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「決議?それがどうした?!」なぜ議員は辞職勧告されても辞めずに済むのか(オフィス・シュンキ)

2020/7/28

オフィス・ シュンキ

オフィス・ シュンキ

コロナ禍で政治のあり方が問われている中、所属議会の「議員辞職勧告決議」に従わない議員が目につきました。「コロナウィルス」に感染し、自宅療養中、しかも緊急事態宣言が出されている中で、パチンコをしていたことが発覚した石川県金沢市議会議員の松村理治氏、政務活動費の二重計上で説明が二転三転したことで「問責」を受けた上、改めて「議員辞職勧告」を受けた京都府京都市議会議員の森川央氏などが、地方議会で6月から7月にかけての例なのですが、調べてみて、世に知られていないその数の多さに驚かされます。

6月と7月の2か月(7月は20日まで)に絞っても、全国で12人の地方議員が「議員辞職勧告」を議会で議決されています。ほとんどが、全国ニュースになっていない上、実際には、河井克行前法務大臣と河井案里参議院議員夫妻の買収事件に絡んでの、広島市議会で出された6人の議員に対する「議員辞職勧告決議案」が廃案とされたことなどの方が、全国ニュースになっているというのが実情です。

全国的に知られていない事例。たとえば、愛知県東浦町議会では、6月25日に小松原英治議員と同議会の長屋知里議員に「議員辞職勧告決議」を行っていますが、そこにある公文書には「長屋知里議員は、議員間の平成 27 年の不貞関係によって東浦町議会 の信用を大きく失墜させ、その行動は東浦町議会の品位と名誉を損なうものである」と明記されています。お相手とされる小松原議員も同じ内容での決議をされています。

「不貞」の文字が、議決書に踊っているわけで、しかも、小松原議員は、6月初めまで、所属議会の議長でもありました。議会の中で一番の要職に就いた経験ありという点では、コロナ療養中のパチンコの金沢市・松村議員とも似通っていますが、それでも議員をやめない、という点でも一致しています。事実かどうか、はともかく、議会の「議員辞職勧告決議」が、「不貞」が理由でなされた、というのはすごい、と思われるのですが、私の文章を読まれて初めて知る方が多いのではないでしょうか?

第二次大戦後、現在の国会で、「議員辞職勧告決議」(それに準じる、糾弾決議も含めます)をされた議員で辞職した国会議員は皆無です。決議がなされた議員は、多くが逮捕か起訴された状態にあり、法を犯した可能性が高い、とされる状態で勧告決議がなされていますが、一人もその勧告に従ってはいません。法的拘束力がないためです。これは、地方議員の場合でも同じです。「地方自治法」に、「議員辞職勧告決議」の規定はないのです。

法律で認められたものではないのに、なぜこの議案が、議会にあげられるのでしょうか?それは、たとえば、国会は国民の選んだ代表、地方の議会はその地方の住民の選んだ代表、と、それぞれ国民、市民の代弁者として選ばれている、ということに由来します。その一般国民、市民の代表が、所属する議会に同じ仲間としてふさわしいか、どうか。議会内での判断をしっかりつけておく、という趣旨になるわけです。現実には、当該の議員が議員として適任かどうかは、4年に一度行われる選挙で住民が判断することになります。

「議員辞職勧告決議」をされ、全国ニュースにもなったにもかかわらず、辞職しなかった上、選挙で当選し、議員を務められている方。国会議員では、衆議院議員として在職中に収賄罪で逮捕された経験のある現参議院議員の鈴木宗男氏がいますし、地方議員では2015年に、不倫や女性に対する暴力行為があったことを本人が記者会見で認めるなどしたことから「どすこい議員」としてメディアに取り上げられた兵庫県姫路市の酒上太造市議会議員の名が浮かびます。ともに、現在、議員として国会、地方議会に在籍されていますが、これはその後の選挙を経てのもので、住民の判断=民意、が反映されてのもの、ということになります。

「なんで議員辞職勧告されてもやめずにすむの?」、この単純な疑問なのですが、4年間の任期(参議院議員の場合は6年間)が法律で保障されていることが案外、国民、市民の方に伝わっていないのではないでしょうか。そして、決議された議員は、「法的拘束力」のない決議に、任期の法律保障がなされているのに、付き合う必要はない、といった感じなのではないでしょうか。

最後に「議員辞職勧告決議」された議員からの声を記しておきます。いわく「なぜ一方の議員を他方の議員が『議員の資格なし』と慌ただしく裁くのか」、「政活費返還が相次ぎ市民説明なく伏せられています。自分に甘く他人にだけ厳しい」。これは、京都市会の森川央議員のFacebookから、勧告決議がなされた直後の記述からの引用です。その内容の是非は別にして、勧告決議された側からの「議員辞職勧告決議」の、鼎(かなえ)の軽重を問う、まさに貴重な発言といえると、私には思えるのです。(オフィス・シュンキ)

 

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ラジオDJ&探偵&ライター 大手メディアで記者、編集委員を四半世紀以上務め、地方議員の経験も持つ。ジャーナリスト、議員の経験を活かし「ストーカー、いじめ、DV」などに強い探偵も。インターネットラジオ「fmGIG」でDJ(番組名「みなと神戸の探偵オフィスシュンキ」)も務める。

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