2019年も残すところあと1ヶ月ほど。今年は令和への改元、天皇陛下のご即位、来年は東京五輪など日本史にとって転換点となるイベントが続きます。
そんな中、衆議院も前回の解散から2年が経ちいつ解散総選挙になってもおかしくないタイミングになってきました。
次回の衆院選のタイミングを考える上でも前回2017年の衆院選をおさらいしてみます。
2016年の東京都知事選で颯爽と現れ「ジャンヌダルク」とも呼ばれた小池百合子氏の最初の試験である17年東京都議選は結果的には前年の人気をそのままに小池氏率いる都民ファーストの会が圧勝。東京でのその人気は安倍政権、自民党にとっては脅威の空気として2017年夏、永田町を覆いつつありました。
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2018年12月まで任期は残っている衆議院の解散が報道され始めたのは都議選も終了し、夏も終わりかけの9月中頃のこと。臨時国会も目前に迫る中、与党は森友、加計問題での対応、小池新党の躍進で支持率を落としかねない状況です。
一方で対抗馬の野党は民進党から躍進が続く都民ファーストの会への離党者が続出している状況。早期の解散ならば議席減少は最低限に食い止められるとの首相と麻生副総理の読みがあり、同月25日に安倍首相は解散を宣言しました。
ただ同時に水面下で野党側に動きがありました。勢いに乗る小池氏は民進党新代表前原氏と秘密裏に会談し新党希望の党を結成したことが27日に報道によって明かされました。ここに総選挙は自民・公明、その対抗馬として野党希望の党の二局対決の様相となります。
解散報道が出た18日からからわずか10日後の臨時国会初日の28日、大森衆議院議長の詔書朗読後に響き渡る万歳三唱の中、衆議院は解散しました。
ただその4日後に再び全国に衝撃の報道が飛び交いました。リベラル排除の考えを掲げる小池氏に対して旧民進党リベラル系議員が反発、その受け皿となる形で枝野氏の旗印の下、10月2日に立憲民主党が結党されたのです。
ここに第48回衆議院選挙は与党の自民党・公明党、新進気鋭の希望の党、リベラル路線を進む立憲民主党の三つ巴の対決になります。ただ野党分裂により「野党共闘体制」は大きく崩れ、候補者乱立による野党票の分散に繋がりました。結果的に自民党は284議席、公明党は29議席の獲得で与党での3分の2の議席確保に成功したのです。
このように第48回衆院選は幕を下ろします。解散風が出てから10日での解散でしたがその前の第47回衆議院選挙(2014年)も解散風が出てから10日前後での解散となっています。そう考えると次回の第49回衆議院選挙もこの成功体験を活かすため、同様の道筋をたどる可能性があります。衆議院の任期満了日、2021年10月21日まで残り2年弱の状況の中、残された解散のタイミングは大きく4つになるでしょう。
このタイミングの可能性は最も低いはずです。10月、11月には即位に関する国事行為があり、国全体の祝賀ムードに水を差す形になります。また10月からの消費税増税による支持率低下は容易に予想されるシナリオなため与党内の慎重論を抑え込むことは難しいでしょう。
20年は五輪があるためこの前後での解散は一定可能性があります。ただ初頭の場合は前年の消費税増税の景気悪化が数値としても出てくるタイミングになりますのでここでの解散は決心が必要になるでしょう。ただ逆に五輪前の方が本命の五輪後の解散よりは奇襲の色が濃くなるため、名分さえあれば仕掛ける可能性は大いにあります。
最も現実的なのはこのタイミングになると思われます。20年は初頭を過ぎれば一気に五輪への関心に世論は流れ秋までは動くことができないことが予想されます。そうなるとやはり現実味があるのは五輪後の成功により国の雰囲気が明るく、政権への風当たりも緩むタイミングの2020年秋から冬にかけてになるかと考えられます。
政権支持率が下落している場合は解散が21年に流れ込む可能性も大いにありえます。ただ後になればなるほど解散のタイミングは狭まり、一方の野党は予想を立てつつ準備ができます。また21年9月30日には安倍首相は総裁としての任期が切れるため秋以降に新総裁の下で自民党は解散に打って出る可能性もあります。何れにしても21年までもつれ込めばこれまでの過去2回の奇襲的な解散総選挙の手は使うことができず、与党にとって不利な展開になるでしょう。
大本命は東京五輪後の解散になりますが当然大本命にあたるため奇襲的に20年初頭に安倍首相が仕掛ける可能性もあります。前回、前々回共に解散風から10日前後で解散を行い、共に大勝してきた安倍政権としては次回も同様の成功ストーリーを描きたいはずです。20年内の五輪前後に速やかに解散を実施するのがやはり大本命といえるのではないでしょうか。
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