1995年1月17日早朝に「阪神・淡路大震災」が発生しました。当時「戦後最大の災害」といわれました。あれから21年の今年、震災以降に生まれた世代が初めて成人を迎え、大人の仲間入りをしました。「戦後最大の大都市直下地震」ともいわれる震災では、建物の倒壊や火災など甚大な被害があり、6,402人(内閣府ホームページより)の犠牲者を出しました。今回は、震災をきっかけに政治の道を志し、国会議員になった政治家について調べてみました。
当時、ボランティアなどで被災者支援を行い、現在、国会で活躍している議員は当時20〜30代。支援をする中で「困っている人を助けたい」と考えたことがきっかけとなり、政治家を目指したと明言している議員もいます。具体的に見てみましょう。
細野豪志 衆議院議員(静岡5区/民主党)
細野氏(44)は、2014年1月14日付の神戸新聞のインタビューで、京都大学在学中に阪神大震災を経験し、ボランティアとして活動したことをきっかけに政治家を目指したと話しています。国会議員となった後、民主党が政権の座に就いていた11年3月11日、東日本大震災が発生しました。このとき細野氏は、首相補佐官として東京電力福島第1原発事故の対応にあたっています。
辻本清美 衆議院議員(大阪10区/民主党)
NPO法人「ピースボート」で活動していたことで有名な辻本氏(55)は、13年6月に母校・早稲田大学で行われた「早稲田大学政治祭」(参照:BLOGOS)で、当時、震災ボランティアとして活動していたことを明かしています。そして、その活動を続ける中で、社会党(当時)の土井たか子さん(故人)に勧められ立候補し当選。当初は社民党所属議員でしたが離党し、民主党に合流しました。
山下よしき 参議院議員(大阪選挙区/共産党)
山下氏(55)は、自身のホームページで、選挙運動中に震災があり、被災者支援を行ったことなどを当時の経験を基につづっています。その中で「『国会議員ってこんなにも無力なのか』と悔しかった。『政治家は何ができるんだ』と自問自答する毎日でした。」と胸の内を明かしています。
下地ミキオ 衆議院議員(九州比例/おおさか維新の会)
下地氏(54)は発災3日後に現地に入り、炊き出しなどのボランティアをし、「政治の原点がそこにある」と15年1月20日に更新した自身のFacebookに記しています。
谷公一 衆議院議員(兵庫5区/自民党)
第2次安倍内閣で復興副大臣を務めたこともある谷氏(63)は、14年8月25日付の読売新聞インタビューで、震災を経験したことについて「多くの人が亡くなり、何のために政治があるのか考えさせられた」と、当時の体験が政治家を目指すきっかけになったことを明かしています。
この他にも、藤井比早之 衆議院議員(44=兵庫4区/自民党)、青柳陽一郎 衆議院議員(46=神奈川6区/維新の党)、浮島とも子 参議院議員(52=全国比例区/公明党)や、現役議員ではありませんが、前長野県知事の田中康夫氏(59)も被災者支援を行っています。ここに上げた方々は一例ですが、ほかにも影響を受けた方はたくさんいらっしゃることでしょう。更に地方議員として現在活躍されていらっしゃる方も。
当時、被災地支援を行っていた国会議員はともに「目の前で苦しんでいる・困っている人を助けたい」という思いを抱いていたようです。その気持ちがなぜ「政治家」という選択につながるのでしょうか?
国会は唯一の立法府です。法律は国会で可決・成立しなければ施行されませんし、すべてが成立するわけではありませんが、政治家にならなければ法案を提出することすらできません。法律を制定・改正することによって、被災した方々への支援策等、より実効的な施策を実施できる可能性があります。また、現行法に問題があれば改正案を提出することもできます。有権者側は、被災者支援など要望があるとき、その声を反映させる議員を国会に送り出すことで、問題点を直接的に解決する道が開けるだけでなく、より効果的な支援体制の構築も可能になるのです。
内閣府が公表している統計情報の中に、NPO法人数のデータがあります。
これをみると、統計を取り始めた98年時点で、認証されたNPOは23団体しかありませんでした。しかし、15年10月末時点には、51,399団体が存在しています(認定、認証の合計)。東日本大震災以降、認証NPOは前年より5,155、認定団体は163も増えています。
NPO法人数の増加は、社会のニーズに加え、11年6月15日に可決・成立し、翌12年4月1日に施行された「改正特定非営利活動促進法」(NPO法)の影響も考えられます。同法案には、認定要件の緩和・寄付に伴う税制上の優遇措置・手続きの簡素化が盛り込まれていたため、認定のためのハードルが下がったことが、その数を増やす理由として考えられます。
大規模災害の発生や社会環境が大きく変化する中で、「誰かや何かの役に立ちたい」と考え、積極的にボランティア活動を通じて社会参加をする人も増えてきました。阪神淡路大震災では、多くの個人・団体がボランティアとして現地に入り活動しました。震災だけでなく、台風や豪雨などといった災害が起きるたびに、ボランティアが現地に行くことも珍しくありませんし、その後、長期にわたり支援を継続している団体もありますし、学生がボランティアに行くことで単位認定する大学もあり、若年層の参加が増加しているといいます。
国会では、阪神淡路大震災の被災者支援をきっかけに政治家になった議員が活躍していますが、数を増やし続けているNOP法人やボランティア活動をしている団体・個人の中から、未来の政治家が登場する日が来るかもしれません。
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