任期満了に伴う葛飾区長選が11月5日告示されました。立候補したのは共産党が支持、市民団体「葛飾区庁舎建替えに反対する区民の会」新人の木原敬一氏（64）、自民・公明・民進の3党が推薦する現職の青木克徳氏（68）の2名です。投開票は11月12日に行われます。今回は区庁舎移転・建て替え計画、子育て政策、青木区政に対する評価などが争点と考えられます。

なお、同じく22日には葛飾区議会議員選挙が行われます。区議選には現職31人、元職3人、新人25人の計59人が立候補し、議席を争っています。小池百合子知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」が、都内の区議選で初めて公認候補5人擁立している点にも注目が集まっています。

区庁舎の新築より教育施設の建て替え・改修を。新人 木原敬一氏

木原氏は、再開発が予定されている京成立石駅北口地区への区庁舎移転・建て替え計画に反対する市民団体「葛飾区庁舎建替えに反対する区民の会」に所属しています。10月6日に今回の選挙に出馬を表明した際、区庁舎の移転・建て替えについて「補強工事で耐震基準を満たしており、震度7の地震が発生しても防災中央拠点の役割を果たせる」と述べ、建て替えの必要性を否定しました。また、区庁舎ではなく教育設備の建て替えや改修を優先させるべきだ、と訴えました。

また、移転先の候補となっている京成立石駅前の再開発事業を含めた現区政について「区は経費などの情報を明らかにしていない。反対や疑問を無視して強行し、区民を愚弄している区政を根本から変えたい」と批判しています。自らの立候補については「市民運動家から候補者が出て野党と共闘するのは初めてのこと。区民の声を大切に、区民目線で区政を担い、老いも若い気も安心して働き、暮らせる葛飾にしたい」と抱負を述べました。

木原氏は明治大学出身。出版会社の社員を経験後、ねじ製造卸売会社社長を務めています。

少子高齢者対策を継続し、今後は水害対策も進めたい。現職 青木克徳氏

3選を目指す青木氏は6月6日に立候補の意向を表明し、区議会の一般質問で「子育て支援や高齢者への対応など、区政が抱える課題の解決が使命だと考えていると述べ、引き続き「夢と誇りあるふるさと葛飾」を目指す意思を明らかにしていました。これまでの2期8年を振り返り、「区民や現場を第一に考え、区民の声を区政に反映させ着実に成果を上げてきた」と評価。少子高齢化対策を中心とした政策を行い、待機児童問題への対応や新小岩への病院誘致などをアピールしました。

3期目は育児支援や高齢化対策を充実させ、堤防の強化など重要性の高い水害対策を行うべきだ、と訴えています。葛飾を住みやすい地域にするため、「区民や企業と連携する協議が必要だ」と主張。今後も経験を踏まえた区政を行い、葛飾を発展させたいと抱負を述べました。

青木氏は都立葛飾野高校出身。区役所に入庁し、区地域振興部長・政策経営部長などを歴任。2009年に葛飾区長選に初当選を果たしました。現在は特別区長会副会長も務めています。

前回の投票率は41.66％。区庁舎移転計画の是非が問われる今回は？

区庁舎の移転・新築に反対する市民団体が擁立した新人候補と、新築計画を進める現職候補による一騎打ちとなりました。区政に対する評価や政策と合わせ、有権者はどのように判断するでしょうか。