すべての候補者は「有権者の貴重な選択肢」東京選挙区の候補者34人全員の生の声(畠山理仁)
2022/07/08
今回の東京都議会議員選挙では、民進党が当初公認を決めた41人のうち幹部を含む16人が離党し、都民ファーストの会の公認もしくは推薦を受けて選挙に臨みました。
また、自民党を除名・離党したケース、直近3回の選挙で3度とも所属政党を変えた候補者もいて、所属政党を変える候補者が多かったことも特徴でした。
それぞれの政党には、熱心な支持者、中核となる支援団体が存在していて、議員もしくは候補者が所属政党を離れる場合、支持者・支援団体に対し「離党理由を説明」します。なかには「これまで◯◯党の議員だから熱心に応援してきたのになぜ? 離党するのか」「裏切られた」など疑問や失望をぶつけられ、議員(候補者)は多少なりともつらい、恥ずかしい思いをします。(するはずです)
所属政党を変え都議選に臨んだ候補者の当落はどうだったのか?「恥をしのんでの離党は役に立ったのか」をまとめました。(◎選挙区トップ当選 〇当選 ×落選)
民進党の公認が決まっていたものの離党して都民ファーストの会の公認や推薦を得て選挙を戦った16人のうち11人が当選しています。
このうち、都民ファーストの会公認の7人は、全員がそれぞれの選挙区でトップ当選しています
また、推薦を受けた9人は、4人が当選し5人が落選という結果でした。このうち、石毛氏は党都連の選挙対策委員長、尾崎氏は都議団の幹事長を務める党幹部でした。
これまで民進党を機軸に支援してきた労働団体「連合東京」は、都民ファーストの会と政策協定を結び、都民ファーストの会も支援しました。連合のいわゆる組織内候補(運動員やボランティアを派遣し組織的な活動を展開できる)も、増子氏(流通や化学、繊維のUAゼンセン)、田之上氏(金属関係のJAM)、小山氏(自動車総連)が都民ファーストの会公認、尾崎氏(JP労組)が推薦となり、それぞれの選挙区でトップ当選しました。連合東京の都議選への対応方針の変更も、民進党からの離党を促し、都民ファーストの会の公認もしくは推薦を得て選挙に臨むという動きを後押しした一因です。
石川氏、新井氏ともに、民進党の都議会会派に所属していましたが、党公認は得ていませんでした。石川氏は、都民ファーストの会の推薦を得て2位当選、無所属で他の政党も含めて推薦を得なかった新井氏は落選でした。
大田区で2位当選を果たした栗下善行氏は、直近3回の選挙で、選挙の度に所属政党と選挙区を変えています。
栗下氏は、前々回09年、千代田区選挙区から旧民主党で立候補し、自民党の内田茂氏を破りましたが、前回13年は、北区選挙区から旧日本維新の会で立候補し落選しました。今回は、都民ファーストの会公認で大田区選挙区から立候補し、2度目の当選を果たしています。
ちなみに大田区選挙区は定数8で、都民ファーストの会、公明党、自民党が2人ずつ当選し共産党と日本維新の会が分け合っていますが、都民ファーストの会の森氏、栗下氏に加え、日本維新の会の柳ヶ瀬裕文氏も旧民主党で当選したことがありますから「旧民主党・民進党離党者が3人」と“多数派”となります。
自民党を離党もしくは除名された12人のうち、それぞれの選挙区でトップ当選した6人を含め10人が当選しました。
このうち、豊島区の本橋氏、練馬区の村松氏、尾島氏は、小池知事が衆院議員時に選挙区としていた東京10区を構成する選挙区内の区議で都民ファーストの会に馳せ参じました。他の候補も、都政・都議会改革を主張する小池知事、都民ファーストの会の党勢を踏まえ、所属政党を移動し選挙に臨みました。
今回の都議選で、所属政党を移動した31人の当落の内訳は、当選者23人、落選者8人でした。当選確率は74%超と「4人に3人は当選」しました。
23人の当選者の旧所属政党を見てみますと
◯民進党 12人
◯自民党 10人
◯旧民主党及び旧日本維新の会1人
です。
自民党と民進党の公認候補の当選確率との差はどうだったのでしょうか。
●自民党は、公認候補60人で23人が当選ですから当選確率は38%、離党・除名組12人は10人が当選していますから当選確率83%です。
●民進党は、公認候補23人中、当選者は5人で当選確率は約20%、民進党を離党して選挙に臨んだ18人中12人が当選、確率は67%でした。
自民党から離れたケースは
◯「小池知事を衆院選時から応援し、知事選でも応援した」ため除名された。
◯「都議選立候補を希望しても現職がいる」ため都民ファーストの会に参画した。
など、明確な理由があったように思えます。
一方、民進党の場合は事情が違います。去年の党代表就任以来、支持率の低迷が続き、党内統治能力が問われている蓮舫代表の地元東京で、離党者が相次いだうえ、支援組織の連合東京も「都民ファーストの会と政策協定を結び、公認・推薦候補を応援」する組織決定を行いました。
その結果が
◯民進党公認候補の当選確率は20%
◯離党⇒都民ファーストの会公認・推薦を受けた候補の当選確率は67%=「3人に2人は当選」
となったのでしょう。
都議選と国政選挙とは制度も違いますし、都民ファーストの会が全国規模の組織を作るかどうか現時点ではわかりません。
しかし、全国の有権者の1割超の判断、これまでも国政選挙の動向を先取りしてきた都議選で出された結果(民進党公認候補の当選確率20%、離党⇒都民ファーストの会公認・推薦候補の当選確率67%)を、各議員がどのように受け止めるでしょうか。
都議選前に、都連幹事長を務めていた長島昭久衆院議員が離党し、都議選の投開票日に藤末健三参院議員が、さらに都議選の党内総括をめぐり横山博幸衆院議員も離党を表明しています。
来年12月の衆院議員の任期満了まで、残り1年半です。
政治状況や党勢を判断し、議員の離党・新党結成など離合集散の動きはこれまでもありました。
今回の都議選を踏まえ、「恥をかいても離党」し、当選確率が高い選択肢を選ぶ動きも議員の間では出てくると思われます。
都議選で示された結果は、今回も国政の動向に大きな影響を及ぼしそうです。
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