混迷する都知事選の対決構図がようやく固まってきました。与党系では小池百合子衆院議員が無所属で立候補するほか、増田寛也元岩田県知事が出馬する意向を表明。野党系では俳優の石田純一氏が出馬に意欲を示したものの断念し、今朝になり突然、鳥越俊太郎氏の名前が浮上しています。自民党が分裂し、野党が統一候補を立てた場合、参院選の結果に照らして試算すると「野党が断然有利」。真夏の決戦を制し、首都の顔になるのは――。
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（ニコニコ生放送より）

小池百合子氏の奇襲、先制攻撃

舛添要一氏の唐突な辞任表明により、7月14日告示、同30日の日程で行われることとなった都知事選。「後出し有利」とささやかれる中で、真っ先に動いたのは小池氏でした。6月29日に記者会見を開き、早々と出馬の意思を表明。所属する自民党への根回しはなく、自民党東京都連には戸惑いと怒りが渦巻きました。
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小池氏に反発した自民党都連が着目したのは桜井俊前総務次官。人気アイドルグループ「嵐」のメンバー、櫻井翔さんの父親で知名度があること、元官僚で実務経験が豊かであることなどから出馬を要請。しかし、桜井氏は「家族に迷惑をかける」と固辞しました。
一時は「小池氏でもやむを得ない」との容認論が出ましたが、党内には小池氏への批判が根強く、小池氏以外の選択肢を模索。元官僚で前岩手県知事、さらに自民党政権で総務相を務めた増田氏に白羽の矢を立てました。都内の多くの首長から要請された増田氏は7月11日、正式に立候補を表明。自民党推薦で都知事選に出馬する意向を示しました。
自民党に梯子を外された小池氏は7月10日夜に自民党本部を訪れ、推薦願いを撤回。直後にツイッターで「都知事選には推薦なしで出馬いたします。『都議会のドン』やひと握りの幹部による都政運営を改め、都民のための『東京大改革』を進めます」とつぶやき、推薦を見送った自民党都連への怒りを露わにしました。

17年ぶりとなる自民党分裂選挙

ちなみに、自民党が都知事選で分裂するのは石原慎太郎氏が初当選した1999年以来、17年ぶり。当時は自民、公明両党が元国連事務次長の明石康氏を擁立しましたが、舛添氏や先日亡くなった鳩山邦夫氏など候補が乱立。元自民党衆院議員の石原氏が160万票を獲得して圧勝し、明石氏は鳩山、舛添両氏に次ぐ4位に終わりました。
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一方の野党内では蓮舫参院議員や長島昭久民進党衆院議員らの名前が取りざたされていましたが、参院選に立候補した蓮舫氏は固辞し、長島氏は「保守派のため共産党と共闘できない」との理由で民進党幹部が擁立を断念。7月7日に石田氏が「野党統一候補なら立候補したい」と表明し、一気に有力候補として浮上しました。
ただ、石田氏はスポンサー企業との関係などから11日になって出馬断念を表明。テレビ出演も多い元経産官僚の古賀氏らを軸に、最終的な人選が進められています。残された時間は少ないため、一両日にも決まるとみられます。

自公206万票 VS 野党連合 240万票で野党有利か？

このまま与党が分裂、野党が統一候補を擁立したらどうなるのか。10日に投開票された参院選で、東京都内の比例票を分析すると、自民、公明両党への票は合計206万7119票。一方、民進、共産、社民、生活の野党4党への票は合計240万229となり、野党が34万票ほど上回っています。
さらに与党で小池氏と増田氏が票を分け合えば、100万票あまりと240万票で、断トツで野党候補が有利といえます。参院選でその他の政党に投票した有権者は150万人あまり。小池氏と増田氏のどちらかがそのうち8割を固めても野党候補には及びません。

もちろん、単純な計算では予測できないのが選挙の怖さであり、面白さ。10日の参院選でも政党の打算を超越した数々のドラマが生まれました。都知事選ではどんなドラマが生まれるのか。誰が、どんな役を演じるのか。
元祖トレンディ―俳優は舞台を降りましたが、まだまだ日本中の注目を集めそうです。