本日「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」の開票がいよいよ行われます。今年の総選挙からは、海外の「48」グループからも立候補できることになり話題となっています。(やや無理やりではありますが)これは、海外からの「国会議員の」投票や立候補について知っておく良い機会!
海外に住む日本人(海外在留邦人)は年々増加しており、外務省による2016年の調査では133万8,477人となって、統計を開始してから過去最多となりました。それでは、海外に住んでいたら国会議員を決める選挙に投票できる?海外在住のまま立候補もできる?といった疑問を、AKBと比較しながら説明したいと思います。
海外に住んでいる人が、外国で衆院選・参院選の国政選挙や憲法改正国民投票に投票できる制度が「在外選挙制度」です。
海外在住の日本人たちが1996年に、「在外国民が国政選挙において選挙権を行使することができないのは憲法違反である」と訴えた「在外日本人選挙権訴訟」を機に1998年に公職選挙法が改正されて、比例代表制への投票が認められました。さらに2005年に最高裁による違憲判決が確定すると、選挙区への在外投票もできるようになりました。
在外投票ができるのは、日本国籍を持つ18歳以上の有権者で、「在外選挙人名簿」に登録して「在外選挙人証」を持っている人です。なお、登録を申請してから、在外選挙人証が交付されるまでには2ヶ月ほどかかります。在外選挙人証は在外公館の領事窓口で受け取れるほか、登録申請時に手続をすることで、自宅に郵送してもらうことも可能です。
AKB48総選挙の選挙権(投票権)は、52ndシングルの購入者や公式ファンクラブの会員などに与えられるので、国籍や年齢制限はありません。実際中国をはじめとした海外からの投票も多いということです。
話は戻って、改めて法律で定められた日本の選挙のお話。続いては「立候補」の説明です。
公職選挙法の規定では、立候補するための権利(被選挙権)には参議院議員は満30歳以上、衆議院議員は満25歳以上といった年齢の条件が存在しますが、これを満たしている日本国民であれば海外在住だとしても衆議院議員と参議院議員、都道府県知事、市区町村長の選挙には立候補できます。
なお、都道府県や市町村といった地方議会の議員選挙には「その地域に住民票があること」も条件になってきますので、海外在住の方は立候補できません。
立候補の届け出を推薦人による「推薦届け出」とすることで海外からの立候補も可能です。ただ当選すれば日本居住となりますし、選挙運動を考えると、海外在住のまま立候補するというのは現実的ではないでしょう。
一方、日本を代表するアイドルグループAKB48のシングル曲とカップリング曲を歌うメンバーを決めるAKB48選抜総選挙。今年2018年の総選挙選挙では、海外の3グループ(JKT48・BNK48・TPE48)にも立候補できる「被選挙権」が与えられ、名称も『AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙』となりました。
今回は選抜メンバーも6ユニット総勢100名と拡大、上位16位までが「世界選抜メンバー」として53枚目のシングルを担当します。AKB48の“顔”となるメンバーを決めるファンにとっては注目のイベントですね。
立候補の受け付けは3月27日に締め切られ、海外組からは、タイ・バンコクのBNK48から10名、台湾・台北市のTPE48から5名が立候補しました。インドネシア・ジャカルタのJKT48は、総選挙開票日の6月16日が、イスラム教の断食月(ラマダン)明けの祭日と重なることから、今回は立候補を見送ることにしたそうです。
以上、「海外からの投票・立候補」という観点から、日本の選挙とAKBの選挙を比べてみました。AKBグループは今後、フィリピン・マニラにMNL48、インド・ムンバイにMUM48の活動をスタートさせる予定でさらなる世界展開が予想されます。また、海外に住む日本人(在外邦人)の数は2016年の調査では133万人を超え、平成が始まった当初から比較して倍以上に膨れ上がっています。今後もこうした流れに対応した制度の整備が一層広まってゆくものと考えられます。海外に住んでいる方はぜひ、「できないと思って投票しない」なんてことがないようにしてくださいね!
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