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【沖縄県知事選】若者必読! 知事選投票までに知りたい10の数字

2018/9/17

原口和徳

原口和徳

翁長雄志(おなが たけし)氏の死去に伴う沖縄県知事選が9月13日に告示を迎え、投開票の9月30日に向けて選挙戦が本格化してきました。立候補者数が過去最多と同数となる4名となるなど、17日間の選挙戦では様々な観点から沖縄の未来が語られることになります。また、沖縄県では18歳選挙権のもとで行われる初めての県知事選挙ということもあり、若者の動向も注目されています。

そこで、沖縄県政において若者とかかわりのある10の数字をご紹介します。候補者の政策を読み解く際の参考資料として、ぜひご確認ください。

沖縄県の人口は147.2万人

沖縄県は人口約147.2万人(平成30年1月1日住民基本台帳人口)、平均年齢は42.1歳(2015年国勢調査)と全国で最も若い都道府県です。
県の人口は微増が続いていますが、2030年頃には傾向が変わり緩やかな人口減少局面に入ることが予想されています。
また、今後、少子高齢化の影響がはっきりと表れてきます。

沖縄県の年齢別人口の推移

65歳以上の方は、2015年には県民の5人に1人でしたが、約10年後の2030年には4人に1人、2040年には3人に1人となる見込みです。

前回国勢調査では11,212人の10代後半の若者が沖縄県外に転出

転出、転入による人口の移動では、10代の若者の転出が目立ちます。
国勢調査を基にした推計では、10代前半の年代で5,000人弱、高校卒業を迎える10代後半で1万人強の転出超過の傾向が続いています。その後、20代で合計5,000人強の転入超過となっていることから、一定数の若者が沖縄に戻っている様子がうかがえますが、そのまま沖縄県外に活躍の場を求めている人たちも多数いることも読み取れます。

保育所待機児童は1,870人。沖縄県の子育て政策の課題

沖縄県の合計特殊出生率(平成29年度)は1.94と全国平均1.43を大きく上回り、全国でもっとも高くなっています。多くの子どもが育まれる沖縄県には、若く、活力ある地域として様々な取組みが期待されていますが、子育てにまつわる課題もあります。

厚生労働省による調査では、沖縄県の待機児童数は今年の4月1日時点で1,870人と東京都、兵庫県に続く多さとなっています。なお、待機児童数で沖縄県は過去5年間以上、全国トップ3に入っています。また、10万人当たりの待機児童数を比較すると沖縄県は全国最多となります。

沖縄県の保育所定員と待機児童数の推移

この間、例えば平成24年4月の33,497人から平成30年4月の50,257人へと、保育所定員も増加していますが、保育需要の増加には追い付いていません。
他にも、特定の保育所への入所を希望していることなどから待機児童の集計から除外されている潜在的待機児童も那覇市を中心に1,487人(平成30年4月1日時点)いることがわかっています。また、「小1の壁」が有名な放課後児童クラブの待機児童数は760人(平成30年5月1日時点)となっています。

10万人当たりの小児科医数は95.6人で全国34番目。沖縄県の医療環境

10万人当たりの小児科医数は95.6人と、沖縄県は全都道府県の中で多い方から数えて34番目となっています。なお、診療科を問わない医師数は193.3人と全国で26番目です。

沖縄県の人口10万人当たりの医師数、小児科医数

また、子どもへの医療費補助は、通院:就学前、入院:15歳年度末までです。(都道府県でもっとも多いのは、通院:就学前、入院:就学前までです)。なお、市町村が独自に上乗せの給付を行う場合、県は実施経費の半額を補助しています。

女性の就業率は64.4%

女性の就業率は64.4%と全国では高い方から数えて32番目ですが、対象年齢を25歳~44歳に限定すると74.9%と全国で17番目になります。子育て世代の就業率が高いことに、保育需要の高さの一端があるのかもしれません。
また、文部科学省の調査では沖縄県の女性の大学進学率は41.9%(全国平均57.7%)と全国で最も低くなっています。

1人当たり県民所得は216.6万円

県民経済計算によると、沖縄県の平成27年度の県内総生産(名目)は4兆1420億円、増加率4.7%は全国平均3.1%や九州平均3.7%を上回っています

また、1人当たり県民所得216.6万円は金額としては全国最小となるものの、増加率4.1%は全国平均3.3%を上回っています。なお、沖縄県の1人当たり県民所得は、平成25年度から3年続けてプラスになっています。

沖縄県の1人当たり県民所得の推移

県内総生産の8割以上がサービス業に代表される第三次産業となっており、観光関連産業も好調です。民間企業による「地域ブランド力調査」で3年続けて全国4位となり、観光客数も増加を続けています。県の集計では平成29年度の観光客数は約958万人、観光収入は6,979億円と試算されています。

有効求人倍率は1.13倍

沖縄県の平成29年度の有効求人倍率は1.13倍。全国平均(1.54倍)を下回っているものの、前年度に比べて0.13ポイント上昇しています。

沖縄県における雇用関係指標

平成30年4月の完全失業率は3.10%と前年同月に比べて0.70ポイント減少しています。
また、若者(15歳~29歳)の完全失業率は6.10%と前年同月と比較すると悪化しているものの、4年前(11.70%)と比べると大幅に改善しています。

70%と20%。在日米軍基地における沖縄県の占める割合の捉え方

沖縄県の面積は日本の総面積の0.6%ほどですが、在日米軍基地の総面積の70%以上が存在しています。
なお、沖縄県が占める在日米軍基地の割合については、米軍が一時利用できる自衛隊の基地も母数に加えて集計した結果、19.2%ほどになるといった意見もあります。

ちなみに、沖縄県民の9割以上が暮らす沖縄本島の15%以上の面積が在日米軍基地となっています。

基地関連収入は県民総所得の5.7%

昭和47年の日本復帰直後は、基地関連収入は沖縄県の県民総所得の15.5%を占めていました。その後、沖縄経済における基地関連収入の影響は徐々に低下し、近年は県民総所得の5%程度となっています。ちなみに、平成26年度は5.7%(2,426億円)でした。

また、防衛白書(平成28年版)でも基地返還跡地を活用した大規模商業施設や医療拠点づくりなどの取り組みが紹介されるなど、基地返還後の土地活用も地域の発展に向けて注目されています。

衆議院議員選挙での10代投票率は44.87%

平成29年10月の衆院選挙での沖縄県の10代有権者の投票率は44.87%(抽出調査)と、20代や30代の投票率よりも高くなっています。

沖縄県知事選挙における年齢別推定投票者数、割合

仮に衆議院議員選挙の年齢別投票率が維持された場合、今回の沖縄県知事選挙において有権者数では若者(10代、20代)と60代の差はあまりありませんが、推定投票者数では若者が60代の半分ほどになります。

投票先の決定にあたり年齢がすべての要因とはなりませんが、シルバーデモクラシーの弊害が主張されることもあります。有権者数だけで考えると、若者(10代、20代)は、40代、60代、30代に次ぐ人数であり、その差も小さなものとなっています。決して、はじめから若者の数が他の世代よりも著しく少なく、若者の声が政治に届きにくい構造にあるわけではないことも意識しておきたい事です。

若い世代の方は、他のどの世代の方よりも長く沖縄県と関わりを持つことになります。
今後、若者世代の方が活躍していくなかで、これから沖縄に暮らす人たちや、仕事や子育てをめぐる環境はどうなっていくのでしょうか。また、どのようになっていくことを望むでしょうか。

多くの若者が沖縄の未来を「自分ごと」として考え、各候補者の政策を読み解き、納得のいく1票を投じていくことが期待されます。

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原口和徳

原口和徳

けんみん会議/埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 1982年埼玉県熊谷市出身。中央大学大学院公共政策研究科修了。早稲田大学マニフェスト研究所 議会改革調査部会スタッフとして、全国の議会改革の動向調査などを経験したのち、現所属にて市民の立場からのマニフェストの活用、主権者教育などの活動を行っている。

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