2018年も様々な選挙や選挙に関連する事件がありました。2018年の上半期の注目すべき選挙関連の事項については「「1票差の逆転劇」が起きた2018年の選挙。インパクトがド級な選挙ニュース4選」で紹介しました。今回は2018年の下半期に起きた注目すべきいくつかの事項をピックアップします。
9月23日に投開票が行われた群馬県の館林市議会選では、投票者数より投票総数が1上回るとという事件が発生しました。過去の記事「投票者の数より投票総数が多い?投票数の過不足から分かった選挙不正事件簿」で紹介したように、投票者数より投票総数が下回ると言うことはしばしばおこるものの、逆に投票総数が上回るということは珍しいことであり、何らかの正規の投票ではないものが混ざっている可能性が高いということで問題にされるものです。なお、市議会選の後に館林市は調査を行いましたが、原因が特定できないという旨の発表を行っています。
この投票総数が多いという事態については有権者により選挙管理委員会に選挙の無効を求める異議申し立てがされましたが、選挙結果に影響を与えることがないとして館林市選挙管理委員会は却下しています。また、投票用紙はしっかりと封印することが規定されており、相当な理由がないとこの封印は解かれません。今回、異議申し立てがありましたが、これは相当の理由ではないと判断されたため、封印は解かれることがありませんでした。このため現在においても、なぜ、投票者数より投票総数が上回ったのかという原因は特定がされていません。
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10月28日に岩手県の雫石町で行われた町議会補選では、何と投票総数の3分の1が無効票という驚くべきものとなりました。過去の記事「【驚愕】こんなに無効票が多い選挙があったなんて!|過去の選挙事例の解説」で紹介したように、これは町議会補選に立候補をしていた2名の候補者がいずれもポスターに顔写真すら掲載していないという状態であり、2人の名前も顔も政策も分からなかったと言う有権者もいたほど、関心の低い状態であったことが主な原因でした。そして、町議会補選の関心が低かっただけではなく、重要な点としては同日に関心の高い町長選が行われていたことがあります。これにより、関心の高い町長選に投票しようと投票所に行った有権者は同時に関心の低い町議会補選の投票用紙も受け取ったため、町議会補選は誰に投票すべきか判断できず、無効票が多くなったのです。
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記事「定数割れで再選挙となった昭和村議会選。そこから見えてくる地方議員のなり手不足問題とは…?」で紹介したように、11月27日に告示された群馬県の昭和村議会選では定数12に対して、9人しか立候補者がいませんでした。そして、欠員3となりましたが、公職選挙法の規定では定数の6分の1の欠員が生じた場合は50日以内に欠員分の選挙を行うことになっているため、昭和村議会では選挙後すぐさま再選挙を行うことになりました(この再選挙は欠員3に対して無所属で新人の男女3人が立候補し、無投票で当選が決まりました。)。定数割れは現在では年に数回程度のレベルで起こるものの、すぐに再選挙となるまで定数割れを起こすような事例はかなり少なく、今回の昭和村議会選のような事例はかなり珍しいと言えます。ただ、現在、中小の町村では地方議員のなり手不足問題があり、今後はこのような事例が以前より多く起きる可能性があることは付記しておきます。
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