選挙ドットコム

春の就活戦線スタート!エントリーシートに面接、政治家の選挙を就職活動に例えてみると…?(1/2)

2016/3/28

鈴鹿 久美子

鈴鹿 久美子

春の就活戦線スタート!エントリーシートに面接、政治家の選挙を就職活動に例えてみると…?

地下鉄の改札を過ぎて出口へ向かう階段を見上げると、真新しいリクルートスーツに白シャツの男女が下りのエスカレーターに乗り込んで来ました。少し高揚した頬に緊張気味に結ばれた口元、手には黒鞄。「そうかー。今日から3月」。今年度から就職活動解禁は3月1日となったのです。

 

就職=議員になる、とした場合、就活は何をする?

就職活動というと、合同説明会に行ったり、先ずはネットでエントリーしたりするのが昨今の常識。議員への道もご多聞に漏れずインターネットでの「公募」が多くなってきました。

「公募」というといわゆる「地盤看板鞄」が無くても立候補できることから、公平でクリーンなイメージで世間での印象は悪くはない。国会議員への就職活動に「公募」でのエントリー増えているのは時代の流れなのでしょう。

では、政治家になろうと決めたら、先ずはネットで政党の公式サイトからエントリーするのかというと、これでは政治家としての資質に「?」がついてしまいます。政党に所属して活動する政治家を目指しているのでしたら「組織の一員」を目指すわけですから、民間企業を目指すのと同じはずですが、一般的な民間企業への就職活動と「政治家」への就職活動、大きな違いがあるのです。

政治家を目指すのだから、入口も「政治」で進めるのが流儀。
「政治家」を目指す「就活」で、入口を間違えてはなりませぬ。

 

議員になる為にまずやることは立候補ではない

私が秘書だった頃、「将来は議員を目指しているんですか?」と聞かれることがよくありました。確かに、秘書の中には、秘書職を議員への登竜門とする人もいます。では、秘書にならなければ議員になる道はないのかというと、さにあらず。

議員になるということは、立候補して当選しなければなりません。ならば手っ取り早く立候補したら良いようなものですが、いえいえ、それでは「政治」を知らなさすぎます。

国政選挙で勝つために必要なことは、先ず「政党の公認」を獲得することが挙げられます。「公認を貰う」ということは、その組織で「家臣」と認められたということ。公認がもらえると、戦に必要な物資は所属する組織、つまり政党から出してもらえるのも大きなメリットのひとつです。「公認料」等と称した軍資金、選挙の指南、組織的な応援、地元有力者の紹介、そして「名簿」も貰える。そう、国会議員になるためには政党の公認を獲得することを道標に準備を進めることが重要な始めの一歩なのです。国会議員への就職活動はここから始まります。因みに、「組織」に忠誠を誓い仕えるのが「家臣」であるのに対し、「家来」は「人」に忠誠を誓い仕えます。政治の世界で言うと「派閥」がこれに近いでしょうか。

 

議員になる道のりを描く

さて、議員になることを山登りに例えると、どのルートで頂上を目指すのかを決めなければならなりません。
初めに決めなければならないのは、

・政党はどこか
・公認を取るのか、無所属で挑むのか
・選挙区を優先するのか、どこでもいいから政党の公認が頂けるところを探すのか、
等々。

弊社にご相談にみえる立候補希望者の方で、たまにおられます、こういう方。「衆議院でも参議院でも構いません。地域もどこでもいいです。でも絶対に勝てる選挙区を探してください!」。

残念ですが「絶対に勝てる選挙区」は存在しません。それは候補者が創るものですし、政治は生ものですから「絶対」はありません。「絶対腐らない生もの」って、変でしょう。

空いている選挙区には理由があります。相手がめちゃくちゃ強い、それまで居た議員が何かの醜聞で辞職して所属していた政党のイメージが最悪になっている、などなど、どこかで聞いたことある様ないわく因縁付の城であることが多いものです。政党への大きな「風」でも吹かない限り、そこで当選するには時間がかかります。

出馬したい地域が決まっていても、既に各党の候補者が決まっていたらその地域から政党の公認を取り付けて出馬することはできません。仕えたい親分議員がいるならその親分に身を委ねるというのも有りです。行けと言われた選挙区で戦う。但し、前の候補者が木端微塵メッタ切りにされた戦場であったとしても、です。

さて、何はともあれ政党と選挙区が決まると、ここでやっと実践的な「就活」がスタートします。

 

普段駅前で見かけるマイクを持った政治家がしているのは「政党のアピール」

「公認」を獲得し、もしくは無所属で戦うのだと決心して選挙区が決まったら、戦の火ぶたが切って落とされるその日迄しなければならない活動は数えきれません。

「私に一票を!」と選挙カーに乗って手を振り走り回るのは、国政選挙では「公示」の日から。公示日より前に「当選太郎を宜しくお願いします」というのは公職選挙法(公選法)違反。選挙のその日までは、政党の政治活動として政党の政策を訴える、ことが大前提となります。立候補者個人の活動ではないのですよ、と示さなければなりません。

ですから、普段私たちが駅前などで見かけるマイクを持つ人は「政党の政治活動」をしているのです。政党に所属しない「無所属」での立候補者が既成政党所属に比べて不利と言われるのはこの点も明らかですね。

公選法は戦争の反省から、「お金のある人も無い人も、平等に見解を訴えることができるように」との趣旨で、選挙期間と使うお金、配布物の枚数にも制限を設けています。公選法は、私たちの被選挙権が平等となるように作られたものなのです。

 

続き:空中戦・地上戦とは?

1 | 2

この記事をシェアする

鈴鹿 久美子

鈴鹿 久美子

政策秘書として6人の国会議員に仕える中で、一瞬の笑顔で有権者をファンにする議員、握手をすればする程嫌われる議員等、議員の命運が一瞬の印象で分かれることを知る。 さまざまな選挙実務を通して、勝つ人と負ける人の違いを分析。秘書時代15年を通し勝つノウハウを積み上げる。 2012年解散総選挙で、離職せざるを得ない秘書の受け皿をつくりたいと政策秘書を辞職。秘書と議員のマッチングを図る日本で唯一の議員秘書専門人材紹介会社「議員秘書ドットコム」を立ち上げ、テレビ、新聞等マスコミから注目を浴びる。 現在は、議員秘書の人財紹介に加え、議員秘書養成、国会議員のコンサルティング、立候補者を戦略的に当選に導く「立候補者スキルアップ講座」を開講。服装から政策、キャッチフレーズ、演説まで、圧倒的な印象形成で有権者を魅了する「好感度の科学」を用い、2014年の統一地方選、2016年の首長選挙で引き受けた候補者を政党問わず全員当選に導く。通称「勝たせ屋」。 株式会社 InStyle 代表取締役

選挙ドットコムの最新記事をお届けします

My選挙

あなたの選挙区はどこですか? 会員登録をしてもっと楽しく、便利に。

採用情報

記事ランキング

ホーム記事・コラム春の就活戦線スタート!エントリーシートに面接、政治家の選挙を就職活動に例えてみると…?(1/2)

icon_arrow_b_whiteicon_arrow_r_whiteicon_arrow_t_whiteicon_calender_grayicon_email_blueicon_fbicon_fb_whiteicon_googleicon_google_white選挙ドットコムHOMEicon_homepageicon_lineicon_loginicon_login2icon_password_blueicon_posticon_rankingicon_searchicon_searchicon_searchicon_searchicon_staricon_twittericon_twitter_whiteicon_youtube