2018年上半期だけで県内17ヶ所の選挙!オール沖縄の苦戦が続く、沖縄選挙の振り返り
2018/07/19
2011/06/02
竹内謙
2011年6月1日
自民、公明、たちあがれ日本の野党3党は1日夕、菅政権に対する内閣不信任決議案を衆院に提出した。2日午後の本会議で採決されるという。
東日本大震災の被災地は、不自由な避難生活を強いられながら、一刻も早い、放射性物質の除染、仮設住宅、がれき処理、風評被害、就労、賠償など山積する救済施策を待っているというのに、国会は相変わらず権力争いの政局三昧。情けないことに、この大事に臨んで、日本の政治はほとんど機能不全、メルトダウン状態にある。
何と言っても不可解なのは自民党だ。第1に、菅内閣不信任の理由がよくわからない。不信任の理由について決議案は(1)東日本大震災の対応で初動の遅れと曖昧で場当たり的な指揮命令(2)震災よりも内閣の延命を優先する無責任、などを挙げた。1日の党首討論でも、谷垣禎一総裁は震災や原発事故への対応の手際悪さを論うばかりで、「菅首相は信を失っている」「復興はあなたではできない」と言葉だけが先行する退陣論に終始した。確かに、菅政権の情報開示の混乱や諸対策のスピードのなさには問題があるが、自民党政権でも、このぐらいのもたつきは日常茶飯だった。
31日の衆院東日本大震災復興特別委員会の集中審議を聞いていても、首相の現地視察がベントの開始時間を遅らせた原因とか、冷却水の注入・中断問題で情報が混乱したとか、過去の経緯を細々と糺すばかりで、被災者の救援や被災地の復興をどうするのか、前向きな議論がほとんどない。これでは被災者は「いい加減にしろ」と言いたくなるし、犠牲者は浮かばれない。
第2には、長年「国策」と称して、「安全神話」と電源三法交付金をばらまいて原発を推進してきたのは、自民党ではなかったのか。その責任こそ、いま問われなければならない。にもかかわらず、自らの責任は頬被りしたまま、菅政権の糾弾に終始している。自民党に原発問題で他党を追及する資格はない。
第3に、内閣不信任とはいっても、後継内閣の構想が何も示されない。谷垣総裁は「あなたが辞めれば党派を超えて新しい日本のために団結していく道はいくらだってできる」(党首討論)というが、どんな政党の組み合わせによる政権ができて、だれが首相になるのか、はっきりさせてもらわなければ、国民はわけがわからない。政党の勝手気儘な権力争いを見せつけられているだけでは、国民は政治に愛想を尽かすばかりだ。
与党の中から菅政権に揺さぶりを掛ける民主党の小沢一郎元代表の言動はもっと理解に苦しむ。小沢氏はもともと政策には疎く、カネと選挙と政局にしか関心を示さない人だが、地元の岩手県が被災しているというのに、また党内政争を仕掛けるとは呆れるばかりだ。仮に、不信任案が可決したとしても、自公には小沢グループとの連携に異論もあることを考えれば、新内閣ができるまでにはかなりの日数を要するから、震災対策が遅れることは間違いない。菅首相が衆院解散に打って出れば、もっと大幅な政治空白を生むことになりかねない。
小沢氏の「反菅」感情による民主党執行部への揺さぶりだけが目的だとしたら我が儘にもほどがある。小沢氏は強制起訴された政治資金規正法違反の判決が確定するまで党員資格停止の処分を受けている。その決定をした執行部に不満がある。09年の衆院選で大量当選させた1年生議員(小沢チルドレン)の再選も厳しいだけに、執行部の主導権を取り戻したい気持ちはわかるが、この震災の中での党内抗争は、政権交代を支持した有権者に対して不謹慎極まりない。どうしても腹の虫がおさまらないなら、離党して新党を立ち上げる以外にない。
西岡武夫参議院議長が雑誌や新聞、記者会見で菅首相の退陣を繰り返し求めているのも真に奇っ怪な風景だ。国会の議長が国会が指名した総理大臣に「辞めろ」というのは、どうみても異常としかいいようがない。しかも西岡氏の退陣論は「首相の資質に欠ける」といった抽象論、感情論ばかりで、自らが「議長の資質に欠ける」ことには気づかないようだ。民主党出身で民主党から推された議長が民主党の首相に退陣を迫ればマスコミは注目する。マスコミ受けを狙った政治家根性はみすぼらし過ぎる。
どうしてこんな情けない政治になってしまったのか。この稿でここまでに名前を挙げた3氏はいずれも2世議員である。「ジバン、カンバン、カバン」が有利になる旧態依然たる選挙制度を長く続けてきた弊害が、3氏ばかりでなく、政治家全体の質の低下に現れている。大震災という国難を前に繰り広げられる政治の体たらくは、人材の払底に起因するだけに、容易ならざる事態だ。私のいう「政治のメルトダウン」とは、そのことだ。
野党が国会の会期末に内閣不信任案を提出することは恒例になってきた。しかし、いまは違う。原発事故の収拾と被災者の救援、被災地の復興に政治が与野党挙げて全力を傾注すべき時だ。権力争いは事態が一段落する見通しが立ってからにしたらいい。
それにしても、菅退陣要求の真相は何なんだろうか。野党が反対している赤字国債を発行するための特例公債法案や復興基本法案、第2次補正予算については、与野党間の調整がつく可能性が十分ある。大震災に対する対応のもたつきという表向きの理由は別にして、自公両党や小沢氏が菅政権を危険視するのは何か。よく解らないが、私は次の2つについて注目して行く必要があると思う。
1つは、東電福島第1原発事故の賠償問題。東電の賠償費用は最終的に電気料金値上げの形で国民に転嫁される可能性がある。菅首相は支持率が政権の命運を左右するから、できるだけ政府や国民の負担を少なくしたい。枝野幸男官房長官は政府が公的資金を投入する場合に金融機関に債権放棄を求めると発言した。そうしなければ「国民の理解は到底得られない」という。これに対して、金融機関や経済界は猛反発、与野党からも枝野発言を疑問視する声が上がった。賠償はそれだけ機微に触れる問題で、今後、どんな議論になってゆくのか、注意深く見守る必要がある。. もう1つは、原発の今後。菅首相は中部電力に東南海地震で事故の恐れがある浜岡原発の運転停止を要請し、中部電力はこれを受け入れて、新たな防潮堤など巨大地震や津波を想定した中長期対策が実行されるまで、運転を全面停止することを決めた。菅首相の希に見る英断だったが、これに対して与野党の中に全国の原発に波及しはしないかとの懸念がある。
原発は1年に1回定期検査をする必要がある。定期検査後の運転再開には安全協定を結ぶ地元の県や市町村の了解がなければ難しい。実際、福島原発の影響から、定期検査を終えても7基が運転再開を延期している。再開できない状態が続けば、東日本大震災や別の要因で停止中の原発と新たな定期検査入りを合わせて、今夏までに全国にある商用原子炉54基のうち42基が止まる事態になる。
運転再開に対する地元の目は一段と厳しくなっている。定期検査の作業員も福島原発の処理で人手不足が予想される。そうなれば、かなりの原発が定期検査を機に運転停止を余儀なくされかねない。それがやがて、なし崩し的に「脱原発」へ繋がるのではないか、菅首相は「脱原発」の市民運動に同調するのではないか、経済界や政界の原発肯定派が懸念しているのは、そこではないか。
不信任決議案や菅政権の行方にかかわらず、この2点は今後の政治を視る上で目が離せないポイントになる。
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