昨日行われた韓国大統領選では、文在寅(ムン・ジェイン)氏が当選を果たしました。
今回の大統領選は前職の朴槿恵(パク・クネ)氏が任期途中に罷免されたため、急きょ実施されることとなったものです。朴氏は知人の崔順実(チェ・スンシル)氏の国政介入を黙認していた疑惑により3月10日、国会に弾劾追訴され罷免。3月15日に現職大統領として初の逮捕者となりました。大統領不在となったため、憲法に従って次期大統領選を行うことが決定し、5月9日に7か月前倒ししての選挙が実施されました。
今回の選挙は期日前投票の投票率が26.1%と高く、在外韓国人の投票率も過去最高の75.3%を記録。注目度の高さがうかがえました。
今回当選となった文在寅(ムン・ジェイン)氏は1953年1月24日、慶尚南道 巨済(キョンサンナムド・コジェ)郡(現・巨済市)生まれの64歳。釜山の南港(ナマン)小学校、慶南(キョンナム)中学校、慶南高校、慶煕(キョンヒ)大学校を卒業しました。
1950年開戦の朝鮮戦争で、北朝鮮の咸興(ハムフン)市の興南(フンナム)地区から10万人近い民間人がアメリカ軍の輸送船に乗って脱出した「興南撤収」と呼ばれる出来事がありましたが、文氏の両親もこの脱出によって北朝鮮から韓国に渡ってみます。文氏は「興南撤収」の3年後に誕生しています。
一家は貧しく、幼少期には学校に弁当を持参することもできなかったそうです。給食の全面無償化を公約の1つに掲げるのは、そのような経験によるもと文氏自身も語っています。
名門の慶南高校から慶煕大学校法学部に進学し、反政権のデモに参加。大学3年で朴正煕(パク・チョンヒ)政権に反対してデモの先頭に立ち、逮捕された経験もあります。兵役を経て大学に復学し、司法試験の2次試験を前に再び収監されましたが、拘留中に塩法試験に合格。釈放後に司法修習を経て、1982年に後に大統領となる盧武鉉(ノ・ムヒョン)弁護士と出会います。
文氏は盧氏の弁護士事務所に入り、民主化運動にも加わりました。2002年に盧氏が大統領選に当選し、文氏は青瓦台(大統領府)に入り右腕として力を発揮するようになります。盧武鉉政権の後期には大統領秘書室長となり、大きな力を握りました。
2004年に盧氏は退陣し文氏は再び弁護士として活動しますが、2009年に盧氏の死去により、再び政治の世界。盧武鉉財団の理事、さらに理事長を務めたことで2012年の大統領選候補者となりました。2012年の際には、朴槿恵氏に接戦の末敗れています。
従軍慰安婦問題については、これまで「日本の法的責任と公式謝罪が盛り込まれていない協議は無効だ」とし、「正しい合意ができるよう日本との再交渉を求める」と述べるなど、文氏の発言は日本国内で波紋を呼んでいるものもあります。
また、アメリカの高高度迎撃ミサイルシステムTHAAD(サード)を韓国に配備する件については「北朝鮮が核開発・核兵器の能力を高めた場合は容認する」としながらも、北朝鮮が核開発を放棄するなら「THAAD配備の保留や撤回もある」発言するなど、今後、日韓関係および米韓関係にどのような影響があるのかに注目が集まっています。
この記事をシェアする
選挙ドットコムの最新記事をお届けします
My選挙
あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。
話題のキーワード