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「悪口には耐性があるんです」ネットの先駆者・共産党の考える動画メディアとは?

2017/4/23

ひがし みすず

ひがし みすず

選挙ドットコム読者の中には、「政治家・政党はどんなことをしているか分からない」「有権者を見てくれているのかな?」という疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。

その溝を埋めるべく、実は政治家・政党は地道な情報発信を日々重ねています。「有権者と政治家・政党をつなぐ存在になりたい!」そんな思いを持っている選挙ドットコムでは、各党の情報発信をご紹介します。中でも、最近各党が取り組んでいるのが「動画メディア」です。

日本共産党(以下、共産党)は「カクサン部」などのゆるキャラや参院選特設サイトでは候補者や選挙区の紹介を「カードゲーム」にするなど様々な取り込みを行なっており、ネットの先駆者のような存在です。4年半前ほどから「とことん共産党」という番組をインターネットで生放送しています。

(日本共産党・田村一志宣伝局長)

2012年の放送開始から議席を大幅に増やした共産党ですが、それでも放送に力を入れ続ける理由とは?ネット番組を通して有権者に伝えたいことは一体どんなことなのか
今回は共産党の田村一志宣伝局長にお話を伺いました。

※本企画では動画メディアに取り組まれている各党の情報発信を連載にてご紹介していきます。「私たちの党はこんな動画メディアをやってるよ!」などございましたら編集部までご一報いただければ幸いです。
【関連】今でも毎日配信!自民党がネット番組「Café Sta」で情報発信を続ける理由  >>

「双方向性重視」の共産党だからこそ、ネットを味方に

-選挙ドットコム編集部(以下、編集部)
「とことん共産党」はどのような経緯で始められたのですか?

-田村一志宣伝局長(以下、田村氏)
「とことん共産党」は2012年秋に放送を開始しました。当時共産党は衆議院8議席・参議院5議席と非常に議席が少なかったんです。(現在は衆議院21議席・参議院14議席)
そのため、国会での質問時間も短く配分されていたりして、例えば1回の予算委員会での質問時間がたった5分しかなかったり、という状況でした。マスメディアも声をかけてこず、テレビへの露出も少なかったんです。そのような状態でしたので、共産党の考えていることが、なかなか有権者に伝わらなかったんです。

その中で目をつけたのがインターネットでした。
これまでの共産党はずっと街頭活動等を頑張ってきていましたので、インターネットというメディアも「活動の場」だと認識して、街頭での活動と同じように国民・有権者に語り掛けることを始めなくてはならないのではないかと。特に若い人とコミュニケーションを図ろうと思ったらインターネットを無視することはできません。このような経緯で、動画の生放送を始めました。

-編集部
実際に放送を開始してみて、視聴者からのリアクションはどうでしたか?

-田村氏
最初はニコニコ動画を使っていたので、コメントの”荒らし”が心配でした。ネガティブな意見ばかりになってしまうと、出演している議員も、動画を見てくださっている有権者の方も不快になってしまうのではないかと。

ですが、実際やってみるとそれは杞憂に終わりましたね。もちろんひどいコメントが書かれることもあるんですけど、司会役の小池晃参議院議員がうまく反応して、合いの手を入れたり、ちょっと怒ったりする。そうすると、ネガティブなコメントを書き込んだ人も、「反応があった」と、嬉しそうなんです(笑)

そのやりとりを通して、ネットを使った生放送は双方向のコミュニケーションを図れるメディアなんだと再認識することができました。ネガティブなコメントでも、しっかりと聞いたり、反応すると、今度は良いコメントに変わっていきます。
共産党が言いたいことをただ言うだけではなくて、生放送をするからにはみんなの反応を確かめながら、コミュニケーションをとることを大切にしていこうという思いでやっています。

共産党は正直、昔から「反共口撃」にさらされてきたので、悪口には、慣れているんです(笑)。ですから、今更ネットで何を言われても別に構わないそういう人も含めて接近していこう、働きかけようという思いでやっています。

真剣に伝えたいことがあるから、時間も長めの1時間

-編集部
「とことん共産党」開始後、共産党は衆議院8議席→21議席、参議院5議席→14議席と議席数を伸ばしてきています。それでもなお生放送に力を入れる理由はどのようなものなのでしょうか?

-田村氏
確かに国会議員の数は増えましたが、その規模はまだまだ小さなものです。もっともっと共産党は多くのことを発信していかなければならないと思っています。有権者の関心に応えて、政治のことを分かりやすく伝えていきたいですね。

今で言えば、「森友」疑惑、後を絶たない大臣の暴言、失言、スキャンダルなど。有権者の中にも色々な思いが渦巻いていると思います。ですから、議席が増えたからもう動画配信はやめてもいいかな、とは思いませんね。むしろこれからが勝負だと思っています。

-編集部
「とことん共産党」は毎回1時間程度。ネットの動画番組にしては長めの印象がありますが、これには何か狙いがあるのでしょうか?

-田村氏
「共産党を宣伝したい」「若い人に共産党の考えを知ってほしい」というのももちろん動機のひとつではあるのですが、「とことん共産党」のテーマはその時の有権者の関心にズバリこたえて、共産党の立場や考え方を知ってもらうことです。身近な問題の中でも、特に関心が高まっているできごとについて、ひとつの政党としてこういう問題があるんじゃないか、ここに解決の糸口があるんじゃないか、とお伝えをしています。

そのために、まずは問題の前提から丁寧に説明することも必要です。そして、真剣に理論を組み立てていくと、時間も長くなってしまうんです。だから最初は「動画番組は1時間」が普通だと思っていました(笑)。今は、それじゃ違うな、もっとコンパクトな番組にも挑戦しなければと思っています。

共産党と違う意見を持つ人にも出演して欲しい

-編集部
毎回のテーマや出演者の決め方はどうされているのですか?

-田村氏
テーマはトレンド重視です。出演者はそれにマッチしている人を探します。最近では、「共産党の政治家・党員の皆さん」だけにこだわらず、幅広い人に出演してもらうようにしています

国会で安保法制が取り上げられ、野党共闘の流れが始まるまでは、「とことん共産党」のゲストは身内ばかりだったんです。どうしても身内だけだと予定調和になってしまう弱点がありました。ところが、野党共闘が始まってから、共産党員以外の方が出演してくれるようになったんです。

最初に出演してくれたのは慶応大名誉教授の小林節さん。それから精神科医の香山リカさん等です。番組内での議論も白熱して、収録が終わった後には、「共産党に対する自分の見方が変わった」と言ってくださいましたし、番組内で「共産党はここが足りていないんじゃないの」といったツッコミをしてもらったりして、我々も非常に刺激を受けることができました。今後も幅広い人たちに積極的にゲスト出演してほしいですね。

また今後はもっと、共産党と意見が違っている人にも出演して欲しいなと思っています。これはテレビでの話なのですが、以前共産党の小池晃参議院議員と、我々と真逆の考えを持っている方が対談をしたんです。面白かったのが、具体的にやりたいことは全く違っていても、両者が根本的に考えていることは同じだったんです。こういう対談を見てもらえば、共産党支持者からしても新たな発見になります

ライバルは自民党の動画メディア

-編集部
今後、「とことん共産党」で取り組んでいきたいことはありますか?

-田村氏
もっと生放送の頻度を増やしていきたいですね。
実は自民党の「Café sta」に対抗意識を燃やしているんです(笑)。「Café sta」は毎日放送しているけれど、「とことん共産党」は月に1~2本程度。これをもっと増やしていこうと思っています。放送回数が少ない分、生放送の視聴者数は自民党に劣ってしまうのですが、録画の再生数ですと自民党と遜色ないところまで来ているんですよ。

あとは番組にバラエティ性を持たせていきたいですね。現在は「大門ゼミ」という大門みきし議員が生徒役に経済問題等を教える勉強番組のようなものや、「智子の部屋」という田村智子議員が市井で活躍している方と対談する番組があります。元教員の議員による消費税講座・TPP講座なんかもいいですね。

-編集部
本日は貴重なお話ありがとうございました、今後の放送も楽しみにしています!

今後も選挙ドットコムでは、国政選挙に候補者を擁立しており、動画メディアでの情報発信に積極的に取り組まれている政党の様子や想いなどをシリーズで随時お伝えしていきます!

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ひがし みすず

ひがし みすず

自称日本一意識低い政治ライター。日本女子大学理学部卒業後、ベンチャー企業を経て2016年フリーライターとして独立。選挙ドットコムの素人代表の一人として意識低い記事を量産している。

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