を設けるのではなく内閣に「デジタル監」を置いて民間と協力してどこまでに、どの分野のデジタル化を進める、といった方針を決めていかなくてはならないと思っています。
医療もそう、教育もそう、農林漁業もそうだと思います。これからは少量多品種高付加価値の品質が保障されるようにしなくてはなりません。

トリクルダウンは起こらない。経済の7割を占める個人消費をいかに上げていくかが課題

Q.自身が総理大臣になった場合にどのような経済政策を実行しますか?消費税減税を検討する可能性も含めて聞かせてください。

株価は上がった、企業利益は上がった、経営者の所得も上がった、有効求人倍率は1を超えた。しかし物事には何でも表と裏があります。
通貨の供給を増やして円を安くすれば株は上がります。
雇用は増えたといいますが何が増えたか。女性、高齢者、サービス業です。働く人は増えたけれど働かなくては生きていけない人が増えたということでもあります。光の部分は株価が上がり、企業利益が上がり、求人倍率も上がったことですが、そうでない人たちはどうなのでしょうか。そこにこそ伸びしろがある訳です。日本は男女の賃金格差が先進国で韓国に次いで2番目に大きく、シングルマザーの所得は先進国で最低です。正社員という言葉は外国にはありません。非正規雇用を増やしていくのは良いことではありません。
そうした中でデフレが起こっているのは名目賃金が上がっていないからです。デフレではお金を使うよりお金を持っていたほうが得なので経済が回りません。一番やらなくてはいけないのは名目賃金を上げていくことです。
そのためには著しく低い農業林業漁業サービス業の生産性を上げていかなくてはなりません。女性の能力を最大限に活かした賃金体系にすることも必要です。非正規雇用の人たちの名目賃金を上げていく、そうすることで経済の7割を占める個人消費を上げていく訳です。
トリクルダウンなんてこの国では起こらないんです。持てる者が豊かになれば波及する、ということは嘘なんです。

初当選以来、私は消費税賛成論者です。消費税反対の嵐が吹き荒れたときも必要だ、と主張してきました。
最初税率は3%でしたが経済にちっとも影響しませんでした。経済が伸びて賃金が上がって、人口が増えているときとそうでないときとは消費税のあり方は違うと思っています。消費税の最大のメリットは「景気の波に影響されない」という点です。あと20年経ったら介護にかかるお金が2.4倍になります。医療にかかるお金は1.4倍になります。どうやってこれを支えるのか。だから消費税をガンガン上げてそれに対応すればいいなんてことは思いません。

経済が伸びないで人口が減っていく中で、逆進性を持つ消費税の役割はかつてと同じように論じてはいけません。
目的は所得の低い人たちの所得をどう上げていくかなんです。消費税を下げることだけではないと思うんです。財源はどうするのか、それは所得の多い人からもう少し取ってはどうかと考えています。
累進課税を組み合わせて課税のすそ野を広げる訳です。消費税のあり方と社会保障のあり方はセットで論じなくてはなりません。

安倍政権が長く安定していたのは評価できる。一方で消極的な選択肢として選ばれていた面もある

Q.安倍首相の政権運営について評価できる点・評価できない点をそれぞれ聞かせてください。

長く安定したのはよかったと思います。ただそれは野党があまりにダメだったことがあります。消極的な選択肢で長く安定したのは野党のダメさがあったからで安倍さんは長く続いたんだと思います。

また大勢の人が政治に関わるよりも何をやっても駄目だ、と思われるようになってしまったんだと思います。
事件が起こっても情報を開示できない、言えない、そういったことはあると思いますが、説明が十分でないという声が多い訳です。法律や制度は全国に影響するので少数の意見を聞かなくてはならなかったと思います。
アベノミクスについても先ほども言った通り良かったこともありましたがアメリカ、中国との差は開く一方でした。影の部分をあげつらうというよりも、もっとよくできたのではないか、という点でみると考え方が違ってくると思います。

国民を信じない政治家は国民に信用されない。支持率は低くてもすべきことはある

Q.政治や政府の信頼回復に関連して、総理大臣になった場合に国民とのコミュニケーション・対話をどのように図っていくつもりでしょうか?

国民を信じない政治家は国民から信用されないと思います。
私は支持率が低くてもやらなくてはならないことはあると思っていて、支持率は政治の目的ではないと思っています。防衛庁長官のときは有事法制、防衛大臣のときはテロ特措法の延長、農水大臣のときは農政不信の解消といったミッションがありました。地方創生大臣も単なる地方振興策ではなく地域分散型、内需主導型の経済を作るかが課題なんです。
どんなときも政府の責任は国民にわかってもらうことです。国会は政府からお願いする場であって、野党をヤジってどうするんですか、という訳です。国会は野党の知恵を借りる場なんです。政治は政府だけでやるものではありません。貸す知恵もない野党なら野党は要りません。野党も試されていて、批判ばかりの野党だから伸びないんです。分かってください、お願いします、という姿勢は必要だし、それが信頼につながります。

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