選挙ドットコム読者の中には、「政治家・政党はどんなことをしているか分からない」「有権者を見てくれているのかな?」という疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。
その溝を埋めるべく、実は政治家・政党は地道な情報発信を日々重ねています。「有権者と政治家・政党をつなぐ存在になりたい!」そんな思いを持っている選挙ドットコムでは、各党の情報発信をご紹介します。中でも、最近各党が取り組んでいるのが「動画メディア」です。
例えば自民党。自民党は「Café Sta」という動画オウンドメディアを持っていて、毎日、自民党本部内にある本物のカフェを舞台に動画配信を行っています。
野党時代に始めたこの番組が、与党となった現在も続いている理由は一体何なのでしょうか?
今回は実際に「Café sta」の収録現場である党本部内カフェに足を運び、ネットメディア局長・伊藤信太郎氏、ネットメディア局次長・宮﨑政久氏にお話を伺いました。
※本企画では動画メディアに取り組まれている各党の情報発信を連載にてご紹介していきます。「私たちの党はこんな動画メディアをやってるよ!」などございましたら編集部までご一報いただければ幸いです。
-選挙ドットコム編集部(以下、編集部)
「Café sta」の放送開始は2011年6月、今から6年前ですね。今でこそ、動画メディアは一般的ですが、当時は目新しい存在だったと思います。
2011年は、自民党は野党でしたよね。野党時代に「Café Sta」を始めようと思った理由はどのようなものでした?
ネットメディア局長・伊藤信太郎氏(以下、伊藤氏)
はい。「Café Sta」が開始された当時、自民党は野党でした。
その時に痛感したのが、与党と野党では国民に伝えられる情報量に差があるということです。マスコミは野党に取材には来なくなります。自民党がどんなにきちんと政策について考えていても、国民の皆様に伝える機会が少なくなってしまったのです。
だったら自分たちで伝えるしかない、与党時代の経験や発信力を活かして主体的に政策を発信しよう、具体的にはオウンドメディア(=自分たちの媒体)を作るしかない、と考え、「Café Sta」を立ち上げて動画配信を始めました。
-編集部
実際に放送を開始してみて、視聴者からのリアクションはどうでしたか?
-伊藤氏
当時自民党は野党でしたが、与党時代からの発信力や実現可能な政策をたくさん持っていました。それをタイムラグなく、リアルタイムで放送できるというのは非常によかったですね。映像を通して自民党が国民にとって身近な存在であることをアピールできたのではないでしょうか。
-ネットメディア局次長・宮崎政久氏(以下、宮崎氏)
「Café Sta」の名前の通り、に会見場ではなくカフェをスタジオに選んだのも、身近に感じて欲しかったからです。
(自民党 ネットメディア局次長・宮崎政久氏)
-編集部
開始当初は野党だった自民党ですが、今では与党に復帰しています。それでもなお毎日の放送を続ける理由はどんなものなのでしょうか?
-伊藤氏
自民党は野党から与党に復帰し、既存のメディアも戻ってきました。しかし、「Café Sta」と同じように報道してくれるわけではないんですよね。どうしても部分的に切り取られてしまうし、私たちがやりたい「政策を体系だてて論理的に語る」ということができません。オウンドメディアを持って発信していくことが与党になった後も必要でした。
(自民党 ネットメディア局長・伊藤信太郎氏)
-編集部
「Café Sta」は現在1週間で8本のレギュラー番組を持っています。テーマも多彩ですが、各回のテーマや出演者はどのように決めているのでしょうか?
-伊藤氏
私がインターネットメディア局長になってからは、より国民のニーズに応えられる放送を目指しています。ネットメディア局の議員には、「自分が番組のプロデューサーになったつもり」で番組を企画してもらうようにしています。
-編集部
視聴者の方から特に反響があった回や、印象に残っている回はありますか?
-宮崎氏
やはり自民党のチャンネルですから、視聴される方もある程度政治に関心がある方が多いと思います。
特に平和安全法制についての放送は反響が大きかったですね。私は平和安全法制の委員でもありましたので、午前中の委員会で話したことをお昼の「Café Sta」ですぐに放送したりしました。衆議院の委員会採決の時には野党の議員が委員長ともみくちゃになって、止めに入った私のメガネが壊れてしまったので、それを見せたり(笑)。
-伊藤氏
政策ができるまでの”過程”について、詳しく紹介をしているメディアがなかなかないんですよね。ですので、政策を作る過程をご紹介するようにしています。
例えば自民党は、「各部会を通して」「政調審議会を通して」「総務会を通して」それが党の方針になって…といった一連の流れがあります。このような内容は、視聴者にとってマスメディアが切り取るゴシップよりもはるかにニーズがあるのではないのかと考えています。
例えば平和安全法制は、一部の報道で強行採決などと表現されてしまいましたが、きちんとした段階を踏んだものであるのだよ、という説明をしたりしましたね。
コメントも随時入ってくるので、それにお答えしながら番組を進めていきました。
-編集部
コメントが随時入ってくるような、双方向のコミュニケーションが行われるネット番組は、場合によってはネガティブなコメントも投稿されると思います。そのような理由から「ネットはちょっと…」と思っている政治家の方もいるかもしれませんが、実際に番組を企画、出演され、どのような実感を持たれていますか?
-伊藤氏
ネットは、「予定調和がきかない」というのが大きいですね。
視聴者の方には自民党を支持してくれる人もいれば、そうでない人もいます。ですが、賛否両論の様々なコメントが入ってくるからこそ、ディスカッションは深まります。ある意味こちらの力を試されています。
誤解がある時はなぜ誤解が起きているのかを深掘りして、コメントに対してボールを打ち返す。このようなやり取りを通じて、お互いに理解を深める事が出来るツールだと思います。
-宮崎氏
これは地上波のテレビではないですから、双方向のコミュニケーションがやはりカギになりますよね。流れてくる質問にはなるべく突っ込んで答えるようにしています。
ネットを通じた向こう側には本当に色んな人がいますから、色んな意見や質問があっていいと思います。これって、当たり前のことですよね。インターネット配信だからこそ出せる良さ、深みだと思います。
-伊藤氏
議員もなかなか政策をまとめて語る場所がないんです。会合や街頭演説でも、充分に喋ることができないことが多々あります。でも、インターネットであればある程度まとめて喋ることができますし、しかも視聴できる人は無限大です。インターネットは現代の民主主義にとって必要なコミュニケーションメディアだと思います。どれだけ使いこなすかが今後の政治活動の基盤になるのではないでしょうか。
-編集部
今後「Café Sta」で取り上げていきたいテーマはありますか?
-伊藤氏
今も、「エコノMe!600兆円は任せろ!(ふくだ峰之氏)」や「Women’sTalk ~独占女性の30分~(高橋ひなこ氏)」「直滑降ストリーム(山本一太氏)」など、特色のある番組を配信しています。今後は、政治のことはもちろん、文化・芸術・医療等の分野でバラエティのある番組を発信していきたいと考えています。ゲストを呼んでもいいですし、議員の特技を活かす放送もいいですね。他にも「Café sta」バックナンバーをこちらから見ることができますので、ぜひご覧になってください。
-編集部
今後の放送も楽しみにしています!
本日は貴重なお話ありがとうございました。
今後も選挙ドットコムでは、国政選挙に候補者を擁立しており、動画メディアでの情報発信に積極的に取り組まれている政党の様子や想いなどをシリーズで随時お伝えしていきます!
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